CPU Expect2003.01

当記事には根拠に欠ける邪推や妄想が混入しています。
事実の確認は各自の自己責任においてお願いします。


筆者が未だ使用したことの無いCPUについて、所感を綴るという無責任っぽいコーナーの第4弾。2003年01月版。

文中でTDPと言っているものは筆者が独自に推定した最大TDPを指します。Fanless化容易性の判断や、絶対必要冷却性能の判断に用いています。また、消費電力の目安にもしています。それにしても、特に決めていた訳でもないのに綺麗に5ヶ月毎にCPUについて書きたくなるとは?5ヶ月毎にUpGradeしたい病が発病するということだろうか??

CPUがPCに及ぼす光と影

長い間、PCの中心的存在だったCPU。人々はその性能の向上に狂喜乱舞し、市場拡大期に乱立したCPUメーカもその競争の激しさにあっという間に収束してしまった。現在主力CPUメーカといえば、ご存知IntelとAMD。AMDは二流として見られがちな側面があるが、冷静に考えればIntelに真っ向勝負できた唯一のメーカでかつ3位以下を総潰しにしてしまったメーカでもある。一時期乱立したメーカはそのどれもがIntelに太刀打ちすることは出来ないけど、AMDの市場のおこぼれは頂戴できそうだからそれを足掛かりにしようとして参入してきたように見受けられる。ところが当時のAMDの頑張りはIntelに対抗仕切れず、しかし、新参メーカを寄せ付けない性能を身に付けてしまった。現在残っているVIAの元はIDTとCyrixとは言え買収劇を繰り返し、CPU以外で多大な利益を上げているメーカだからこそ残っていられる部分があるし、Transmetaにしても資金があるから残っていられるだけで大赤字が続いていてそのままでは存続も危ぶまれる。

確かにCPUの性能は重要で、また常に要求を満たし切れていなかった。また、最近までは性能向上に対するデメリットは殆ど無かったのである。ところがここ最近は性能向上が単純に歓迎できるものではなくなってきている。それは筆者がいつも「気にし過ぎ」と言われるほど(?)気にしている消費電力の増大に起因する。

CPUの設計なんてどんなに無駄があろうともプロセスルールが縮小すれば打ち消せるものだ。というのが今までの考え方だったし事実そうだった。しかし、そこには誤算もあった(あるいは知ってて踏み込んだのだろう)。0.18µmプロセスであれっ?って思い、0.13µmプロセスで顕在化したリーク電流である。それまでの設計理論としては7割にプロセス縮小すれば消費電力は約半分(0.7x0.7=0.49)になるというものだった。0.35µm → 0.25µm → 0.18µm → 0.13µm → 0.09µm → 0.065µmという流れがほぼ7割を基準にされていることが分かる。しかし、0.25µm → 0.18µmではアイドル時の消費電力が目に付くほど増大した。そして、0.18µm → 0.13µmでは思いの外消費電力は下がらなかったのである。例えばPentium3(L2CacheのTDPに及ぼす影響は微小なので除外して考える)。0.25µmの500MHzではTDP28.0W。0.18µmの500MHzではTDP13.2W。いい感じですね~。理屈で行けば0.13µmの1GHzではクロック上昇を考えれば13W近辺と考えたいところですが、何と27.6Wです。そこで電流値に着目すると0.25µmの500MHzでは16.1A。Stop-Grant(Idleみたいなもの?)で1.40Aと未使用時の電流は微々たるものでしたが、0.18µmの500MHzでは10.0Aと6.9A、0.13µmの1GHzでは19.0Aと12.9A!何も処理をしていない時の電流が爆発的に増大しているのが分かります。一方、使用時/未使用時の差については電圧とClockを考えればほぼ理屈どおりになっています。つまりは半導体のはずなのに未使用でも電流が流れてしまうリーク電流がとてつもなく大きな要素となってきたのです。その影響たるや0.13µmでは消費電流の6割はリークとも言える状態です。

そして、CPU界のバブルPentium4では設計からして「予測で大量の処理を行い必要になった処理のみ採用する。」みたいなノリで作られています。使われもしない処理を大量に行い、そのまま破棄しているのです。まさしくバブル!もうとにかく最大パフォーマンスしか考えていないCPUです。その結果、最大TDPは80Wに届く勢いです。

この消費電力の増大がPCに何をもたらしたのでしょうか?80WといってもCRTディスプレイだって100W級なんだし大騒ぎするほどのものではないという意見もありそうです。しかし、CPUは大雑把に言って1cm角くらいの所で80Wに近い電力を消費し、熱となって放出されます。一方でCPUの耐熱温度は高くても100℃程度のものです。この厳しい条件が高度な冷却機構を必要とします。具体的には最低限大きなヒートシンクと風量の豊富なファンです。これが、デザインの自由度とコストに影響しているのが今のPCの現状です。コスト試算では微々たる差かもしれません。しかし、こんなに大きな冷却機構を必要としないならば、その分値下げができたかもしれない。その分機能が追加できたかもしれない。その分スタイリッシュにできたかもしれない。その分静かにできたかもしれない。・・・

PCの光だったCPUの性能向上。しかし今、その結果増大した消費電力という影が大きくPCを覆っている・・・。

CPUメーカはユーザなんか見ちゃいない

リーク電流の問題は半導体業界全体の問題でもあります。プロセス的に最先端を行っているCPUで問題が顕在化したためにCPUから見れば開発が遅れているように感じますが他の多くのチップが追いつく頃にはある程度の解決がなされるでしょう。リーク電流を抑える素材や製法の開発はしっかり進んでいます。

また、Intelでは設計方針自体を改善させたBaniasを発表しています。これは必要のない処理は極力行わず、使用していないユニットには電力を供給しないというPentium4とは全く逆の発想のエコロジー的CPUです。

しかしながら、Businessとは世知辛いものです。如何にもユーザのためにみたいな言い方をしていても実際には如何に利益を上げるかに執着しているだけで、利益を上げる方策の中にユーザの要求に答えるという項目があるだけです。それで充分じゃないかという意見もありそうですが重要なのはユーザの要求に答えることが決して優先順位として高い位置に無いということです。

例えば前出のBanias。今のところIntelではこれをDesktopに流通させるつもりは無いようです。それには絶対的な処理能力の後退とPemtium4系存続の問題、さらに言えばムーアの法則の遵守なども要因になりそうです。「これからはBanias」と言ってしまえば、Pentium4にかけた投資を回収しづらくなります。また、絶対性能ではやはりPentium4が上ですので、絶対性能で利益を上げるビジネスモデルを崩したくないIntelとしては極力Pentium4を活かす方向にするはずです。(Baniasがそれ以上に高く売れるのなら話は別です。)また、主力がBaniasに移ってしまってはムーアの法則を遵守できません。ことあるごとにムーアの法則を取り上げるIntelが法則に追い付けなくなったと発表せざるを得なくなった時、Intelのブランドイメージには傷が付き、またIntelはそれを恐れているでしょう。ブランドイメージを引き上げるために(他社競争とは言わずに)持ち出すムーアの法則でIntel自身が自らの首を少しずつ絞めているのです。

AMDも例外ではありません。いつでも何とかして高く売りさばきたいという意思はある意味Intel以上に強く感じます。一見アグレッシブに見える次世代CPU開発においても見方を変えれば、今後数年AMDはこのコア1つで飯を食っていかねばならず、どう転んでも対応のできる八方美人にせざるを得ないだけなのです。手堅くまとめればそこそこのポジションは確保できる。予想以上に反応が良ければすぐにユーザを締め付ける方向に動いてきます。それはK6時代~Athlon時代への態度の変わりようを見れば明らかです。

CPUメーカはユーザを見ざるを得ない

とはいえ、最終的にはユーザが購入してくれないと利益はでません。だから辛くなってくるとユーザに摺り寄るしかなくなって来るのです。Intelはすぐ値下げに走ります。(逆に言うと安泰ならば値下げはしない。)AMDは自作ユーザに助けを乞うのです。今、AMDはそういう状態です。

「なあ、ブラザー。AMDならFSBも倍率もマザーボードの設定次第で自由自在さ。一番安い1700+でいいから買ってくれよ。OverClockがうまく行けばPentium4より$100は安くてそれ以上の性能を手にできるんだぜ。定格で使ったってCeleronくらいならブッチギリさ。なあ、ブラザー。いいだろ?」ってな感じです。

Palominoまでは頑なに守ってきた\10,000という最低価格を、新コアThroughbredになったにも関わらず大幅に割り込んでしかも倍率可変まで許しているのは、相当に苦しいAMDの状態が良く分かるものです。一時期、自作市場でIntelとのシェア逆転に成功するなどAthlon絶頂期には価格は最低でも\15,000。倍率可変なんて許さないという強硬姿勢だったのに。倍率可変は不正規なリマーク品の横行が理由として挙げられていましたし、それは本当でしょうが、OverClock前提での購入を止めさせてより高Clockの価格の高いCPUを買わせようという意識があるのは見え見えでした。

思わぬタナボタが・・・

さて、大抵はコアが新しくなると値段が高くなるCPUですが、AMDの絶不調により(新コア移行が遅くなり過ぎたせいもあり)とりあえず最新プロセスのコアが\6k台で買えるというタナボタが起きたのです。しかも、倍率可変です。ってことは、チューニング次第でパフォーマンスを保ちつつ消費電力を下げることができるということです。AthlonXP1700+は実働1467MHz(133x11.0v1.5w49.4)です。最低クロックでも50W弱という点はいただけませんがその付近ではMobileAthlonXP1600+が実働1400MHz(100x14v1.3w25)で存在します。それに、2割Clockを落とせば消費電力は半分にできるというIntelのMobile法則もありますし、25W近辺をターゲットにしたパフォーマンスの良好なシステムは組めそうな気配です。25WといえばTualatinコアが30W前後で存在しますが、それを大きく超えるパフォーマンスを実現できれば乗り換える価値はあるということです。

TDP30W以下のレベルでパフォーマンス最善を目指すなら

じゃあ、今後も含めてTDP30W以下でどのようなCPUを選択していけるか?です。

現在Pentium4では最安の1.6AGHzは(100x16.0v1.5w46.8)です。そのままのClockで1.2Vを切る電圧で駆動できればTDP30Wが見えてきます。しかしながら、Pentium4で1.6GHz程度では大したパフォーマンスは期待できません。そもそも効率の悪いCPUなので同じTDPで勝負となると俄然不利になってきます。

Pentium3系では最高でも35W以下ですから、最高パフォーマンスとなるPentium3-S1.4GHz(133x10.5v1.45w31.2)で行きたいところですが、いかんせん価格が高すぎます。妥協案としては1.13GHzをOverClockして(166x8.5v1.45)で行ければ1.4GHzを確実に超えるパフォーマンスを手にできます。

CeleronはPen4系コアでの選択肢がありません。Tualatin系で1.4GHz(100x14v1.5w34.8)となりますが、できればとっても安い1AGHzを(133x10v1.45)くらいで動かせれば良いのですが。成功率の高くない賭けになってしまいますね。ちなみにうちの1AGHz君は(133x10v1.66)となってしまいTDPは40W圏になってしまいます。ガックリ。

AthlonXPはThroughbredコア限定で上述のとおりです。(166x8.0v1.2)で動いてくれると確実に30W以下ですし、パフォーマンスも1500+を超えるので一番候補になります。Palominoの時からの情報を知りうる限りではできそうな気もしますがやはり賭けですね。MobileAthlonXP1600+か1800+の方が動く可能性が高そうな気もします。

Duronは選択肢がありません。GHzを下回っても良ければTDPを抑えることはできますが。

C3はTDP的には余裕です。どんなに頑張ってOverClockしてもTDP30Wには届かないでしょう。その前に壊れます。きっと。ただし、パフォーマンスもどんなに頑張ってもCeleronにも届かないと思います。合掌。

Nehemiahの登場が近づいています。1.4GHzをターゲットクロックとしているようです。仮にC3と同じ電圧1.35V(1GHz除く)で動作したとして、トランジスタの増分に比例して消費電力が増大するなら(133x10.5v1.35)の予想TDPは約20Wです。余裕ですが、同ClockのCeleronにパフォーマンスで劣ります。結局TDP対パフォーマンスで比較するということはCPUの効率を見比べることですから、同じプロセスでは差が付き難いのです。パフォーマンスは最低限でいいからTDPをより積極的に落としたいという局面でVIAのCPUは活きて来ます。

Baniasは効率最重視の設計ですから0.13µmコアでは一番期待できるCPUです。1.6GHzでPentium4-2GHzを超える性能とTDP25Wを実現します。但し、Desktopに来る可能性が低いです。

ClawHammerは同じ0.13µmコアでもSOIを採用してリーク電流を抑えてきます。しかし、その分は機能追加とClock向上に費やしてしまいますのでTDPは高いままです。価格も当分の間は高いままで推移するでしょう。

Prescottは0.09µm一番乗りのコアとなるでしょう。しかし、その分はキッチリClock向上に費やされますのでTDPはバカ高いはずです。倍率変更が効けばDownClockという手が使えるのですが・・・。

DothanはBaniasをさらに効率化して0.09µmで製造されるコアです。最も期待できるのですがやはりDesktopに来る可能性が低いです。

つまるところ

今、いろんな意味でベストバランスと呼びたいCPUはAthloXP1700+(Throughbred)となるわけです。ただし、映像を編集したりせずに見る程度で他にも特別重い処理はやらないよという方はとっても安いCeleron1AGHzかVIAのNehemiah待ちです。TDPに強いこだわりを持つかどうかでどちらか決まります。チップセットも含めて考えるならEPIA-Mという選択肢もあります。最新デバイスに最低限の処理性能と圧倒的に低いTDP。価格がもっと落ちてくれば魅力的な選択肢です。

結局何でこんな話の流れになったかというと、Celeron1AGHzで充分って思っていたんだけど、DVD-Rを買ってMPEG2編集をやり始めたら、「あれっ?もうちっと処理能力欲しいなぁ。」と思った次第で。また、ちょうどいいタイミングでnForce2チップセットの流通とThroughbredのお買い得感と今後の見通しの暗さからこんなこと考えちゃったんですよね~。

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当記事には根拠に欠ける邪推や妄想が混入しています。
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[記事作成日: 2003-01-12] ※誤記訂正のみの更新等は含みません

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