KING JIM 「PORTABOOK」 応援したいが良さを理解するのが難しい


デジタルメモ「pomera」シリーズという、テキスト入力特化型デジタル文具でコンピューティングデバイスへの取っ掛かりを掴んでいたキングジムさんから、ついにノートPC「PORTABOOK」XMC10が発表されました。


文具屋さんならではの視点で開発されたと思われるこの製品、ですが、面白い機構を組み込んでいる反面、メリットよりもデメリットの方が大きいと思わざるを得ない点が多いのが惜しいところです。


何よりも価格が高い。しかも、それがほとんどキーボード変形ギミックのコストに取られてしまっているのではないか、と思ってしまうくらいに他の仕様が貧弱なのです。


ちゃんとしたキーボードを持ちつつも、携帯時にはA5サイズの手帳を持っている感覚、というのがこの製品の死守ポイントだと思われますが、そのフットプリント(底面積)を実現するためだけに費やしたコストと諦めた性能があまりにも多き過ぎやしませんか? と筆者は感じます。


8インチで解像度1280x768Pixelsの液晶画面。

表示品質が余り良くないという話も聞きますが、それ以前に、縦解像度が768pxで良いや、って思った理由は何なんだろう? と思います。

寸法に余裕が無いわけではありません。この製品の画面周りの縁はかなり大きい方です。

テキスト入力機器に携わっていた人達が縦解像度の重要性を無視するなんて、どういうことなんでしょう?

pomeraと同じ画面縦横比4:3とか、Microsoft Surface 3みたいに画面縦横比3:2とか、そこまで大層なことを要求しないとしても、1280x800Pixelsの16:10くらいはコスト的な問題もほとんど無く載せられたんじゃないか。

そんなにケチらなきゃ成立しなかった? キーボードだけちゃんとしていてもしょうがないって領域に踏み込んじゃっているような気がするんですけども。


結局は、使用時には12inchノートPCと同じくらいの幅を取るわけです。

それでも画面は小さい方が良い、ってことなんですか?

飛行機や新幹線で使いたいから? その割には本体奥行きは153mmと結構ある。

8.9インチで1280x800Pixelsの液晶画面を持つ、ASUS TransBook T90Chi (T90CHI-3775)は137mmですよ?


そして、せっかくちゃんとしたキーボードを搭載していても、変形ギミックのせいで分厚くなってしまい、キーボード面が高くなってしまうという問題があります。

パームレスト面をほとんど持っていないノートPCで、段差が大きいとそれだけでキーボードの打ち易さは後退します。

変形ギミックのせいで、キーボードの底面をしっかりさせなければならない、本体側にも平面が必要になる。結果、分厚く重くなる。

A5サイズからすると全く軽いとは言えない830gの重量。

それなのに、バッテリー駆動時間が5時間ぽっちというのが壊滅的。

それもこれも、みんな変形ギミックのせい。


そこまでして、A5サイズとちゃんとしたキーボードの両立に拘る意味ってあったのだろうか?

せっかくそこを両立しても、画面で我慢、バッテリー駆動時間で我慢、性能でも我慢。

その性能にしても、なるべく我慢させたくないという思いがあったのか、SoCだけはIntel Atom最新世代の最上位であるx7-Z8700をおごっています。

しかし、そこで欲張ってしまった皺寄せなのか、メモリは2GB、ストレージは32GBという最低限仕様。

変形ギミックのせいで、我慢しなければならないところの多いこと多いこと。


それでいて、実売予想価格が約9万円て。


9万あったら、Microsoft Surface 3イケるし、ASUS TransBook T90Chi (T90CHI-3775)にすれば3万でイケるけど、A5サイズにそこまでの価値って見い出せる?


拡張端子類を本体背面にまとめて、少し奥まらせて蓋ができるというのも、今では新鮮に見えるかもしれないが、10年くらい遡れば普通にあったもの。

しかも、その手法は据え置き型ノートPCをすっきりと使うのに有効なのであって、小型で、しかも、使用時にはキーボードが左右にはみ出すような製品なら、左右どちらかに集中させて蓋を付けた方が良かったのではないだろうか。

どうせ、接続部分ははみ出たキーボードの陰になるんだし、わざわざはみ出さない面を使って引っ込めるなんて回りくどいことしなくても良いと思う。


あと、微妙に気になるのが、キーボードのはみ出し方。

左右平等にはみ出しているけど、結果的にホームポジションが本体中央よりも左にずれる。

これって、どうなんだろう?

テキストの書き出しが左上だから、やや左にあった方が良いんだ、ということなのかな?

いっそのこと、極普通の2つ折りキーボードを左半分は最初から本体に埋め込んじゃって固定しておいて、右側だけはみ出させるようにしても良かったんじゃないか?

その方がギミックのコストも重量もマシになったのではないか?

さらに分厚くなる? そうでもない。

拡張端子類は左側に寄せて、右側の寸歩はキーボードギミックのために取る。こっちの形ならキーボード左側に強化平面は必要ないからね。

さらに、キーボード左側が本体固定にできるなら、ポインティングデバイスだって、光学式フィンガーマウスじゃなくて、ポインティングスティックでイケるはず。

クリックボタン面の段差も少なくできるでしょう。


それで、8.9インチ1280x800Pixelsの液晶画面とか、4GBメモリ、64GBストレージとか、仕様強化しても価格同じか、むしろ、下げられるくらいでいけるんじゃないだろうか?


そんな風に筆者は思ってしまうのでした。


ちなみに、変形ギミックを飛び道具としたいのだったら、いっそのこと、液晶画面を縦長搭載しちゃえば良いのに、って思う。

800x1280Pixelsにしちゃう。んでクラムシェル型ノートPCの形態を取る。

一見、普通のノートPCなのに、長辺を開くのではなくて、短辺の方を開く。

キーボードは分割しなくて良い。縦に収めているだけにする。ポインティングデバイスも一緒に。

そして、縦長に収まっているキーボードをくるりと回転させて、横長にして使う。

その方がよっぽどインパクトがあるし、テキスト編集は縦長が良いって文具屋の拘りも表現できると思うんだけどなぁ。

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[記事作成日: 2016-01-07] ※誤記訂正のみの更新等は含みません

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