CPU Expect2001.10
当記事には根拠に欠ける邪推や妄想が混入しています。
事実の確認は各自の自己責任においてお願いします。
筆者が未だ使用したことの無いCPUについて、所感を綴るという無責任っぽいコーナー。2001年10月版。
性能が売りのCPU
Intel Pentium4
他社との競争という観点では成功。しかし、業界全体に与えた影響は大きなマイナスという気がしてならない。
動作周波数の向上を何よりの優先課題としたこのCPUではSSE2とメモリ帯域以外は進歩無し(と言うより時代の流れからすれば退歩と言いたい)。おまけに大消費電力と熱問題を連れて来た。代償が大きすぎるのである。
Pentium4は発熱量が大きい割に高温に耐えられないCPUである。結果として、CPU冷却に最もコストのかかるCPUとなっている。それが、今後PCに一番採用されるCPUになるというのは普通ではない。誰にでもスーパーカーを買わせるようなものだ。
また、現在の冷却システムは空冷が一般的だが、騒音が発生するという問題がある。「このファンの音がたまらない」というマニアな方は置いといて、普通は静かな方が好まれる。しかし、この点においては明らかに退歩している。
PCでAVと新しい需要を喚起しようとしているが、肝心のPCが五月蝿くてはAVも楽しめない。リビングに置くのは躊躇してしまうだろう。こんなことでは、まだまだPCは家電になれない。
現時点(2001.12)では、ハイエンドを狙えばAthlonXPの方が魅力的に映り、ローエンドの方はAthlonはおろか、Duron・TualatinコアのCPUにも遅れを取りかねないPentium4は選択肢になりづらいです。
周波数の向上の割に性能向上率が思わしくない、消費電力の大きい、五月蝿いこのCPUは筆者にとっては著しくバランスを欠いた製品に映ります。0.13µmプロセスになるNorthwoodでどう変わるか注目したい。
AMD AthlonXP
モデルナンバー導入が話題ですが、性能という観点では最もバランスの優れた製品。Pentium4がSSE2を使用し、メモリを酷使するアプリケーションのみに特化したのに対して、AthlonXPでは何をやっても今までより速い。
ただし、AthlonXPも以前ほどでは無いとはいえ、発熱量の大きいCPUで、五月蝿くなるのは否めない。Pentium4に比べて高温に耐えうるので、冷却コストはPentium4ほどはかからないだろう。コストパフォーマンスはこちらの方が上である。
現時点(2001.12)では、やはり消費電力と発熱の問題で手を出しにくいが、1500+ならば安くて速くて妥協点かと思う。1900+との差は実クロックではわずか267MHz、20%だ。500MHzと600MHzとの差と割合は等しい。
0.13µmとSOI技術でどこまで改善されるか。Bartonの登場を待ちたい。
お買い得感が売りのCPU
Intel Celeron
最新の1.2GHzではコアを0.13µmプロセスのTualatinにして、L2Cacheも256KBと、スペック上Pentium3との差はFSBが133MHzか100MHzか程度になった。しかし、ベンチマークの結果などを見るとどうもそれだけではなさそうな感じ。例によってレイテンシなどのチューニングでも差を付けられている可能性あり。なにせ、Tualatin-256KならAthlon(XPではない)といい勝負ができるはずなのに、そこまでの結果が出ていない。ちなみに、OverClockを目論んでもFSB133MHzとなる133x12=1600MHzでは望み薄。
IntelのCPUでは値段の安いCeleronだけにまあ、お買い得感はそれなり。同ClockのPentium3の半値程度で入手できる。ただし、将来性は殆ど無い。蓋を開けただけで保証対象外となってしまうようなメーカー製のPCでなら、バランスのとれたCPUとして買えるのではないでしょうか。
自作機で選ぶには消費電力がそれほど高くないので、小さな筐体を使用する場合に適するかもしれない。出来ればIntelには倍率変更を可能にしてもらいたい。OverClockよりむしろClockDownして静音化して使いたい。
AMD Duron
1GHz以上のDuronは最新コアのMorganを使用している。処理によってはAthlon1.4GHz(XPではない)を上回るパフォーマンスを示すので選ぶなら是非とも1GHz以上にしたい。ただし、AthlonXPとの違いはL2Cacheが256KBか64KBかという差だけで、今までのように電圧が低いという事が無いから、消費電力はAthlonXPに近くなっている(L2Cacheは消費電力にあまり関与しない)。金額的にも大差は無いので、Duronの1GHz以上を買うなら、AthlonXP1500+(1.33GHz)まで頑張ってしまう方が良さそうだ。
価格の安さだけで、最低Clock品を購入する手もある。今や、Dulonの最低Clockでも通常の処理速度に不満が出ることは無い。
低消費電力が売りのCPU
VIA C3
本当の狙いはコスト最優先の最安値CPUなのだが、DuronやCeleronの低Clock品と大差ない価格となっているため、安さが売りのCPUという印象はあまり無い。
このコスト最優先の設計のお陰で、特徴(特長ではない)が2つできた。1つは低消費電力。最近ではCPUだけで電球レベルの消費電力になるが、このCPUでは数年前の水準である数Wというレベルに収めている。システムによってはCPUファン無しでの運用が可能だ。
もう1つの特徴は低性能。同ClockのCeleronやDuronに比べて性能が劣る。DVD再生にしてもVGAカードの手助け無しにコマ落ち無しで再生できるとは断言できない。
折角の低消費電力だが、絶対的な性能に不安があるため、AV用途には不向き。余り負荷の高くないServerとしての使い道が一番的確かもしれない。価格が飛びぬけて安いのならビジネス用途に向くと言えるのだが、現状ではCPUファンレス運用にしか活路を見出せない。
C3-800MHzからは0.13µmプロセスになっているためさらに消費電力を低減でき、購入するなら800MHz以上という感じだが、入手性に難があるのと、価格が若干高め。
C5Xという次世代コアでは性能改善をかなりしてくるみたいなので期待が持てるがその頃には他社でもっと魅力的な製品がでていそうな気もする。
Crusoe TM5800
CPU自体はx86CPUとの互換性が無く、ソフトウェアで命令を変換して実行する、常にエミュレーションしている感じになる。そのためか、レスポンスの点では多少不利になる。ただし、x86のしがらみが無く、CPUとして最適の設計に集中できるためCPUの性能はバランス高く、高性能低消費電力化が一番進んでいる。
いっそのこと、NativeサポートとかWindowsがしてくれたら、どかーんと普及しそうなものだが、政治的に無理があるのかなぁ。サーバーとしても魅力的なのだが、今のところ小型のノートパソコンしか選択肢が無い。
次世代のTM6000では機能統合を推進して、システム全体での消費電力を一層低減できるものになるらしい。そして、サーバー分野への進出も、家電としてのPCとしても期待が持てる。業績は良くないのに期待され、大メーカーに恐れられるのはそれだけのポテンシャルがあるからだ。間違い無く次ぎの需要を喚起しうる性能に一番近いものを持っている。
ニッチだけど魅力あるCPU
Pentium3-S
Pentium3の最終バージョンとなるTualatinコアのL2Cache512KB版。Dual動作もサポートされる。CPU単体としてはチューニングはし尽くしたといった感じだが、残念な点が2つある。
1つは0.13µmにして、思いのほか消費電力が下げられなかったこと。リーク電流が多いとのこと。これはプロセスが微細なると出てくる問題のようだが、SOIのような技術で更なる消費電力低減を目指して欲しいところ。
もう1つはメモリ帯域に不足が見られ始めたこと。FSB133MHzでは1.06GB/sのメモリ帯域があるわけだが、Athlonの1/2、Pentium4の1/3になる。特にDual運用時に処理の内容によってはここがボトルネックになる可能性が出てきた。
CPU単体の性能は高バランスだが、システム全体のポテンシャルに限界が見えてきたのと、価格が高いのがネック。しばらく経って、これがこのままCeleronとして出てくれるなら買いの一品だが、Pentium4ベースになる予定で、出て来そうに無い。
BaniasというコードネームのCPUが気になる。モバイル向けということだが、時代の流れによってはデスクトップの世界にも投入せざるを得なくなるだろう。上述したTualatinの弱点を改善して、Pentium4の機能を取り入れたならば、決定版になれるかもしれない。
K6-3E+
わはははっ、石投げないで。イテッ。Socket7オタクでスンマソン。冷静に見ればこんな時代遅れな石、じゃないんです。対消費電力、対Clockの性能では決して現代のCPUに劣っていません。まあ、絶対的には見るべきものが無くなっているかもしれませんが。
Bartonが狙いどおりの性能を発揮できれば、K6-3E+なんてさっぱり忘れることが出来るのでしょうけどね。今でも思いますよ。買っちゃおうかな~って。高くて買えないけど。
組込向けなので購入できませんが、400MHzで1.6Vという仕様があるようです。TDPは9.5Wになるようです。若干C3より高いですが、CPUファンレス運用も可能でしょう。400MHzもあれば性能はC3を充分上回れます。定格外運用を前提で、市場から消えつつあるK6-3+を100x3.5v1.5で動かすことが出来れば7.5Wになります(K6-2E+のデータシートより)。
ってわけで、是非0.13µmプロセスにしてSOIで製造し、再度販売して欲しいCPUなのであります。SocketAで。さすれば、800MHz(133x6v1.2)で7~8W程度で収まりそうなんですが。