DownClockのすすめ

当記事には根拠に欠ける邪推や妄想が混入しています。
事実の確認は各自の自己責任においてお願いします。

現在のPCは性能過剰で電気大食らいの傾向にあります。1台のみ所有の場合はともかく、複数台所有で用途を限定している場合は過剰な性能を削ぎ落とすことで良いことが幾つかあります。ここではCPUに着目してDownClockの効用を考察してみたいと思います。
言うまでもなく、定格外の動作は保証範囲外の行為です。自己責任でお願いします。

CPUの特性について

CPUのクロック-電圧相関図

上の図はCPUのVcore電圧と動作可能周波数(Clock)の概念図です。禁無断転載です。一応。緑色の範囲が動作可能な設定範囲となります。
一般にCPUは高い電圧をかけると高いClockでも動作します。限界は当然ありまして、CPUの設計上の限界でそれ以上のClockを望めない場合とCPU破損の危険性からそれ以上の電圧をかけられない場合とがあります。この見極めは結構難しくて、OverClockをする人は「まだまだ行けるはず」と電圧を上げてCPUを破損した経験を持つ人も多いかと思います。
逆に電圧を低くすると動作可能周波数も下がってきますが、こちらも限界があります。CPUが0と1を識別する境目となる電圧を下回った場合とMotherBoardやCPUの設定が無い場合が相当します。破損の心配については勉強不足のため何とも言えません。低電圧だから大丈夫とは一概に言えません。

OverClock

OverClockについて軽くさらっておきます。
CPUはその性能を保証するためにある程度のマージンを取ってあります。例えば、電圧はそのままで多少定格より高いClockでも動作します。(上の図のから右方向に行ったところ)そのClockで満足出来ない場合は、電圧を上げます。すると、動作可能周波数が上がります。このようにして満足の行く設定を見つけることがOverClockだと言えます。(上の図の

MobileCPUについて

MobileCPUはある種DownClockを保証した(?)CPUと言えます。同じコアのCPUであっても、定格とする電圧を低くして売られています。その分、動作可能周波数が下がりますから、ラインアップはどうしてもデスクトップ向けより低い周波数で展開されることになります。
性能的には見劣りするわけですが、発熱・消費電力の点では大きなアドバンテージがあります。以前Intelが発表した資料の中で興味深いものがありました。「一般的にClockを20%落とすと、20%低い電圧で動作できる。すると発熱・消費電力は約50%に削減できる。」と。MobileCPUに関しての資料で、Intelはマーケティング的にDesktop向けCPUの20%下でMobileは推移するよ、と言ってたわけですが、同じCPUのことですから、Desktopでも適用できるわけです。(上の図の
なんで、20%20%で50%やねん。って話ですが、CPUの発熱・消費電力はClockに比例し、電圧の2乗に比例するという法則があります。この法則を当てはめると0.8x0.8x0.8=0.512と約半分になることがわかります。

DownClock

さて、DownClockです。まず、希望のClockを設定します。定格電圧であれば故障を除いて間違いなく動作するはずです。今度は電圧を落として、起動できる最低の電圧からマージンを取ってちょっと高めに設定します。(上の図の
さらに、究極の低消費電力を目指す場合は設定できる最低のClockで電圧を落とせるところまで落とします。(上の図の)場合によってはCPUファンレスも望めます。

DownClockの制約

実は最近のCPUは設定に制約が多くておいしいDownClockはやりにくい状況にあります。

DownClockの未来

現在CPUの殆どがファンを必要とし、処理によっては余剰な性能を持つようになってきています。例えば、Pentium4 Extreme Edition 3.2GHz(Northwood)でTDPmaxは92.1Wです。常に92.1W消費しているわけではありませんが、最大で92.1Wを消費し得るということです。性能を必要としないときには電圧やClockを自動的に落として消費電力をセーブする機能を組み込んでいるものもあります。必要な時に必要なだけのパフォーマンスというのは大変良いことですが、最大で92.1Wである限り92.1Wに対応する冷却装置が必要になるのです。性能競争のためだけにどんどんとClockと消費電力が上がっている現状では筐体を小型にしたりCPUファンレスにしたい場合の選択肢が非常に限られています。
今後は、低消費電力にフォーカスしたCPUのラインアップを充実させる必要が出てきます。
IntelはPentium4系列では性能最優先、Pentium-M系列ではバランスということになっていますが、Pentium-M系列でも性能の方がPriorityが高いようです(Mobileであっても可能ならTDPを上げたいと思っている)。
AMDは複数のベクトルのコアを開発できるだけの企業体力を持ち合わせていませんので常に最適バランスを探ってはいますが、基本的には性能でIntelに劣ると駆逐されてしまう危険性があるために性能でIntelに劣らない範囲でのバランス追求となっています。
VIAは低消費電力CPUというイメージを確立したかのように見えます。が、絶対量的にはまだ採算ラインに乗らないようです。CPU事業が主体でないからこそ赤字続きでもここまで生き残ってこれたという感じです。勿論、近い将来の黒字転換を目論んでいる事は間違いないのですが。性能という点で普及ラインに到達していないのが痛いところです。
Transmetaは低消費電力CPUの先駆者です。が、いかんせん流通量が少ない状態です。VIAと同様性能的に不足がある状況でしたが、最近新設計のCPUを発表しました。Intelとは違いまずは消費電力で縛りを設けた上で性能向上を目指した製品ということで、期待が掛かります。
悪口を言ってはいけませんが、個人的にIntelにはちょっと痛い目を見て欲しいですね。そのためにはIntelより優れた製品が是非とも欲しいのですが、なかなかトータル性能で上回れないために結局Intel好き勝手になってしまっていますので。
あっ、論点がずれました。何が嫌かってDesktopでは無尽蔵に電力を消費するCPUしか提供してくれないこと。低消費電力で効率の良いTuningをする手段の多くを出来ないようにしていること。折角バランス最強で歓迎したPentium-Mもライバルが弱いのをいいことにTDPを吊り上げることによる性能向上で儲けようとしていること。です。要は消費電力を軽く見過ぎているから嫌いなんです。Pentium3の時はAthlonより低消費電力でかつ性能的にも頑張っていたので好きだったんですけど。

CPU別Tuning

では、それぞれのCPUでおいしい設定とはどのようなものでしょうか?基本線を考えてみたいと思います。

筆者のCPUは

で、筆者の現在のCPUの設定ですが、望んでいる性能に合わせてカスタマイズしているので定格動作がひとつも無いんですね。これが。

当記事には根拠に欠ける邪推や妄想が混入しています。
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2002-05-10

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