ネットブック 終わりの始まり

当記事には根拠に欠ける邪推や妄想が混入しています。
事実の確認は各自の自己責任においてお願いします。

Asus EeePC 4G

日本でだけ社会現象的流行を見せた?ネットブックもいよいよ終わりそうな雰囲気を感じるようになった。

って、原稿書いている間に実際終わりな販売データが出ちゃいましたな。

もちろん、完全に無くなったりはしないだろうと思う。
だが、その市場は少なくとも短期的には縮小を免れない。その最大の理由は「不自由なノートPC」から抜け出せなかったことにあると考える。

在りモノの組み合わせで安く作る。コスト最小を求めた結果の本体の小ささと重さ。このコンセプトは大いに受けた。

しかし、当然不満も出る。ストレージ容量の不足、画面の小ささ、キーボードの小ささ、etc……

話題となったASUS EeePCの初代はストレージ4GB、画面7インチ、キーピッチ16mmと何もかもが工夫(我慢?)が必要だった。でも手軽だった。

今のネットブックの主流はストレージ160GB、画面10.1インチ、キーピッチ17.5mm。どれも進化した。ただし、ノートPCとして。

ちぐはぐなネットブック

多彩な作業をこなすノートPCの一派で居たいのか?それとも手軽なコンテンツブラウザ+αのMID(Moblie Internet Device)の一派で居たいのか?今一つ足がふら付いている印象なのである。

筐体の大型化とキーピッチの拡大は明らかにノートPC寄りの進化だが、据え置かれた画面サイズ・解像度はどう考えたらいいのか。今のネットブックの大半は11インチの液晶画面がゆうゆう収まるほど大きいのだ。

また、長い間性能向上を抑えられてきたネットブックはノートPCとして作業効率が必ずしも良いとは言えない。ふと見上げると、11~12インチで段違いの性能を有する製品がさほど差額も無しに購入できる。

いわゆるWebとメール。ほとんどが情報の受け手としての操作であって、あまり作業はしないという用途なのであればキーボードはもっと貧弱でも良いから画面サイズに合わせて筐体を小さくした方が良い。

OSだって、それ用のものを搭載すればネットブックとしての性能は十分なものだし、画面解像度の問題も1024×576であっても大きな問題にはならないはずだ。
(もっとも、在りモノの組み合わせで安く上げるというネットブックの趣旨からして当初Windowsを搭載していたことは全く理にかなっているものではあった。しかし、WindowsであるがゆえにノートPCとしての進化をしないと不満が募るという結果にも繋がったことも事実である。)

富士通

ちょっと脱線

実はネットブックの性能はネットブック本来の用途(ネットとメールが主体)を考えると十分にある。
現在のネットブックの中心にあるCPUはIntel Atom N450(シングルコア・2スレッド1.66GHz, L2 512KB, 45nmプロセス)。その性能は大雑把に言って7~8年前レベルのもの。

しかし、モバイルPCとして見ると4~5年前レベルとなり、PentiumM(Dothanコア)で言うと1.2GHz辺りと良い勝負をする。TDPはCPU部分で2.5W(N280のSpecから引用)と1/10レベルに低減している。

だが、ノートPCだと思ってしまうと、やはり7~8年前のシロモノなのだ。起動が遅い。起動してしまえば何不自由ないのだが。
(実は個人的にはあまり不満に思っていない。もっともだと思っているので。でも、とりあえずWebだけ見たいというような人に対してこの起動の遅さはとても薦められないものだ。)

メーカー側でもそれを分かっていて、Webとメール、映像・音楽再生などコンテンツブラウザ+αの用途に十分な機能を持ちながらスリム化したOSを選択起動できるようにし、起動速度を十分に速くした製品も存在する。むしろこのカスタマイズOS搭載の方がネットブックとしては正しいあり方のような気さえする。
(ただ、筆者が購入したIdeapadS12のカスタマイズOSは起動は十分に速いのだが日本語処理に難があったので、やっぱり初心者には薦めづらかった。だってどう設定をいじっても、日本語入力のために2アクション必要、かつ、変換処理が入力している場所と全然違う場所で行われてどうにも分かりづらいUIなので。英語圏では全く問題にならない話だが。)

フォローの積み重ねで転換点へ

2年前ならこれでも万々歳だった。でも今なら、PDAあるいは携帯の文化から進化してきたMIDの方が多くの人の用途に合っていると言えそうな状況になりつつある。UIの進化によってキーボードが無い不便さを徐々にではあるが補えつつある一方で、用途の変化によってキーボードそのものの使用頻度が低下する。例えば、予測変換。うまく使えばキーボードの入力回数を激減させることができる。そして、ソフトキーボード。ハードキーボードを省略した分を軽量化と画面拡大に充てる。画面が拡大すればソフトキーボードの使い勝手も良くなる。

多くの人にとってキーボードが無くても、より軽かったり、より小さかったり、より画面が広くなったりするならばその方が良いという状況になりつつあるのだ。
ネットブックの片手持ちは不可能に近いがMIDの片手持ちは普通に可能だ。
使用時間の大半が片手で済むようになれば携帯電話に近いレベルで使ってもらうことが可能になる。そのときの市場規模はPCの10倍レベルだ。
(個人的にはキーボード付きが好みで、実際にPDAとしてCASIO G-FORTSHARP W-Zero3[es] (WS007SH)、ノートPCではToshiba LibrettoM3を使用してきたが、正直どれも少々無理があって、快適な入力ができるものではなかった。G-FORTはキー配列が特殊過ぎて慣れきることができなかったし、このときのソフトキーボードは解像度の低さと変換機能の弱さでストレスフルだった。W-Zero3[es]は配列が残念で、QWERTYの列が1つ左にずれている為にいつも打ち間違う。LibrettoM3はキーピッチが狭過ぎて打ち間違うことが多かった。で、結局移動中の入力そのものが面倒になって移動中のキー操作はほとんどしなくなるのだった。)

ネットブックは原点回帰

ネットブックの旬は短かったが、ある程度市場を守りたいという思惑も発生するはず。市場衰退期に良くある方策が2つある。

  1. 高級化路線
    不足や欠点を補うことで従来と同じレベルの価値を保持しようとする作戦。
    近々CPUのAtomにクロックアップ版(1.83GHz)またはデュアルコア版(1.5GHz × 2)が登場する予定である。
    しかし、価格は据え置きとは行かなさそうで、CULVとの格差がまた縮まる。
    (あるいはCULVをAtomデュアルコアに置き換えようとしているのか?)
  2. イロモノ路線
    特別デザインとかちょっとした小手先の変更で一時的な需要を維持しようとする作戦。
    実はネットブックにおいてはもうかなり前から行われていてそろそろ行き詰まり感あり。

で、大抵はどちらもそううまくは行かず、やがて新製品も出にくくなり、ベーシックな機種だけが残るのではないかと。
エントリーベーシック(古い自動車雑誌みたいな言い回しだ)の需要は少なからずあるので改めてコスト重視でシンプルな最低限のノートPCとして生き長らえるのではないかと思う。
では、落ち着きどころはどこか?希望を大いに含めてしまうがこれを記述して今回はお終いとしよう。

基本的には極端な不自由を生じさせない中でコスト最小を目指すノートPCというスタンスだ。「ノートPC画面のサイズと解像度を考える」でも書いたが、ノートPCとして縦解像度600ピクセルは不足。最低限度として720ピクセルを推奨したい。縦横比16:9主流の現在では画面解像度は1280×720となる。

画面の大きさはそれ程欲張らなくても良い。ここは我慢するところ。画面の小型化は直接バッテリー駆動時間の延長、または、バッテリーの小容量化=小型軽量コストダウンに寄与する。また、キーボードももう少しサイズダウンしてよい。

ブックオフオンライン【PC・スマホ共通】

具体的には「気になるPC#2,3「Sony VAIO P, VAIO X」」にも書いたようにタッチタイプできる最小のキーボードがSony VAIO Pと考えるため本体の横幅は250mm程度で良く、画面も余り欲張らずに9インチ程度で良い。
その位のサイズでコスト最小を追求していただきたい。
OSはネットブック最適化したものがあればそれでも良いし、普通のノートPC用OSが動くならばそれも良しとする。
価格は2万円台が当たり前になって欲しい。

当記事には根拠に欠ける邪推や妄想が混入しています。
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2010-04-25

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