気になるPC#7「Open Pandora」
サイズ的にはMID / SmartPhone / PDAの類い。しかし、何かと制限を付けたがる量産メーカーでは実現しようの無いパッケージングから漂う匂いは携帯ゲーム機&PocketPC。
OpenでGeekなデバイスに夢が広がりまくりingだが、入手の壁も言葉の壁も使いこなしの壁も高い。
移動中の使用に理想的なサイズ
ヒキコモリ属性のくせに人生の多くの時間を移動に吸い取られている筆者は、結構古くからPocketPC的なデバイスを使ってきた。
- NTT DoCoMo G-FORT
処理性能や画面解像度が低く、IMEの変換機能もしょぼい状態でスタイラスペンを使って入力とか拷問かと。付属のキーボードは入力形式が特殊で慣れることができなかった。 - Willcom W-ZERO3(es)
乗り換えられる先が見つからずに、3台5台(うち1台はフレキケーブル破断により故障、1台は平型イヤホンコネクタが破損、ニコイチ化により4台は運用可能)も所有。キーボードの配置がPCと微妙にずれているため誤入力が増えて気に入らないが、持って入力することを考えると幅方向のサイズはベストに近い。2.8インチと画面が小さいのが難点。処理性能ももっと欲しい。 - Willcom HYBRID W-ZERO3
通信料金につられただけで本体には何の魅力も感じないが、esよりは画面が大きく、処理性能が高い。それでも全然不足だが。IMEの変換機能が大幅に増強されているがキーボードを省略された欠点をカバーし切れてはいない。結果的に通信を伴う作業やGPSなどこの機種でないと使えない機能を使うときには使用するが、それ以外ではesを使用しつづけるハメに。バッテリーの持ちもよろしくない。 - Sony VAIO P
上記で小さいとばかり言い続けてきたので、大き過ぎる例として記述。据置でまともに入力できる最小のキーボードは持って入力するには残念ながら大き過ぎる。画面の大きさはこれぐらいあっても全然OKだが。
つまり持って入力するデバイスの横幅はesの135mm辺りが最適なのであるが、Pandoraは横幅140mmと理想的である。そして画面サイズは4.3インチとそこそこ大きい。比較的分厚くて重いがそれでも335g。VAIO Pの半分強で済んでいる。G-FORTにキーボードを装着したときと同じ位だ。4000mAhと、W-ZERO3の3倍レベルの大容量バッテリーを搭載しているから稼働時間にも期待が持てる。
その大きさなら他にもあるぞ、と、その通りなのだが、キャリア縛りがウザくて食指を動かしづらい。それを除外したとしても例えばau IS01はせっかくサイズは良い感じなのにキーボードが据置き入力を想定しているような平板キーで、持って入力しづらい。Softbank 005SHはただでさえ不足なバッテリー容量をさらに削ってまでサイズを小さくしようとしていてやり過ぎ。せっかくキーボードの配置や形状は好ましいのに縦4列と数字の列を省略してしまっているのも削り過ぎ。
これらはいずれもSHARPの製造だが、どうもSHARPは初代W-ZERO3のときの(当時としては)通話するには大き過ぎるとの評判を引きずっているのか、以降、通話も想定した機種では必要以上にサイズを削り過ぎている嫌いがある。一方で通話を想定しない機種では皆一様に平板な据え置き型PCのようなキーボードを搭載している。NetWakerしかり。
その他、大きめサイズでチクレットタイプ(粒ガムのような形状で持って押しやすい)のキーボードを持つ機種は揃って配列が格子状になっていて、PCの配列と異なるという、本当に「これっ!」って思える機種不在の状況がずっと続いている。
コントロールパッド付属
さて、PandoraはチクレットタイプでPCに近い配列のキーボードを装備する以外にコントロールパッドも搭載している。これはゲームの操作性向上も重視しているためである。L・Rボタンに相当するものもボディ側面に搭載している。
筆者も移動中常にキー入力をしているわけではなく、状況に応じて音楽を聴いていたりゲームをしていることもある。そのゲームもやり易いとなれば嬉しい。ただし、パッド配置の結果数字キーがヒンジ直近まで上に追いやられて入力し辛くなっていると言われるのはちょっと残念なところ。
SDXC対応スロット×2装備
モバイルデバイスは用途を広げようとすればするほど、ストレージ容量の制限に泣くことになる。現在、W-ZERO3(es)はアダプタをかませた上でMicroSDHC32GBを装着しているが、音源データを詰め込もうとすると足りなくなる。HYBRID W-ZERO3も同様。
PandoraはそのSDHCを2枚。合計64GBSDXCを2枚。合計256GBまで増設可能だ。しかも一般的な形状のUSB端子も一つ持っているため、そこでさらなる容量を稼ぐことも不可能ではないだろう。Microでない普通のSDカードは価格や速度の点でMicroSDに比べて有利でもある。
最新ではないがそれなりの性能
完成に2年ほど要したこともあって、スペック的には既に最新ではなくなっているが、OMAP3530 600MHzはW-ZERO3系列からすればそれなりのジャンプアップ。保証はされないがOverClock動作も可能とのこと。メモリ256MBは今どきのAndroidでも見る容量。esの4倍。HYBRIDと同量。フラッシュ512MBもesの4倍。HYBRIDと同量だが、Linuxを収めるので若干手狭かも。この辺はうまいことSDカードに散らさないとだめかもしれない。
その後、CPUはARM Cortex A8 1GHzへ、メモリも512MBへと倍増している。SDもSDXCへ対応して2Slotで256GBも可能とのこと。ただ、価格も凄く跳ね上がっているし、初期投資した人にまだ行き渡っていないらしい……。
手には入れたいが……
草の根から立ち上げて完成まで漕ぎ着けたこと自体も奇跡に近いものがあるが、それが大手量産メーカーの品と比較してもそれほど見劣りせずに、しかも、高価では無い(SmartPhoneを購入することを考えれば大差無い。)というのも珍しいので、随分高価になってしまいました。とほほ。手を出したいのは山々なんだけど……
自分の能力が最大の壁ですかね。