KF1_01 軽乗用ハイトワゴン
軽乗用車の主流となる「トールワゴン」。
現車で例えると、「ダイハツ タント・エグゼ」に匹敵する居住空間を持ち、「スズキ ワゴンR('03・3代目)」のようなシンプルで合理性に富む、スタンダードな乗用モデル。
スペック (Spec)
全長×全幅×全高(mm) | 3395×1475×1700 |
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室内長×室内幅×室内高(mm) | 2000×1295×1350 |
オーバーハング[前/後](mm) | 400/400 |
ホイールベース(mm) | 2595 |
トレッド[前/後](mm) | 1300/1300 |
最低地上高(mm) | 150 |
乗車定員(名) | 4 |
車両重量(kg) | 850 |
最小回転半径(m) | 4.4 |
タイヤサイズ | 155/60R14 |
エンジン型式 | 直列2気筒横置ガソリン |
内径×行程(mm) | 69.6×86.6 |
総排気量(cc) | 659 |
圧縮比 | 14.0 |
最高出力(kW(PS)/rpm) | 34(46)/5600 |
最大トルク(N・m(kg・m)/rpm) | 61(6.2)/3000 |
モーター最高出力(kW(PS)/rpm) | 10(14)/1200 ×2(フロント1、リヤ1) |
モーター最大トルク(N・m(kg・m)/rpm) | 159(16.2)/0~600 ×2(フロント1、リヤ1) |
燃料消費率JC08モード(km/l) | 45.0 |
JC08モードの重量区分 | 741~855kg |
標準価格 | 150万円 |
スタイリング (Styling)
シンプルな6ライトウィンドウの「トールワゴン」スタイルです。
近いイメージの現車は「スズキ ワゴンR('93・初代、'03・3代目)」です。
余計な飾りが無く、質実剛健で張りがあるイメージとしています。
特にフロントウインドウ周りは三角窓が増えてきた最近では逆に新鮮なほどのスッキリとしたオーソドックスなスタイル。
フロントウインドウを立ち気味にし、十分な剛性を保ちつつ極力死角を無くした各ピラーが安心感とクリアな運転視界を約束します。
リヤのドアハンドルはウインドウをキックアップしたサッシにビルトイン。
ボディ面からドアハンドルを無くしたことで、プレーンで張りのあるスッキリとした面を浮き立たせています。
Aピラーとフロントドアサッシを覆うドアミラー設置面に対して、リヤドアウインドウ後部から始まるドアノブ内蔵サッシとそれに続くガーニッシュが呼応してサイドウインドウグラフィクスのアクセントになっています。
ボンネットは左右両端をやや持ち上げて車両感覚を掴みやすくしています。
車幅灯の明かりを少し上面に漏らすようにして、パイロットランプのようになり、夜間の運転し易さを向上させます。
リヤドアハンドルをガラス部へ移動している例は「アルファロメオ 147」などに見られます。
ボディ面がスッキリする他に、ガラスエリアをキックアップさせていることで、ウインドウ全開時によりウインドウが下げられるようになっています。
一点心配なのが、ドアハンドルという突起物が後席乗員の耳に近い場所に来ることによる風切り音の影響です。
ちょっとそっけない感じのプレーンな造形は狙ったものです。
パッケージング (Packaging)
改善のポイントは軽量化とさらなる居住性、経済性の向上です。
フロントミッドシップレイアウト
昨今の乗用車では「キャビンフォワード」と言って、室内空間を前方向に拡大するデザインが流行っています。
しかし、実際に拡大しているのは肩から上のいわゆる「ガラスエリア」だけで、足元の余裕が拡大している訳ではありません。
ただただ、フロントガラスの下端が乗員から遠ざかっている状況です。
これだけでも広々感が増すのは事実ですが、その反面、ドアが前進するわけではないので隙間を埋めるために三角窓を追加する必要があったり、ピラーも追加する場合があったりします。
つまり、重量が嵩みます。
それだけではなく、フロントガラスがエンジンルームの上に覆いかぶさってしまうためエンジンノイズの遮音で不利です。
また、メンテナンス性などを考えると手や工具を入れる余裕を持たせる必要があるためにボンネットの高さが高くなります。
(この隙は交通事故時の歩行者保護の点でも有効なようですが。)
(20年ほど前にはボンネットがペッタンコなクルマを見かけましたね。
特に拘っていたのがホンダで、プレリュード('87・3代目)はタイヤハウス直上までボンネットを低くしていました。
最近ではスポーティなクルマでもボンネットはさほど低くないですね。)
極端にキャビンフォワードを実施している例としては「ダイハツ タント」「スズキ パレット」が上げられます。
いずれもフロントドア前方に窓とピラーを追加して前方向の開放感を向上させています。
この開放感をなるべく維持したまま軽量化を果たしたい。
それを実現するのが、エンジンの「フロントミッドシップ」レイアウトです。
通常FFというと、前輪の車軸よりも前方にエンジン(と駆動系(以下同様))を置きます。
それに対して「フロントミッドシップ」レイアウトでは前輪の車軸後方にエンジンを置きます。
前輪を基準にするとこのような表現になるのですが、見方を変えて車両全体で見ると前輪をより前方に出したレイアウトと見ることができます。
つまり、足元に張り出して、足元を窮屈にしていた原因である「タイヤハウス」が前方に遠のくため、足元がスッキリと広くできます。
また、「タイヤハウス」が前方に移動したため、その分フロントドアの開口部も前に出せるようになります。
すると、三角窓やピラーを追加してまで「キャビンフォワード」しようとしなくても、すでに「キャビンフォワード」が実現できています。
そして、三角窓やピラーが不要になるということは前方視界が良くなるということにもつながります。視界を邪魔する柱が減るわけですからね。
横置きFFの前席足元にタイヤハウスの張り出しが無いクルマは貴重な存在です。
「フロントミッドシップ」レイアウトは居住空間に関しては良いこと尽くめですが、残念ながらデメリットもいくつかあります。
まず、大きなエンジンを載せたいと思っても簡単には行かなくなります。
従来のFFでは前輪の車軸よりも前方にエンジンを載せるため、大きなエンジンを載せる場合でも前方のボディを膨らませば済むため比較的簡単に対応できます。
しかし、この「フロントミッドシップ」レイアウトではエンジンは前輪の車軸と「トーボード」(エンジンルームと室内空間を隔てる隔壁)の間に載せる必要があります。
前輪も「トーボード」も変更するのは大変なものです。
つまり、この「フロントミッドシップ」レイアウトではあらかじめ搭載するエンジンの大きさを制限したうえでパッケージを組み立てる必要があります。
2番目に、「ステアリングシャフト」や「ステアリングギアボックス」の配置に困ります。
ハンドルから前輪を左右に動かすまで、パワステの力は借りるものの現在でも機械的に繋がっている訳ですが、この機構の中間にエンジンが入り込んできてしまうのが「フロントミッドシップ」レイアウトです。
既に量産車として「フロントミッドシップ」レイアウトを実現している「トヨタ iQ」ではエンジンが前輪に対して後方に移動した分「ステアリングギアボックス」も後方へ移動。
エンジンを避けるように高い位置にして「ステアリングシャフト」はそこまでとなるためエンジンとは干渉せず、実際に前輪を動かすバーがエンジンを避けながら配置されるようです。
単にレイアウトだけで判断すると若干ステアリング剛性の確保に苦労しそうな気がするレイアウトです。
こちらは、エンジン全長(車体でみると幅方向)を短縮し、タイヤハウスとの間を空けることで「ステアリングシャフト」は従来通り前輪の近くまで貫通させます。
「ステアリングギアボックス」は従来位置ではエンジンと干渉するので車体前方にオフセットさせましょうか。
車軸と干渉しないようにするには車軸の上方やや前方あたりでしょうか。
3番目に、ホイールベースが長くなってしまうため小回り性で不利になります。
ここは致し方ありませんね。
また、ホイールベースが長くなった分、キャビン剛性確保のために重量が増加してしまうかも知れません。
最後に、前席足元にタイヤハウスが出っ張らなくなった分、エンジンルームの容積が減っていることが挙げられます。
補機類や電装のレイアウトに影響が出そうですね。
インパネの小物入れが減ったりして。
シーティング
前席はHP(ヒップポイント)高を660mmと「トールワゴン」としてもやや高めと思われるセッティング。
後席ではさらに50mm上げて710mmとして後席からでも前方視界が開けるように配慮。
また、後席ではフロア高を325mmに設定し、ドア開口部からフロアに向けてほぼフラットで乗降しやすい形状を実現しています。
フロントシートは十分な大きさのものを奢りたいところです。
ただ、特にクッションはあまり大き過ぎると小柄な人が乗った際に困ることがあるので要注意です。
具体的にはちゃんと座ると膝がクッションの上に載ってしまう。
膝がちゃんと曲がるように座ると腰がバックレストに着かないという事態になります。
良くあるクッションの形状は丸みを帯びた座布団のような角丸形状ですが、これだと足を閉じても開いてもクッションにサポートされる範囲があまり変わらず、一見良さそうですが、小柄な人だと足を閉じても開いても上記のような現象が起こってちゃんと座れなくなってしまいます。
すなわち、適合する体型の範囲が広い形状とは言えません。
そこで、クッション中央はやや短めに端の方はやや長めにという凹形状はどうでしょうか?
普通に座ったとしても、小柄な人の足は中央寄りに、大柄な人の足は端寄りになるかと思いますので、適合する体型の範囲を拡大できるのではないでしょうか?
ただ、シートの凹形状はコストの掛かる厄介モノでもあったりしますのでどれだけ拘る価値があるかは検討が必要かとは思いますが。
助手席のバックレストが大きく前倒しできる機構は組み入れたいところです。
カーペットなどの長尺物も積めると便利ですよね。
あと、背面が簡易テーブルになったりすると嬉しい。
リヤシートはフロントシートに比べて使用頻度が低いことと荷物を優先して折り畳むことも想定して、フロントシートほど大きさには拘りません。
ただし、レイアウト上でも後席は乗り心地に不利な位置に配置されているため、それなりに十分なクッション性能を持つシートを奢りたいところです。
また、使用頻度と後方視界、折り畳みの簡便性などを考慮して、ヘッドレストは準格納式に。
ヘッドレスト格納状態では肩や背中とぶつかりますので、後席に座るときはヘッドレストを伸ばすことが前提となります。
このタイプのヘッドレストではもう一つつまらない利点がありまして、ヘッドレストを伸ばした状態が座るときの基準位置となるため、スペック上の室内長が伸びます。
一時期、これをやった会社とやらなかった会社とで、室内長に大きな差が生じていた時期があります。
日本のスペックでの室内長はインパネセンター基準面からリヤシート後端までなので、インパネ中央部を遠ざけるほど、ヘッドレストを伸ばすほど室内長のスペックが稼げます。
リヤシートを立てているので僅かですが、この側面図でもヘッドレストを伸ばして30mmほど室内長を稼いでいます。
リヤシートは荷物に応じて畳める分割可倒式である方が嬉しいですし、コンパクトに畳める仕組みも欲しいところですが、この車種ではスライド機構は無くても良いかなと思います。
それは、軽量化の観点と、居住空間vs荷室のバランスにもよるのですが、バランスの取れた位置にリヤシートを配置できれば後は畳み込む機構があれば十分ではないかという思想です。
勿論、より娯楽感を追及する車種ではスライド機構もあった方が良いかと思うのですが、必要十分を狙うスタンダードな車種では目先の装備よりも軽量化を含めた経済性かと思いますので。
実はかつて軽自動車に革命を起こした「スズキ ワゴンR」でも当初の数年間はスライド機構がありませんでした。
それで居住空間が不足していたかというとそういう訳でもなく、荷室とのバランスを熟慮した配置だったと思います。
ただ、もっと居住空間を欲張りたいという要求に適わなかっただけです。
それと、居住空間を欲張ったところで乗り心地は悪化するというデメリットもあります。
大雑把に言ってクルマの揺れは前後の車輪を基点に起こります。
前席は前後車輪のほぼ中央に位置するため前後の揺れが平均化されて、乗り心地的に有利です。
後席は後輪に近いため、後輪を基点とする揺れの影響を受けやすく、乗り心地的に不利なのです。
ただでさえ、乗り心地で不利な後席をスライドでもっと後ろにずらすとどうなるか。
たとえば「スズキ パレット」では最後端まで後席をスライドすると非常に広い居住空間を得られますが、リヤシートや後輪直上、むしろ重心はやや後輪後ろ寄りというところに配置されます。
そうなると後輪を基点とした揺れがダイレクトに、さらにやや増幅されてリヤシートに伝わってきます。
このような特性は運転する人が後席に乗って移動しないと分からないことかとは思います。
もしくはクルマ酔いを起こしやすい人なら違いがハッキリと分かることでしょう。
そうです、ホイールベースから外れた場所の振動は増幅されるのです。
ですから、少なくとも乗員はなるべくホイールベースの内側に寄せた方が乗り心地としては良いのです。
止まっている状態では空間が広い方が快適ですし、実際売りになりますが、移動中は広ければ良いってもんじゃないってのが真理です。
ここでは実際にクルマを作っているわけでも売っているわけでもない空想の世界なので、理想を追求して、この常用スタンダードな車種では軽量化を優先して後席スライドは搭載せずとします。
それでも、前後乗員間距離はフロントシートがリヤモスト(最後端位置)でも850mm。中間(標準)位置では975mm、最前端位置では1100mmにもなります。
現車でほぼ最大室内空間を誇る「ダイハツ タント・エグゼ」が1065mmですので、比較的荷室を大きく取った割りに十分な居住性も両立できていることが分かります。
ラゲッジ
荷室は床面奥行きで50cm余りを確保しています。
これにはスペアタイヤ廃止と機械的AWDの廃止を前提とした低床化も寄与しています。
荷室の床は地上高475mmに設定。
これは現車でもスペアタイヤを廃止した車種では実現できている数値ですが、多くの車種では600mm強あたりに設定されることが多いようです。
この荷室の床面が下がると奥行きが増します。
それは後席のバックレストの傾きによるものです。
大雑把に言って100mm荷室床面を下げたら、奥行きは20~30mm程度稼げます。
荷室の容積も稼げるので、低床化は後席の居住性と荷室のバランスをより一層高められる一石二鳥なものです。
ただし、デメリットもやはりあります。
まず、ハッチゲートの開口部と荷室床を面一にするのが難しくなります。
具体的には面一にするにはハッチゲートの開口部を下方に広げる必要があり、それは車体剛性の低下に繋がるため補強が必要なり、重量が嵩みます。
ずるずると引きずるような荷物の出し入れの仕方ができなくても良いのであれば面一に拘る必要はありません。
ちょっとでも重かったり、大きい荷物だと引きずるように出し入れすることはままあるので、できれば面一にしたいところですが、このスタンダードな車種ではそこまで荷室を優遇して車重を重くしたくはないのでハッチゲートの開口部は無理に広げません。
面一にしたいばあいはオプションで荷室を上下に仕切る上げ底床を用意して、それを装着すると面一になるというところで妥協します。
その場合の、荷室床面高さは地上高625mmです。
ちなみにそのオプションを装着すると後席を折り畳んだ時にも凸凹にならずにほぼ面一で広大な荷室を確保できます。
もう一つのデメリットはリヤサスペンションの構造やレイアウトの自由度が低下するというところでしょうか。
とりあえず、ここでは昔の「VW ゴルフ」で搭載されていた「カップルドビーム」(トーションビームの支点からオフセットされたもの)を想定しています。
比較的軽量な車種では十分な性能を発揮できるでしょう。
駆動系
さて、さきほど機械的AWDの廃止と書きました。
機械的なAWDは専用のトランスミッションを必要とし、プロペラシャフトを必要とします。
大きな構造物で専用の部品が必要となるためコストも高く、プロペラシャフトは車体中央を貫通するため、居住空間を狭くする一因ともなります。
コストに厳しい軽自動車ではFFとAWDで共通のフロアとしている車種もあり、FFでもプロペラシャフトを避けるようなフロアの盛り上がりがあることもあります。
ここでは、機械的なAWDを廃止することで居住空間の拡大を実現します。
また、AWDについては後輪をモーターで駆動することで実現します。
いわゆる「e-4WD」というやつです。
ここではこれをもう一歩すすめて、ハイブリッドとして扱います。
単に後輪を駆動するという目的だけでなく、動力の補助、エネルギーの回収などにも使用するということです。
軽自動車は排気量の制限が厳しいため、出力不足を補う意味でターボチャージャーを装着したエンジンが搭載されることもありますが、このターボチャージャーの代わりにモーターに出力不足を補ってもらおうという算段です。
ハイブリッドはエンジンの他にバッテリーやモーターを必要とするため、重量が嵩みがちで、特に軽自動車のような比較的軽量のクルマではメリットが薄いと言われますが、AWDとターボの機能も担わせることで搭載意義を強めます。
また、ハイブリッドによる重量増を相殺する意味でも上記の軽量化策が役立つことは言うまでもありません。
また、ハイブリッド化によりエンジンはより効率を重視したものとします。
具体的にはかつて重要視されていたレスポンスやフィーリング、最高出力などは二の次として、効率を最重視します。
アクセルはスロットル開度を調節するものではなく、ドライバーが出力をどれだけ必要としているかを表すパラメータとなります。
必要とされる出力にたいしてエンジンとモーター、どのような配分で応えて行くかは車両制御に一任されることになります。
あと、できればモーターはフロントにも搭載したいところです。
セルモーターを廃して、代わりに追加動力になるモーターを装備、当然エネルギー回生も行います。
エンジン (Engine)
動力が内燃機関であるエンジンしか存在しない場合、停止状態からフル加速までさまざまな要求にエンジン本体が応える必要がありました。
このことがエンジンを効率悪いものに留めていた大きな要因でもあります。
レスポンスがそれほど要求されなければ、最高出力をそれほど追及されなければ、高回転まで回す必要がなければ、……エンジンの効率は飛躍的に向上できます。
とはいえ、まだまだエンジンはクルマの主動力源ですので、発電機みたいな扱いはできないのですが。
ここではまず効率向上とエンジン全長短縮(車両でみると幅を短縮)のために2気筒化を行います。
長らくガソリンエンジンの効率の良い排気量は気筒辺り330cc近辺と言われてきました。
日本では燃費の良いクルマがこぞって4気筒1300ccであるのにお気付きでしょうか?「マツダ デミオ」「ホンダ フィット」など。
この理屈に沿うとリッターカー(1000cc)なら3気筒、軽自動車(660cc)なら2気筒が効率良いことになります。
実はこの効率の良い排気量は近年では増加傾向にあります。
燃焼技術の改良により大きな排気量でも理想的な燃焼が可能となってきているためです。
理想的な燃焼が可能になれば、より大きな排気量の方が相対的に損失が少なく済みますので効率はより向上します。
ただ、さすがに乗用車で単気筒まで踏み込む勇気は無いので、2気筒に留めておきます。
この気筒数の減少は効率のためだけでなく、コスト低減のためでもあります。
単にコストを抑えるだけでなく、気筒ごとに高価なデバイスを装着するため、多気筒ではコストが嵩んでしまうというのも2気筒に抑える理由のひとつです。
まず、スロットルを廃止してポンピングロスを減少させます。
空気吸入量の調節はバルブタイミングの変更によって行います。
自由なバルブタイミング実現のために、カムを廃止。
電子制御でアクチュエーターによりバルブを動かします。
おそらく、これが高価なデバイスですので、あまり数多くしたくないものです。
また、高速になればなるほど追随性が悪化するため、高回転域も欲張れません。(効率重視のため欲張る気もありません。)
高回転を欲張らないのでロングストロークを躊躇い無く採用。
これはエンジン全長の短縮にも効果があります。
自由なバルブタイミングの実現によりアトキンソンサイクルも実現。
圧縮行程を遅く開始することで実質的な圧縮比を従来通り(10~11あたり)としてノッキングを防ぎ、膨張行程は存分に行い膨張比を14.0とします。
この膨張比(圧縮比)14.0というのは「マツダ デミオ」に搭載されたエンジン「SKYACTIV-G」で実現されたものですが、内燃機関として圧縮比14が最も効率良いという話は既に20年ほど前からある話です。ここに来てようやく量産されるようになったということですね。
圧縮行程を遅く開始すると吸入した空気の逆流が起きますので、この時点で混合気とするのは不適です。(次のサイクルの出力を制御しにくくなる)
おのずと直噴になります。
ここでも、最新の高圧マルチ噴射で最適効率を目指します。
この機構がまたコストが高く付くので、多気筒には向きません。
このような構造を採っていくとディーゼルエンジンとも近似してきますので、ディーゼルエンジンもラインアップできるかもしれません。
ディーゼルエンジンではターボチャージング必須ですけどね。
ということで、スペックは最高出力、最大トルク、回転数いずれも見劣りする数値ですが、全ては効率向上のため。
不足分はモーターに補ってもらい、余力があるときや減速時に充電します。
つまり、エンジンの運転状況をなるべく効率の良い範囲でかつ、なるべく一定に保つように努力します。
このようにクルマ全体で効率を突き詰めるため、速度とエンジン回転数と必要トルクの関係が縛られるマニュアルミッションは制御が著しく制限されるため搭載できません。
トランスミッションは今のところCVT一択になってしまいますね。
モーターを含めたトータルでの出力は自主規制値目一杯に出るようにします。
(実力はもっとあっても良いですが。現車でもカタログ値以上に出力が出るエンジンがままありますからね。)
その他、実際の効率がどうなるか分からないので一概に言えませんが、エアコンの動力を電子化するのもありかもしれません。
今のクルマの多くはエンジンの動力でエアコンのコンプレッサーを駆動しているため、インバーター制御ができずにOn/Off制御しかできません。
弱冷房にしようとしても強冷房+弱暖房になるという効率の悪いものが主流なのです。
電子化には強力なバッテリーが必要になりますが、ハイブリッド前提ならばOK強力なバッテリーは搭載済みなのでOKでしょう。
影響を受けた現車 | スズキ ワゴンR('93・初代、'03・3代目) |
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参考にした現車 | トヨタ iQ |
近しい現車 | ダイハツ タント・エグゼ |