KF3_01 軽ミニコミューター

軽乗用車の枠よりも全長をさらに短縮したミニコミューター。
現車で例えると、遠いですが「トヨタ iQ」を軽自動車規格で、使い勝手を向上。

スペック (Spec)

全長×全幅×全高(mm)2995×1475×1550
室内長×室内幅×室内高(mm)1685×1295×1125
オーバーハング[前/後](mm)400/400
ホイールベース(mm)2195
トレッド[前/後](mm)1320/1320
最低地上高(mm)150
乗車定員(名)4
車両重量(kg)680
最小回転半径(m)3.8
タイヤサイズ135/80R13
エンジン型式直列2気筒横置ガソリン
内径×行程(mm)69.6×86.6
総排気量(cc)659
圧縮比14.0
最高出力(kW(PS)/rpm)34(46)/5600
最大トルク(N・m(kg・m)/rpm)61(6.2)/3000
燃料消費率JC08モード(km/l)34.0
JC08モードの重量区分601~740kg
標準価格80万円

スタイリング (Styling)

KF2_01 軽セダンを押し潰したような、キュートなチョロQルッキング。
短い全長とパッケージングの特徴を生かしたワンモーションのドア開口形状は、なんと「ピラーレス観音開きドア」。
フロントウインドウもリヤハッチゲートも立っているため、全長は短くても使い勝手の良いフォルムです。
各部パーツはKF3型内で大いに共用。
一部KF1_01 軽乗用ハイトワゴンKF2_01 軽セダンとも共用しています。

コスト低減を意識したシンプルでプレーンなスタイルとなっています。
フロントバンパーはグリルまで一体化した大型バンパーで安心感を強めます。

三角窓が無いスッキリとしたウインドウグラフィクスですが、リヤクオーターウインドウも無いため、ガラス部品点数は最少。

パッケージング (Packaging)

KF1型プラットホームの後席足元が余裕に溢れているため、その分を短縮してよりコンパクトにまとめようとしたのがこのKF2型プラットホームになります。
具体的には後席足元部分を400mm短縮。
ホイールベースがそのまま400mm短縮され、全長は3mを僅かに切るまで短縮されました。

また、前席と後席クッション下の面をつなげて、地上高400mmのフラットなフロアになりました。
そこに改めて後席を設定。
車高を1550mmと大半の立体駐車場に収まるギリギリまで上げているものの、後席足元フロアが地上高400mmと高くなっているため、特に高さ方向の余裕がありません。
頭がつっかえない、かつ、それなりに座れるポジションとして、後席HP(ヒップポイント)をフロアから310mmの高さに設定しました。
後席部での室内高は1125mmと「トヨタ iQ」の1145mmに僅かに及びませんが、座面前端から200mm後方の位置でトルソ角(背もたれ角度)方向の余裕は885mmと「トヨタ iQ」の855mmを凌いでいます。
長さ方向については前席がリヤモスト(最後端)の状態でも、前席バックレスト(背もたれ)と後席クッション座面との間には約75mm〜325mmの隙間が開いており、前席空間と融通しあうことにより、それなりのレッグスペースが得られます。
ホイールベースを短縮したとはいっても2195mmあり、「トヨタ iQ」よりも195mm長い数値です。
また、タイヤも小さくなるため、室内空間の邪魔者になるタイヤハウスも小さくて済みますので、長さ方向に関しては「トヨタ iQ」に対して圧倒的に余裕があります。

ただし、後席足元のフロアと前席クッションの間には隙がほとんど無いため、つま先を入れられるようなスペースが無く、その分、足置きスペースについては不利な状況になります。
ちなみに、「スバル R1」と同じホイールベースです。
後席は簡易タイプの座席のため、大人が座った際の乗り心地やサイズなど十分なものとは言えませんが、緊急用や子供用、乳幼児のチャイルドシート取付用として使用されることを想定しています。(リアシートクッションは底面をSバネとして、乗車時には沈み込むことを想定しています)
折り畳み格納時の省スペース性がアピールポイントの1つであり、ヘッドレストを外して折り畳み格納すると前席と荷室フロアの間にピッタリ収まります。
ただし、このときに前席はリヤモスト(最後端)までは後退できません。約25mmほど干渉してしまいますので、その分だけは前出しする必要があります。
前席については本格的なセダンやワゴンより近距離でも移動が主体なるものと想定して、乗降性を考慮したサイドサポートのあまり張り出していない(悪く言えば平板に近い)形状としています。また、ほんの僅かですがサイズも小型にして近距離移動向けに最適化しています。

ユーティリティ (Utility)

さて、ここまでだと、より小型化と経済性だけを追求した我慢グルマと受け取られかねませんが、そんな印象を吹き飛ばす、利便性を飛躍的に向上させる装備を2つ持たせています。
1つ目は先にスタイリングの項でも触れた「ピラーレス観音開きドア」の採用です。
ピラーはドア側に内蔵して、運転中は通常のピラーとして機能します。
前後のドアを開けると開口部がつながって、1つの大きな開口部となります。

これは通常より狭くフロアの高い後席に対して、通常と同じようにリヤドアを配置しても乗降性が悪いものとなってしまうためであり、この辺りの考え方は「マツダ RX-8」に近いものがあります。(RX-8のフロアは高くないですが。)
また、小荷物を後席に放り込むようなときに、いちいち移動してはドアを開け閉めして、というプロセスが不要になります。
2つ目は助手席の折り畳み格納機構です。
助手席シートバック(背もたれ)を完全に折り畳めるようにして、かつ、前席足元空間にダイブダウン。(ヘッドレストは取り外します。)
まるで後席のシート格納機構のように、コンパクトに室内前方の空間に収まります。
助手席側後席からはドカンと広がる室内空間と前方視界が得られます。
また、後席も同時に折り畳み格納することで、このコンパクトな車体でありながら2m近い長尺物を載せることも可能です。
この2つの機構の組み合わせで、助手席側には広大で邪魔の少ないドア開口部と室内空間を実現することができます。
チャイルドシート取り付け取り外し作業などでも重宝することうけあいです。
この2つの機構は結構なコスト増・重量増要因ですが、コンパクトカーをただの我慢グルマや、ただのオシャレグルマや、おもちゃグルマとして終わらせない、この車種には重要な機構として位置付けています。

反面、後席ドアの窓は割り切って「はめ殺し」とし、コストダウンと軽量化に寄与します。
そもそもこの車種の後席ドアは小さく、窓を昇降させても20cm程度しか開けることができません。
しかも、観音開きドアですから、パワーウインドウなど装備させようとしたら、電線配線の取り回しが遠くて非効率です。

ですので、無理して窓を昇降できるようにするよりかは、割り切って「はめ殺し」がベターと判断しました。
ちなみにコストや軽量化を重視する小型車では後席ドアの窓の「はめ殺し」は割りとポピュラーな手法です。
日本車ではあまり見かけないかもしれませんが、「ミツビシ ミニカ・トッポ」や「ミツビシ eKワゴン・スライドドア」などにありました。

助手席側はシート格納のためもありますが、インパネのボリュームを削って、後席との空間の融通を効かせ易いようにしています。
これも「トヨタ iQ」でも採られている手法ですね。
グローブボックスや小物入れの確保に苦労しそうです。

コンパクトに縮めた車体の中で、簡易ながらも後席も備えていることで、残念ながら後席使用時のラゲッジルームは結構狭いものとなってしまっています。
荷室床面の奥行きは後席使用時で約375mm。
後席スライドシートを持つ現車の後席リヤモスト(最後端)状態ほど狭くはありませんし、買い物袋程度には充分な広さがありますが、例えばベビーカーが載るか? というとちょっと難しそうです。
極力ハッチゲートを立てて、ラゲッジスペースがデザインのために無駄に削られないように配慮していますが、こういうところでコンパクトカーならではの弱点が垣間見えます。
一応、後席を分割可倒式として対応しましょう。
後席を折り畳んだ時のラゲッジ床面奥行きは前席リヤモスト(最後端)時で約975mmになります。

(実はこのレイアウトで解決できていない問題点がありまして、前席のシートベルトはどう配置しようかな?と。
恐らく、シートにビルトインという形になってしまうのでしょうが、他に方法は無いかと。
天井では基が弱くて機能しなさそうだし、フロントドア内蔵ではドアを閉めた時の衝撃でロックが掛かってベルトが引き出せなくなったりしそうです。

エンジン (Engine)

KF1_01型と同じガソリンエンジンを搭載。
車両価格も含めた経済車なのでハイブリッド無しが基本です。

影響を受けた現車スズキ ツイン
参考にした現車トヨタ iQ
近しい現車なし

2011-08-07

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