KR1_01 軽1Box キャブオーバーワゴン
軽1Box キャブオーバータイプ ワゴン。現車で例えると、「スバル ディアス」。
スペック (Spec)
全長×全幅×全高(mm) | 3395×1475×1900 |
---|---|
室内長×室内幅×室内高(mm) | 2200×1335×1500 |
オーバーハング[前/後](mm) | 900/595 |
ホイールベース(mm) | 1900 |
トレッド[前/後](mm) | 1290/1290 |
最低地上高(mm) | 150 |
乗車定員(名) | 4 |
車両重量(kg) | 1030 |
最小回転半径(m) | 3.6 |
タイヤサイズ | 165/65R13 |
エンジン型式 | 直列2気筒横置インタークーラーターボディーゼル |
内径×行程(mm) | 69.6×86.6 |
総排気量(cc) | 659 |
圧縮比 | 14.0 |
最高出力(kW(PS)/rpm) | 40(54)/4800 |
最大トルク(N・m(kg・m)/rpm) | 88(9.0)/3000 |
モーター最高出力(kW(PS)/rpm) | 10(14)/1200 ×2(フロント1、リヤ1) |
モーター最大トルク(N・m(kg・m)/rpm) | 159(16.2)/0~600 ×2(フロント1、リヤ1) |
燃料消費率JC08モード(km/l) | 34.0 |
JC08モードの重量区分 | 971~1080kg |
標準価格 | 190万円 |
スタイリング (Styling)
特筆すべきところは何もないです。
空間効率こそ1Box キャブオーバータイプの最大の特長。ならば、それを活かすべく余計な装飾は付けません。
逆に言うと、下手に装飾すると利点が薄まる。利点が薄まるとデメリットが目立ってくるのでできません。
コスト的にもアップアップです。
パッケージング (Packaging)
既に絶滅してしまった、軽1Boxキャブオーバータイプ。容積効率に磨きを掛けて、復権を目指します。
フロア高さを乗用に適した位置まで下げることが出来れば、使い勝手が大きく向上します。床が高いことで乗ることを敬遠されるケースが多かったものと推測しますが、トールワゴンと同等の高さまで床を下げられれば、そのデメリットは消え、空間効率の高さが活きてくるでしょう。
そのためにはフレーム構造を止める必要があります。モノコックでどこまでできるか……。
コストや重量の点で懸念はあります。また、特装車のバリエーションを増やしづらくなるかもしれません。
乗り心地の調整に苦労
キャブオーバータイプはどうしてもホイールベースが短いためピッチングが大きくなります。
また、特に前席はタイヤ直上の配置となるため、車体の揺れをモロに被ってしまい、乗り心地の点で非常に不利です。
この点はキャブオーバータイプのデメリットとして揺るぎないところではありますが、逆転の発想をすると後席より前席の方が乗り心地で不利なため、運転者が乗り心地を気遣う運転をすると後席は意外と心地良い状況になり得るという利点があります。
通常のクルマは前席がホイールベースのほぼ中央に配置され、乗り心地の点では最良の場所に配置されるため、乱暴な運転をしても運転者自身はそれほど気にすることなく乗っていられます。しかし、後席は後輪の近くに配置されるため、前席に比べて揺れが酷くなります。
キャブオーバータイプでは真っ先に乗り心地が悪化するのが前席ですので、おのずと丁寧な運転に向かい易いとも言えます。
(乱暴な論ですが。)
実際には1Boxカーは大量の荷物の積載も想定されるのでどうしても特にリヤのバネを固くせざるを得ず、間違っても後席の乗り心地が良いという訳にはいきません。
長々と論じた結果、単にキャブオーバータイプは乗り心地が悪いという結論になってしまいましたね、残念ながら。
空間効率
ですが、人も荷物も諦めない、空間効率の良さはキャブオーバータイプの独壇場でありましょう!
前席を標準位置にした時の前後乗員間距離は1200mmと極大です。
実際には乗用として使う場合にここまで距離を空ける意味はほとんど無いのですが、キャブオーバーの場合、後席足元、つま先部分に隔壁が立ちはだかってしまうため、これくらい空けないと足元の余裕が不足する懸念が生じてしまうのです。
後席を畳んでダイブダウンすれば商用版であるKR1_02 軽1Box キャブオーバーバンとほぼ同等の荷室空間が得られます。
背の高い荷物を積みたい場合は、後席の据付元である板ごとチップアップして後方に345mmほどスライドさせますと高さ約1500mmの高い荷室が長さ約800mmに渡って確保されます。
この状態でも座れると面白いような気もしますが、位置的にシートベルトがうまく機能しないため、この状態では座れません。
この状態では荷室後方にシートが邪魔者となって居座りますので、大量の荷物の積載には向きません。
背の高い荷物の積載と大量の荷物の積載を両立させたい場合は、後席のシートを妥協して、商用版を選択されるようお勧めします。
荷室床奥行きは約940mm。余裕の空間で、小型セダン並です。
勿論、高さ方向には圧勝ですし、軽規格なので幅は狭いですが、床面にタイヤハウスの出っ張りが無いため、実質有効に使える幅としてはむしろ小型車にも勝る位、使える荷室です。
なぜセミキャブオーバーにしないのか
乗用であるのに、なぜキャブオーバータイプを選択するのか。
現車であるようなセミキャブ型ではいずれにしろ乗用には向いていないと判断します。前述しましたが、タイヤハウスが足元を邪魔して、真っ直ぐ座っていられないほど足置きスペースが無い、それも必ず座る前席で。なんて乗用として許容できません。
セミキャブ型でフルキャブ同等の荷室空間を得ようとするところが既に間違っています。
荷室も全く諦めないなら、やっぱりフルキャブ型なのです。
動力系統のレイアウト
この型では、フルキャブの形態を採っていますが、エンジンと駆動系が後輪近辺にあるため、前輪周辺に収める臓物は比較的少なく済みます。
前輪周辺、もしくはセミキャブの場合でも、前席下にエンジンと駆動系という大きな臓物があると、タイヤハウス以上の邪魔者となって足元スペースを圧迫します。
前席では足を引く姿勢がより一層とり辛くなり、後席では前席との距離をたくさん取らないと足元が窮屈で仕方なくなります。
現車の1Boxカーで後席が前席から大きく離されていて、後席のだだっ広さを主張しているようなクルマもあるかと思いますが、何もだだっ広さを主張するためだけに後席を離しているのではなく、足元がエンジンと駆動系により狭くされているため、足元の余裕をちゃんと取るとどうしても前席と離れざるを得ないという事情もあるのです。
足元以外は余裕過ぎる空間が得られますが、前席と離れ過ぎますし、間には騒音源であるエンジンが。乗員が前席と後席で分断されてしまうために、少なくとも乗用には向かなくなってしまいます。
かつて、ミニバンが流行し始めた頃、運転手のパパだけが前席で、残り全員皆後席(2列目、3列目)へなんていう光景が日常化されていましたが、エンジンレイアウトにも一因があったわけです。
この車種では当然、足元スペースをなるべく阻害しないようにレイアウトし、十分な広さと前後席を分断しない距離感を両立しています。離れすぎない後席は荷室空間の拡大にも寄与します。
エンジン (Engine)
考え方はKF1_01型と同じですが、重くなった車重に対応するためにターボディーゼルエンジンを搭載し、出力の向上と燃費悪化防止に寄与しています。
ディーゼルの場合はかなりのリーンでも安定燃焼が可能ですのでアトキンソンサイクルの必要性は無いかもしれません。
ガソリンエンジンと違って点火プラグも必要ないので、バルブ面積的には有利ですね。
ターボディーゼルですと130Nmくらいのトルクは楽々出せそうですが、あえて出させません。ガソリンエンジンとの部品共用化を進めたいのと、トランスミッション等も共用にしたいためです。
そのためガソリンエンジンと大きく剥離を起こさないように意図的にトルク上限を抑え込んでいます。そのせいもありますが、フラットなトルクが広範囲に渡って続きます。
影響を受けた現車 | スバル サンバー |
---|---|
参考にした現車 | ダイハツ ハイゼット スズキ エブリー |
近しい現車 | スバル サンバー |