ノートPCをサーバーにする
ノートPCをサーバーに使うのは間違っている!
ノートPCはそもそも連続稼動を想定して作られていない。パーツも然り。すぐダメになるぞ!
Exactly. (その通りでございます)
しかし、特定の条件が満たせるのであればノートPCをサーバーに使うことは必ずしもNG行為には成りませぬ。
筆者は自宅Webサーバーを2008年に立ち上げて以来、大半の時間をノートPCで稼働し、また、故障を原因にサーバー交換をしたことはまだ一度もありません。
ノートPCをサーバーに使うための必須条件は突き詰めるとただ一つ、余裕の排熱状況を確保し続けること。これに尽きます。
この条件が満たせるならばノートPCをサーバーに使うこともあながち無理な話ではありません。
ですが、この条件を満たすことが意外とできない場合も多いです。
余裕の排熱状況を確保するには、二つのことが重要になってきます。熱をなるべく発生させないこと、発生した熱を篭もらせないこと。
まず、そもそも消費電力が高く推移する製品はサーバーに向きません。ゲーミングノートなんかは恐らくこの時点でほぼNGとなってしまうのではないでしょうか?
筆者がサーバーに使ってきたPCは全てアイドル時の消費電力が10W以下に収められています。(ノートPCで9W or 8W。デスクトップPCでも10Wです。) 最大負荷でも30Wに届きません。
そして、排熱を意識した置き方をすることが重要になってきます。普通に液晶画面を閉じて置くのは→NGです。
熱は上昇したがるもの。それを画面で蓋してしまって篭もらせてしまってはパーツを速く傷めてしまいますし、熱暴走の原因にもなります。
筆者は埃の溜まり方にも配慮して、逆Vの字に開いて立てて置いています。Sony VaioZ (PCG-Z1V/P)を稼働させていた頃は画面を開くとバックライトが点いてしまうため本体を閉じたまま運用しましたが、そのときは裏返しにして置いていました。熱を逃しやすくするためのせめてもの配慮です。
余計な機能に電力を使わないこともできるだけやります。BIOSで使わない機能はOFFにしたり、CPUコア電圧調整ができるものは全てやった上で稼働させています。
もし、負荷の低いサーバーを立てようとしていて、消費電力の低いノートPCが余っているのなら、候補の一つに上げてみても良いかもしれませんよ?
ただ、いまどきならAndroid BoxにLinuxぶち込む方が手軽そうな気もしますけどね。
自宅Webサーバー遍歴
■Sony VaioZ (PCG-Z1V/P)
2008年06月~2013年09月運用。
液晶画面のバックライトが大分ヘタって来ていて白が黄色く、輝度も不足しがちになってきていたせいもあって、作業用PCとしては現役続行しづらくなっていたのだが、アイドル消費電力がHDD搭載で9W、SSDだと8Wも実現できる省電力ノートPCだったため自宅Webサーバー用途にはピッタリと考え導入した。
放熱性を考慮して蓋を開いた状態で置きたかったのだが、なぜかこのPC蓋を開くとバックライトが点いてしまってずっと消えない。なので、仕方なく蓋を閉じて、本体を裏返して置くようにしました。
FreeBSD7.0に始まり、Ubuntu LTS Serverへの移行。東日本大震災時の計画停電の3時間をヘタったバッテリーで運用続行したまま乗り切った。(ルーター類は無停電電源装置のバッテリーを使用)
低負荷を想定していたわりにはPostgreSQLとGlassfishで都度HTMLを動的生成する重めのシステムで、しかも、後にWordpressを追加してBlogも開設。WordpressはMySQLとPHPも必要とするのでかなりの高負荷にさせてしまったようです。
特にWordpressでは元々アクセス時の負荷が高いうえに、管理者権限でのログインを試みるクラッキング攻撃を受けてしまい、CPU100%に張り付くことも何度かあった。Wordpressにはログイン失敗のペナルティを課す機能が無く、攻撃を受けてからルーターでブロックするという方法しかなかった。
普段Sony VaioZ (PCG-Z1V/P)はファン停止しているので、高負荷の検知はファンの回転ノイズで分かるという。便利な反面、夜中にそれで叩き起こされたことも数知れず。
2013年09月まで、OSの入れ替え処理時以外はほぼ無休、ノートラブルで運用を乗り切り退役しますが、その後もAV観賞用(本体液晶画面は基本使用せず、映像は外出し)PCとしてしばらく使用していました。
中の部品の一部から液体が染み出していたりして酷使の後が伺えるが、結果的に(特に後年)比較的高負荷な推移となってしまったのに、良く頑張ってくれたと思う。まだ使えるけど流石に用途がなくなってきたかな?
■DN2800MT
2013年09月~2016年05月運用。
システムの再構築と処理性能の向上を狙って、ソフトとハード総入れ替えです。
ハード面ではシングルスレッド処理性能は低いものの2C4TとなるAtom N2800とRAM倍増の2GB、さらにSSDの導入で大幅な性能向上が見込めます。
ソフト面では高負荷なうえにセキュリティに問題があるWordpressを廃止(元々コメントの付かないサイトですので、Blogをやる意味も無かった)。
アイドル時の消費電力は10Wを切れなかったので若干増えてしまいますが、Sony VaioZ (PCG-Z1V/P)は流石に年代が古く負荷が掛かったときの消費電力の上昇が大きめでした。それに比べるとこちらはいくら高負荷でも20Wも行かないのでトータルではどっこいか下がると考えました。(アイドル時消費電力も完全ファンレスまで踏み込めば9W突入できた可能性もありますが、ケースファン1個は回しておきました。)
こちらは高負荷時でも他製品のアイドル程度の消費電力でしかないため、発熱面での不安が皆無。しかも、排熱に余裕を持たせるため6cm角のケースファンを1つ回していたので、何の不安もなく運用を続けられました。(まぁ、Sony VaioZ (PCG-Z1V/P)もノートラブルなんですが)
そのまま続投し続けても良かったのですが、現在はAV観賞用PC(流れがSony VaioZ (PCG-Z1V/P)の後追いになってるなぁ)として使用しています。
まともに動くVGAドライバがWindows7 32Bit版しかないという汎用性に欠ける板ですが、HDMI出力を持っていたりしますので。古いパーツが多いうちでは割と貴重な存在だったりします。
■Dell LatitudeX1
2016年05月~2017年06月。
またもやシステムの再構築のタイミングで、ソフトとハード総入れ替えです。
今までApache + Java + Glassfish + PostgreSQLで動的HTML生成をしてきたわけですが、動的でやり続ける意味ってあるのかなぁ? と疑問を持つようになってきました。
いや、確かに動的でやるメリットは確実にあるのですが、応答速度の面で不利なのと、そもそも動的のメリットが十分に出るほどのPVがうちのサイトにはありません。
今までも設けて来なかったけど、コメント欄とか儲けようとしたら結局はJava + Glassfish + PostgreSQLの部分がある方良いわけでして。
でもコメントとか、今はわざわざそのサイトに書き込むということは皆していなくて、勝手に呟いたりとかなっているので、コメント欲しい場合はエゴサーチした方が効率的だったりもするわけです。
なので、スッパリ動的CMSを止めて、静的CMSに切り替えました。CMSそのものを止めたわけではなく、相変わらずDBとJavaでHTMLを生成してはいるのですが、それをリクエストがあるたびに行うのではなく、事前に全ページ生成しておいたものを配布するだけ。
Webサーバー上にはApacheだけあれば良い状況になりましたので、データ転送能力だけそこそこあれば十分ってことになります。ネット回線だってそんなに速くないですからね。低性能マシンでも余裕余裕。
んで、このノートPCDell LatitudeX1の採用となるわけですが、CPUの処理性能は上記2つより劣りますがRAMは2GBあるので十分。なによりデータ転送だけのお仕事になりますので、どれでも余裕です。
本来はこのノートPCもSony VaioZ (PCG-Z1V/P)と同じく、性能と軽量化の高バランスを追求した高価な製品なのですが、昔の省電力特化型PCに共通する『液晶画面が白っぽくて見辛い』という弱点が存在します。
高価だし、比較的軽いし、本来なら持ち歩いてこそ正義なのですが、液晶見辛いし古くなってきた → サーバーにうってつけ、なんですね。
ちょうどこの少し前にこのPCのSSDのデータが一部飛んで、OSが壊れたという事象が合ったばかりというタイミングでもあって、このPCのサーバー転用を決定しました。(まぁ、サーバーにしてもいずれSSDのデータが揮発するということを念頭に置かなければいけませんが)
アイドル時消費電力は8WなのでルーターやOTNの消費電力の方が気になるレベル。データ転送だけなので高負荷になることも無いでしょう。ファンレスなので排熱の心配がありますが、置き方を工夫していますし、もう1シーズン無事に経過しました。
とはいえ、このPCの中身はSams……製と言われていますし、たったの4年でマザーボード故障起こして部品取っ替えという前科もあるので、それなりの注意は払わねばならないでしょう。
バックアップ運用PCとしてDell Inspiron6000が控えています。WUXGAの解像度が勿体ないノートPCではありますが、RAM搭載量が最大で2GBという点が大きなネックとなってしまって現役使用が難しくなってきています。StrageもIDE137GB制限がありますしね。
それにしても、現代は借り物のサーバーやサービスで一応は一通り出来てしまう時代。そもそも、自宅にWebサーバーを構えることすら特殊な事情が無い限り運用する意味がありません。
筆者もどこかのサーバーを借りた方が良いんじゃないかとか考えましたよ。無停電電源装置も自宅サーバー用機材も不要になりますからね。サーバー借りれば固定費が掛かるけど、自宅サーバーでもそれなりの電気代が生じているのでどっちもどっち。
でも、筆者の場合は活動内容の都合上借りれるサーバーには制限があってコストも高止まりしてます。
さらに言うと、安定度とか運用率の観点で、一般的にはちゃんとした業者のを借りた方が確実って思うじゃないですか。しかし、冷静に考えるとうちの場合はそうでもないな、ってなります。今まで運用してきたダウンタイムとか考えると決して引けを取らない。むしろ、外でやらせてもらっているブログが平気で数日間運用できなくなったりもしていたけど、うちではルーターの再起動時くらいしかダウンタイムが無い。
なので、もうしばらくは自宅Webサーバーを続けてみよう、と現時点では判断をしています。
……とか言いながら、実はこの記事を公開した僅か1ヶ月半後にレンタルサーバーに移行していて、この記事の更新を忘れておりました。済まない。
そして、今頃になってこの記事を修正したのは、何を隠そう、約6年振りに自宅Webサーバーに戻ってきたからなのだ!わっはっは!
ただし、今度のサーバーはノートPCではなくAndroid TV Box Vontar X3なのだ!
大変だったのだ。その辺はふんわりと6年振りの自宅Webサーバー(IPv4,IPv6両対応)に書くことにしたのだ。わっはっはっ