BIOSTAR TB-350BTC で大ハマりからの画面表示無しBIOS更新成功
前回、折角新規で組み上げたPCが筆者の欲をかいたBIOS更新により起動不能に陥るというトラブルに見舞われました。前回記事がこちら→「AMD Ryzen 7 1700 + BIOSTAR TB-350BTC + RX550 + DDR4-3200」
今回はそのトラブルの詳細と解決方法について記録残しをしておきます。
そもそも、筆者がBIOSを更新した理由が、BIOS上で各電圧、特にSOC電圧を下げられる設定を持っているバージョンが無いだろうか? というところにありました。
今回のパーツ選定は元々Zen2で組むつもりで収集していて、そこから急に中古のZenで妥協するという方針転換をしたために、メモリがDDR4-3200(SPD)というZenにはオーバースペックなパーツとなってしまっていました。
ですが、幸い、購入時のBIOS(記憶違いが無ければ2017-05-12のB35BG512.BSS)では2667MHz扱いで起動し、その後最新(2019-05-22のB35BG522.BSS)に更新し、Manual設定で3200MHzを指定することで、恐らくSPDの情報の通りに動作していました。
古いBIOSでも2667MHzで起動できるんだし、2017-05-12〜2019-05-22のBIOSであればどれでも起動ができるのであろう、とそう考えてしまったのが今回の悲劇の始まりでした。
筆者はデスクトップPCは全て自作でやっていますが、パーツ選定まで自分でやりたい、というだけであって、決して自作PCならではのトラブルが楽しい、なんて思う人間ではありません。
ですので、BIOS更新といっても、恐らく完成度が高いのであろうと思われる、Zen2対応直前(言い換えるとZen+での最終バージョン)と、Zen+対応直前(同じく言い換えるとZenでの最終バージョン)に的を絞って更新したわけです。
Zen2対応直前である2019-01-07のB35BG107.BSSでは特別変わったところが見受けられず、また、BIOS更新時に消去だけして書き込みをスキップしているっぽい挙動が多目に見受けられたために、単純にZen2対応分が無くなっただけに近いのかな、と筆者は思いました。
そういうノリであれば過去に遡っても当初の目的は達成できないんじゃないか? そう思うかと思われますが、実は購入時のBIOSではSOC電圧については記憶が無いのですが、各PStateの電圧等を弄れる項目があったことをはっきりと記憶しておりまして、それがより新しいバージョンでは削除されて弄れなくなっています。
ですので、過去を遡ることに意味が無いわけではなかったのです。
ただし、過去を遡るほど安定性の面で不安になっていきます。
特にZenはRyzenシリーズの初代だけあって、かなり安定するまでに期間を要したようでもありますし、そうなるとあまり初期のバージョンにまでは遡りたくない。(実際のところ、購入初期バージョンではBIOS画面で90W前後の消費電力だったものがBIOSを更新すると54W〜56W程度に収まったりしてますし、BIOSからして熟れ具合が違う感じはヒシヒシとしていました。)
なので、各Zen,Zen+世代での完成形に近いと言える最終バージョンであれば大きな問題は起きないであろう。とそう踏んでいたのです。
ところが、……
Zen+対応直前である2017-11-30のB35BGB30.BSSに書き換えた後の起動時、BEEP音が8つ鳴って起動しなくなりました。
ここで、筆者の勘違いが発生しているのですが、それに気付くのは後日のことになります。
BEEP音8つはdVGAの不具合アラート(付属のマニュアルには「Display memory error」とあります)なのですが、筆者はすっかりこの「Display」という文字を読み飛ばしていて、DDR4メモリの方の認識エラーと勘違いしました。
というのも、まさかこんなタイミングでVGAエラー起きるとは思っておらず、起きるとしたら3200MHzとハイスペックに過ぎるメモリの問題だ、と頭から決めて掛かってしまっていたのです。
ですが、購入時のBIOSでも2667MHzで起動してくれていた、という実績があったので、筆者は迷わずCMOSクリアに走ります。そこが第2の悲劇でした。
CMOSクリア後はうんともすんとも言わなくなってしまいました。BIOSが警告アラートを出す、というところにすら到達できなくなったことを表します。
そりゃあもう、筆者は慌てまして、CR2032のボタン電池を抜いてCMOSクリアジャンパ設定して数時間放置、とかやってみたのですが、ただただ電力を消費するだけの箱となってしまっています。付属のファンWraith SpireのLEDが虚しく点灯し続け、各ファンが回り続けているだけです。
筆者はまだBEEP音8つの意味を取り違えたまま、安くて遅いメモリの調達を始めました。
安さ最優先で選んだCPUとマザーボードだったのに、手痛い追加出費で虚しさを覚えます。
調達中にもトラブルがあったりして心が折れそうになったのですが、本当に心が折れたのはそれからでした。
やっとのことで入手した中古のDDR4-2133メモリ。これを挿して起動してもまだBEEP音が8回鳴る!
嘘やろ!? 中古なんて動作確認したうえで買い取ってる物なんだから、場合によっては新品よりも確実に動きそうなものなのに。(あ、HDDみたいなのは別ね。理由はここでは言わんけど。)
そこで改めてBEEP音8回の意味を調べ直して、筆者は愕然とするわけです。
なんでここでVGAがイカれんのや! と。
しかし、タイミングがBIOS更新直後なわけでして、マザーボード側が悪い可能性も多々あります。
若干歪んでいるPCケースの影響も考えられなくもなかったので、パーツの接続を何度もやり直します。でも、一向に状況は改善しない。
ここまでの投資全損かよー! こっちはSOCの電圧を下げたかっただけなのに!
はっきり言って、ここでもうVGAをもう一枚とか買いたくないんですよ。
そもそもが今回dVGAにした理由そのものがちゃんと筆者の要求を満たすAPUが出てくるまでの『繋ぎ』なんですから。2枚も要らん!
それとも、マザーボードをもう一枚か。そんならもう、凄く嫌だけどIntel Core iの8コアに移るか? いやもう貧困なのに、この無駄に余るパーツどうなのさ? それとも、全てを無かったことにして現在のメインPCを続行するか? ……
しかし、改めてBEEP音の意味が分かったところで、それまで正常に機能していたdVGAがいきなり壊れるものだろうか? とふと思いました。
全ての元凶は2017-11-30のB35BGB30.BSSのBIOS。こいつがメモリも認識できなきゃdVGAも認識できないクズなんじゃないか?
そこで一つだけ試してみることにしたのです。それが
画面表示無しでBIOS更新
いや、正直出来るなんて思わないですよ。でも、一応、ね。
USBメモリの中身を最新のB35BG522.BSSだけ置くようにして、選択ミスの可能性を低減させておきます。
BIOS起動音のピッ(アラート音とは違う)が聞こえたら、F12キーを押して、BIOS FLASH UTILITYに入ったつもり。
書き込み先選択なのか分からないけど、最初にfs0〜fs3のどれかを選ぶフェースがあって、これは問答無用で初期値のfs0で良いので[Enter]キー押下。
次にBIOSファイル選択だけど、これも1個しか選択肢が出ていないはずで、そのまま[Enter]キー押下。
よく分かんないけど、不足があったらいけないので[Enter]キーを多目に押しておいて、それから、本当に実行してよいか聞かれるはずなのでここで[y]キー押下。
多分、BIOS書き換えが始まっていると信じて祈るように待ちます。
ほんと、正直、BIOS書き換えじゃあアクセスランプとか付かないですからね、画面表示が無いと実行できているのかどうかもさっぱり分からないんですよ。
いつまで待てば良いのかもさっぱり分からない。
でも筆者、PCのセットアップ中はずっとワットチェッカーで消費電力見ながらやってたんですけど、80W前後だったはずの表示が48Wまで落ちていたんですね。これ、最初にBIOS更新したときの電力の落ち方に似ている……。
少なくとも何かしら処理は終わったのであろうと予測して、「再起動して良いか?」とか聞かれているものと祈願して、[y]とか[Enter]とかポチポチ押してみます。
ん? なんか知らんが再起動は掛かったぞ?
そして、BEEP音も起動時の軽い「ピッ」だけになってアラートは消えた。
ただ、画面表示がなかなか見られなかったんですね。
そのとき、メインPCでも作業をしていて、ディスプレイが共用なので切り替えてみるんだけど、出力信号が無いって言われてメインPCの画面に戻っちゃう。
まあ、タイミングの問題だろう、と思って、メインPCの電源を落として、TB350-BTCの方も一旦きっちり電源を落として、コールドブートをし直しました。
ぱんぱかぱーん!
出たぞ、BIOS画面! ちゃんとBIOSバージョンが最新に変わってます。画面表示が無い状態でのBIOS更新に成功しました!
メモリも元々のお高い3200MHzの方に戻してみる。
ぱんぱかぱーん! 2667MHzで起動したぞん!
これで、初期状態からBIOSを最新版に更新した直後と同じ状況にまで復帰できた!
やっぱり、2017-11-30のB35BGB30.BSSのBIOSがガンでクソで最低だっただけだ!(筆者にとってですよ。このバージョンで正常に動作している方もいらっしゃるかもしれません)
なんとか投資全損にならずに済んだぞーーーーーー!
というわけで、時間と神経と追加出費といろいろと削られましたけれども、なんとか致命傷で済んだぜ。(本当どんだけ命を削られたことか)
もうSOC電圧の件はBIOSでは諦めるよ。OSで変更できるツールを見つけたらにして、少々落としたところで2Wくらいしか変わらないから諦めよう。
次のAPUシステム組めるときまで消費電力は少々妥協する。
そもそも、冬なんか電気毛布膝に掛けたりしてるんだから、PC単体だけそこまで拘ったところで、ねえ。(本当は無駄な熱のせいで煩くなったり製品寿命が縮まったりするのも嫌なのでそれで下げたいってのも多々ある)
本当、自作PCの苦労と地獄(玄人志向じゃないですよ)を今回もこんなにたっぷりと味わわされることになるとはな。
困ったもんだぜAMD。(Core i5-4570Sのシステムが綺麗に決まっているだけに余計にAMDは苦労させられている印象が強まってます。)
結果論を言うならば
恐らく、初めてBEEP音8つのアラートが出たときに、そこでCMOSクリアをせずに、画面非表示のままBIOSを別のバージョンに更新していれば、追加出費無しに復旧できたかもしれません。
dVGAの認識が出来ないバージョンのBIOSに書き換えてしまい、さらに、CMOSクリアをしてしまったことでメモリの認識すら出来なくなってしまった、というのが今回の障害内容でした。
っつか、このバージョンのBIOS酷すぎねえ?
二重認識不良なんて解決できないっしょ、おいそれと。