超適当&安価スリムMicroATX対応PCケースの自作
ちゃんとした市販のPCケースって、量販できないと淘汰されてしまうので、思いの外希望どおりの仕様の製品に出会えなくて苦労したりしませんか?
筆者が結構困っていたのが、MicroATXが入る超コンパクトなPCケースが無い。もしくは、あってもやたらと高価。という問題でした。
いや、コンパクトなのが欲しいならMini-ITXのマザーボードを買っておきなさいよ。という突込みも今となっては古すぎますよね。
いきなり話が脱線してしまいますが、筆者はATX→MicroATXの流れから今後はMini-ITXの流れが来る、とそう予想してMini-ITXしか入らないPCケースを先行投資で合計3つ所持するに至ったんですね。
ですが、時代は自作PCそのものが衰退し、生き残ったのは拡張性に富んだATXか、そうでなければほぼフルセットなベアボーンのNUCという二分化をしてしまいました。
MicroATXですら生き残ってはいるもののニッチという状態。Mini-ITXなんて、本当にニッチもニッチな状況に。
結果として、筆者が所持しているMini-ITXのマザーボードが2枚なので、どうやってもケースが余っている、という状況が続いています。しかも、2枚とも古いAtomオンボのマザー。
でもね、こうなるのにも理由がありまして。
そもそも、Mini-ITXでメインPCを作る気にはならないという問題があります。
価格の点でも、拡張性の点でも、メインPCはどうしてもATXかMicroATXになってしまいます。
そして、サブに回るPCは、はっきり言ってそのお下がりで良いわけです。
昨今では省電力化の進化も停滞気味でして、お下がりPCでも設定を調整すれば十分に低消費電力と(低)性能のバランスを取ることが可能となったため、ぶっちゃけ、過去に購入したATOMのMini-ITXでさえ出番が無い、くらい、メインPCのお下がりの調整版の方が使えるわけです。
でも、ケースが無え!
いや、馬鹿デカいケースならあるんです。
そうなると、今度は置き場が無え! となります。
そこで今回は、MicroATXが収まる、コンパクトなケースを超適当かつ安価に自作しよう、と考えたわけです。
MicroATXながらも、iGPU内包のAPUを使用しているため拡張基板は一切使用していないPCですので、超薄型でOK。だから、スペーサーのつなぎ合わせでも柱として成り立つケースにできるわけです。
ちなみに、部品を調達して作成したのが2019年の3月か4月ですので、この記事、および写真等は8〜9ヶ月経過してからのものなります。
肝となる部品は、プラスチック製の基板スペーサセット。
プラスチックであることに意味はありませんが、中華な通販で安価に入手できます。
このスペーサーを適当に組み合わせて、スペーサーをマザーボードの固定としてだけでなく、PCケースの柱、骨組みの一部として使ってしまおうという作戦です。
既にほとんど使ってしまった後なので、空になっているところすらありますが、6,8,10,12,15,20mmのスペーサー各10本と、ネジ60本、ナット60本という合計180分品のセット。筆者が購入したときは322円送料無料でした。
1個ケースを作って、ほぼほぼスペーサーが消滅してしまったので、ピッタリと言えばピッタリだったのですが、うん、まぁ、別に今はこれ以上必要無いからまぁ良いか。丁度良い買い物だったと思います。
他に必要になるのは天板と底板の2つの板。側面にも板を貼りたい場合は側面用の板。
天板と底板はある程度剛性を持ったものが好ましいです。この天地の板をスペーサーの柱で支えることになりますので、あまり重くない板がベターです。
側面は埃よけ程度で良いと思います。もちろん、側面もきっちり天地の板と結合させるとより強固なケースができますが、逆に言うと、それが簡単にできるのならスペーサーで柱を構成する意味がありませんので、今回の構造の場合は側面はオマケ。なので、埃よけと言っています。
筆者はうちに転がっていた古い木の板を天地の板に使用しました。お世辞にも綺麗とは言えなかったので、これまた古くて端が浮いて変色しているクラフトテープを全面に貼り付けて誤魔化し&バリ覆い隠しをしています。
新規に板を買う場合はあまり厚くないアクリル板とか綺麗にできそうですよね。でも、アクリル板だと高いか。まぁ、自作ケースに何を求めるかにもよりますね。筆者は実際に使う場面でこのPCが目に入ることは無いので、実用性さえ確保できていれば極力低予算で、ということでこうなりました。
なお、こちらの画像でスペーサーの頭がいっぱいナットで固定されていて、こっちが底面かと思われるかもしれませんが、こちらが天板です。
筆者は今回、マザーボードの取り付けを天面にするようにして、天地を逆さにするようにしました。
その主な理由は、埃よけです。
今回は拡張ボード全く無し、ACアダプタ電源使用の省電力PCですので、ファンはケースに付けません。
ただし、CPUファンレスでイケるほど省電力でもないので、CPUファンだけはリテールの付属品をそのまま付けて回します。
普通にマザーボードを配置してしまうと、天板側にそのCPUファンが来てしまうので、天板側に穴を空けると埃がバンバン流入してしまいます。
このPCはベッドのすぐ近くに置くのでなおさらです。
なので、天地を逆にして、CPUファンの位置の底板に穴を空け、底から空気を取り込むようにしました。
PC全体でファンがこれ1個っきりですので、空気の流れ的にはCPUファンの部分だけが埃の侵入口と考えて概ね大丈夫ですので、側面などはかなり適当に覆うだけで機能としては十分、となるわけです。
というわけで、筆者のいい加減PCケースの側面は、超いい加減なクラフトテープ貼りのみ、といういい加減さです。
このいい加減な隙間が、空気の排出口の機能も兼ね備えています。
あ、で、電源スイッチが無いと流石にPCの起動ができないので、これも中華な通販で購入しています。
電源スイッチ、リセットスイッチ、電源LED、ストレージアクセスLEDがセットになっているケーブルでケーブル長は68cm。これでお値段74円送料無料。
日本国内で買おうとすると送料もしくは交通費も考えると1500円以上掛かりそうです。筆者の環境だと。
んで、底面の方にはCPUファンのところに穴を空けて、そこにストッキングのお古の端切れをぺったんこと貼り付けました。
ってか、これ、写真を撮るにあたって特に掃除とかしてないんですけど、全然埃溜まってないですね。
これが俯瞰の状態。
なんか、こっちが正規の天地のような気がしますが、これだと埃が溜まるんでね。
んで、ですねえ。こういう穴開けも適当なので、バリとかささくれとかいっぱい出来ているんですけど、これもクラフトテープで覆って誤魔化してます。
おまたせの中身。
ACアダプタとDC/DCコンバータ、2.5インチのHDD1台とあとはマザーボードCPUメモリのみというシンプルな構成。
まだ空間に余裕があるので、もっと小さいサイズでも成立したはずですが、元の木の板を切るのも面倒臭かったし、置きたかった場所にはこれでも置けるので楽をしました。
Specとして、マザーボードがGIGABYTEのGA-A75M-UD2H、CPUはAMDのA6-3500、これは定格2.1GHz3コアTDP65Wのものですが、コア電圧を0.9Vにまで下げてクロックを1.6GHz固定とすることで最大消費電力を抑えてACアダプタによる駆動を確実なものとしています。(他にも電圧いろいろと落としているような気がする)
この調整によりCPUファンが唸ることもなく、他にケースファンが無くても十分に冷えた状態での使用が可能となり、今回のような超薄型な自作木製ケースでも実用可能となっています。
あ、これ、できればDC/DCコンバータも固定しておいた方が良かったっすね。そこまでやれてませんでした。
最初はマザーボードを固定する部分をそのままスペーサー伸ばして柱にしようと考えていたのですが、メンテナンスとかも考慮した際に面倒なことにならないか? とかスペーサーの部品数とか天地板のサイズなどの兼ね合いで結局マザーボード固定と、スペーサー柱は別個にしました。それで、天板に空いているスペーサー穴の数が異様に多くなってしまったんですね。
スペーサーの強度に対する不安もありましたので、なるべく柱の本数を多く確保して強度を得たいという考えもありました。
あと、部品数との兼ね合いもあったのですが、マザーボード固定用のスペーサーの高さが微妙に不足してしまって、プラスチックワッシャーを噛ませて高さ調整とかやってたんです。
スペーサーの凹の上にワッシャー置いて、そのうえにマザーボード置いてネジ止めとか、ここだけやたらと難易度の高いことをやっていたので、やっぱりもうちょっと部品数多いセットを買っていた方が楽だったかもな、と今更ながら思い出しました。
んでですね、板の精度にもよるのかもしれませんが、結局は設計通りに事は運ばなくて現品合わせを余儀なくされてしまいました。基本的に同じ高さになるようにスペーサーをつなぎ合わせるわけですが、スペーサーの誤差もあるでしょうし、板の反りとかもあって、どうしても部分的に浮くところが出る。
それで、厚さ1mmのプラスチックワッシャーを噛ませて最終調整とかしてたりします。これも中華な通販で100ピース入り68円送料無料。
元々はマザーボードを固定するときに必要なんじゃないかと思って同時購入していたのですが、結局マザーボード固定にはしておらず(高さ調整には使用してるけど、ネジ止めする方には使用していない)、スペーサーも決して大きな部品ではないのですが、マザーボードの穴を抜けてしまうほど小さいわけでもないのでワッシャー無くても大丈夫でした。
結局トータルだと、322+74+68=464円。プラス天地の板と側面の分が必要になりますので、全部を一から揃えようとするとそこそこお値段掛かってしまいますね。
でもね、こういう省スペースなケースって買うと6000円とかするじゃろ? しかも、市販品はどうしても拡張性を完全に犠牲にするわけにいかないので、それでも筆者的にサイズオーバーだったりするわけです。
サイズ的な不満を解消しつつこのお値段でやりきれた、って意味ではこれはお得だった、と筆者は思っておりますぞい。
そもそも、メインの座を降りたサブPCですからね。そんなにお金掛けたくありません。ヘタにお金掛けるようだったらAndroidTVBOX買った方が良かったんじゃないか? ってなりかねないですからね。(えーっと、これ書きながら、2000円以下でAndroidTVBOX買えたよなあ、とか思ってしまいましたが、これ以上PCっぽいデバイス増やすのもなんですしね。今後もメインPCのお下がりのMicroATXってのは出てくるので、ここでMicroATXスリムケースを自作しておいたのは決して無駄ではないと、思うことにしよう。そうしよう。)
あ、ちなみにこの柱の高さが多分10mm×3+15mm×2で60mmの高さになっていると思います。1mmのワッシャー噛ませているので61mmですけど、ワッシャー噛ませたのはここだけなので、他は全部60mmでやってます。
なお、天板と底板をネジ止めするようなことはせず、置くだけにしています。
これは筆者が再利用した木の板が既に枠付きの状態だったためできたことですので、普通の一枚板でしたら天板と底板をネジ止めする必要が生じるかと思います。
プラスチックスペーサーは力を入れすぎるとすぐにネジ山が潰れて馬鹿になりますから力加減には注意しましょう。
スペーサーそのものが細くて弱いうえに連結させているので更に弱いですが、それでも1〜2Kg程度の軽いものでしたら上に置いて大丈夫です。筆者はずっと小物入れカゴを2つ上に載せた状態で使用し続けています。
あ、そうだ、最後に、穴開けには2mmΦのドリルを使用しています。
穴開け位置はマザーボード置いて穴にマジックとか突っ込めばマーキングできるのでそんな感じで。