FUJITSU ARROWS Tab Q584/H

2020年08月購入。お値段7,980円。

さて、ある程度環境を整備するところまで出来ましたので、軽くインプレッションを。

まずは早速、大きさ比べ。

Q584/HとWN892の比較

Q584/Hが左、Mouse WN892が右です。
映り込みを気にしてアクロバティックな姿勢で撮っていたらボケボケです。
キーボード面はそれほど差が無いようにも見えますが、画面はQ584の縁の太さが影響してやたらと大きく見えます。
Q584は10.1インチ。WN892は8.9インチで、縦横比はどちらも16:10です。

ではそこに、Sony VaioP (VPCP11AKJ)を乗せてみましょう。

Q584/HとWN892とVaioPの比較

VaioPは解像度1600×768という横長画面であるため数値上は8インチでWN892に近いですが、実態はがっつりと小さいです。
ただ、キーボードを真面目に作り込んでいるだけあって、本体幅はWN892よりもVaioPの方が若干大きいです。

今度は逆に、Q584/Hよりも大きいDell LatitudeX1との比較。

Q584/HとLatitudeX1の比較

Q584の画面の縁取りが大きいせいで大差無いように見えますが、一応一回り小型ではあります。
ちなみにLatitudeX1の解像度は1280×768で縦横比は5:3。16:10よりも若干横長(というより縦32Pixel分少ないんですよね)です。

デル株式会社

スペックでも比較しておきましょう。

機種幅(mm)奥行き厚み画面幅画面高さ画素数横画素数縦
VaioP24512019.8182.487.61600768
WN8922311379※1921201280800
Q584/H267180.89.9※216.96135.625601600
LatitudeX1286196.8252631581280768

※WN892とQ584/Hの厚みはキーボードを含んでいません。

個人的には、VaioPのキーボードにタッチパッドを加えてその分画面も大きくした感じがベスト(これ過去記事でも何回も書いているんですけど)なので、本体サイズ245×160くらいの10.1インチ1920×1200があると最高です。
って書くと前回記事(FUJITSU ARROWS Tab Q584/H (到着前))で新品では一択と書いたCHUWIのHi10 Xが結構近いことがここでも明らかになってしまうのですが。

ベッドで寝そべって物書きするには、目線を上げずに済む方が助かりますので、Q584/Hの画面下の縁の太さとキーボードへの固定部分の高さが大きいのはネガ要素ではあります。
ただ、これが、机の上に持ってくると一転して、この嵩上げのお陰で多少見やすさが改善されるという真逆の効果があるので一概にどっちがとは言いづらいところでもあります。
最近のノートPCでも画面縁を一所懸命狭くしているけど画面下部だけは無頓着ですよね。(あれ、下まで画面伸ばしてくれても良いのにね。臓物があるから簡単にはいかない(それやると分厚くなる)のは分かるけど))
あ、この個体ではヒンジのグラつきはありませんでした。ただ、タブレットを嵌める受け皿が浅くて緩いので、そこである程度グラつきます。あまり気になるなら隙間テープとかでスキ詰めれば良いんじゃないですかね。(見た目無視)

Q584/Hのキーボードは配列も自然で、やや縦方向のピッチが縮められている点が気になってはいましたが、特に問題なく打てます。(あんまり正方形から逸脱すると筆者は打ちにくさを感じるようになります)
まあ、少なくともWN892とは雲泥の差ですわ。わははは。

Q584/Hの解像度は2560×1600と高精細で、うちのデスクトップ環境やLeTV LeEco Le Max 2 X821の2560×1440を超えて、うちではもっとも解像度の高い画面となっています。
消費電力や性能的には厳しいものがありますが、フォントは綺麗になりますね。確実に。
見た目で別格な感じが出るので、WN892がさらにちゃちく感じてしまうという。(^^ゞ)

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そのWN892との性能差についてですが、WN892が2015年発売のWindow10搭載PCで、Q584/Hは2013年発売のWindows8.1搭載PCなので、ざっとまるまる1世代Q584/Hの方が古い製品となります。
しかしながら、WN892は安さが自慢の普及機、Q584/Hはいたれりつくせりの文教向けですので、ほぼ完全にQ584/Hの方が1回り上の性能を所持しています。
これはもう、Q584/Hに触れた最初の感触からして『スムーズさが違うわ』って分かるレベルなんですが、それだけでもなんなので、一応比較できるものは比較しておきます。

機種Q584/HWN892
SoCAtom Z3770 4C4T 22nm Bay TrailAtom x5-8300 4C4T 14nm Cherry Trail
Clock / TB1.46GHz / 2.39GHz1.44GHz / 1.84GHz
RAM2GB x 2(DualChannel)2GB (SingleChannel)
StrageSSD 64GBeMMC 32GB
WiFia/b/g/nb/g/n

SoCは例えるならCorei7対Corei5のような位置付けなのですが、Cherry Trail世代のx3は28nmで製造されるまるっきり別物(製造からして外に出してますしね)なのでこのx5-8300は事実上Cherry Trail世代の最低ランク品です。
Z3770はその後Z3775、Z3795などのさらなる上位品が出されてはいますが、一応はBay Trail世代の上位品です。
細かいことは分かりませんが、Atomの22nmから14nm初代への進化では主にGPUを強化していて、CPU部はあまり変化が無いらしいです。
それでいて、TurboBoostClockで約3割という大きな差が付いていますので、ここで差が出ます。(x7-8700とかだったら確実にx7の方が速いんでしょうが)
ついでに言うと、22nm世代の方が流石に電力食いで、BoostするとQ584/Hはかなり熱くなります。しかし、放熱がきちんと出来ているからこその熱さとも言うことができ、Boostはかなり安定して継続します。
一方のWN892、BoostClockが低いのでこちらもそれなりにクロックは維持しますが、ちょっと熱を持つとタッチパネルが暴走します。プラ筐体なので持ってもそこまで熱くはなりませんが、逆に言うと放熱のことはほとんど考えていない。(だから安く作れる、ってところもあるのかとは思いますが。)

RAMのクロックは調べられていないのですが、仕様上Z3770はデュアルチャネルに対応していてx5-8300はシングルのみですので帯域はZ3770の方が高くできます。
SSD対eMMCも言わずもがなですね。
いろんなところが、Q584/Hの方が電力は食うけど性能も出る、という構成になっています。
これらが組み合わさって、ボトルネックを感じ難い、すっきりした操作感(あくまでもWN892に対してですよ)が演出できているんだと思います。
触っていてストレスを感じ難いのは明確にQ584/Hの方です。

それを裏付けるかのように、WinSATの結果を貼り付けておきましょう。
どちらもWindow10 32Bit版、バージョン2004での計測結果となります。

機種Q584/HWN892
System4.74.3
Memory5.55.5
CPU7.97.5
Graphics4.74.3
Disk7.056.75

Memoryの結果が同値になっていますが、Bandwidthを見てみると「9966.30469MB/s」vs「7225.61621MB/s」でやはりQ584/Hの方が高いレートを弾き出しています。Q584/Hはデュアルチャネルであると見てよいのではないでしょうか。

この性能の代償は消費電力という形で跳ね返って来ています。
アイドル時は2W、画面消灯で1Wとこの辺りはAtomタブレットらしい省電力っぷりを見せてくれますが、画面最大輝度にして高負荷になると10W(きっちり負荷を掛けたわけではないのでそれ以上もあり得ます。)を記録。
これは45nmの初代AtomのフラッグシップであるZ560を積んだVaioPでも届かない電力食いです。(が、LatitudeX1まで遡るとアイドル最低で10Wですので、実はそう大騒ぎするほどものでもないかと)
なお、10.1インチと2560×1600という解像度が消費電力を押し上げている側面もありますので、仕方が無いところもあるかも。

それを補うかのように38Whという大容量のバッテリーを積んでいるわけですが、これはVaioPのSバッテリーの倍容量です。WN892もほぼVaioPに近い容量なので倍ですね。
仕様上JEITA1.0で約15.5時間も持つそうですが、6〜7年経過しているだろうQ584/Hの中古でも、

Q584/Hのバッテリー100%表示

こんな強気な表示を見ることが出来ます。
バッテリーのヘタりを危惧してはいましたが、少なくとも極端にヘタってはいなさそうな個体に当たったようで良かったです。
ただ、開封時点ではスッカラカンで、時刻の設定さえ飛んで消えてましたけどね。(ちなみに2019/08/05に取得されたスクリーンショットが1枚入っていたので、恐らくこのときがショップへの入荷&動作確認時で、それから丸一年放置在庫だったことが伺えます(^^ゞ))
しかし、このQ584/Hが『安物タブレットとは違う』という点はACアダプタを挿したらすぐに起動した、というところにあります。

多くのスマホやタブレットはシステムへの給電に必ずバッテリーを経由するようになっていて、バッテリーが枯渇すると、ある程度充電して容量確保できるまではシステム起動ができません。
しかし、Q584/Hはバッテリーが枯渇していても起動できる。
これは、この製品の成り立ちがノートPC側にあることを物語っています。
つまり、この製品、バッテリーがヘタってもACアダプタ給電ができれば使用を続けることができます。多分。恐らく。きっと。
この構造は充電と給電を同時にしなくても済む分バッテリーに優しいという可能性もあり、安物タブレットよりかはバッテリーのヘタりを遅くすることができるんじゃないかと思います。

余談ですが、ただだからと言って何でもかんでもノートPC形式の方が優れていると論じたいわけではありません。
ノートPC形式を実現するにはACアダプタだけでシステム全体を駆動できるだけの余裕を持った給電能力が必要となります。
つまり、電力供給量が確実に確保できるとは言えないUSB充電では絶対に無理がある話です。
そのため、スマホ・タブレットではもっとも確実に給電できるのがバッテリーとなるので、とにかくバッテリー経由、という仕組みにならざるを得ない側面があります。(コストダウンも大いにあるでしょうが)
それにしても、Q584/Hは一応、microUSB端子経由での充電にも対応しているので、贅沢な設計しているんじゃないでしょうか。

先程は凄くバッテリーが持ちそうな印象の画像を貼りましたが、Q584/Hは高負荷になるとかなりの電力食いマシンになりますので、作業の具合によっては簡単に、

Q584/Hのバッテリー93%表示

バッテリーがガンガン減り、駆動時間予測も大きく変動します。

画面が小さいのでモバイル使用を想定しがちですが、この機種は基本据え置き使用で考えた方が幸せになれるマシンです。
重たいし、バッテリーの持ちにも変動要素が多いので。
性能が必要なときにAtomながらも極力性能を引き出そうとしてくれる代わりにバッテリー残量が減りますので。
もちろん、性能を抑える設定をすれば、長時間バッテリーを持たせる運用が可能ですが、そうなるともっと低性能の機種でも良かったよね、って感じにもなります。
まあ、中古購入なのでその辺はあまり拘るところではありませんが。

なお、この機種、前回記事でも書きましたがゲームとか動画視聴などには不向きですので、娯楽目的で安易に手を出すと失敗します。
特に、近年すっかり当たり前になったH264コーデック動画の再生支援がこの時代のAtomSoCには付いておりませんので、画面解像度が無駄に細かいのと合わせて動画再生は苦手な部類、と言っちゃって良いのではないでしょうか。
反面、文字データ処理などではそういった弱点が露呈しませんので意外なほどスムーズに使えます。
重いと思ったらエフェクト切りましょうね。エフェクト切ったって画面は綺麗です。


ところで、このQ584/H、素の状態ですと、回復パーティションに盛大にストレージ容量を奪われていて、せっかくの64GBが随分とフリーエリアを削られてしまっています。

Q584/Hのストレージ構成

これは(個人的に)Windows10クリーンインストール待ったなしですわ。
でも、ちょっと待って!
リカバリディスクの作成は是非やっておきましょう。
とくに、Windows8.1に戻ってくる気が無いとしても、ドライバディスクは絶対に作っておいた方が良いです。
というのも、サイトに乗っているドライバは更新があったものだけであって、製品に添付したものから更新の発生していないドライバについてはサイトに乗っていないからです。
Windows10にしても使えるドライバはあります。(筆者はタッチパッドのドライバをこのドライバディスクから適用しました)

んで、気になっていたRAM4GB積んでいるのに32BitOSのせいで2.89GBしか使えないという件なんですが……。
まず、導入しようとしたRAMDiskがことごとく動かなくて苦労したのですが、ようやく動いてくれたこれ、DataramのRAMDISKで