Zen3の発表に興奮しまくった結果Cezanneに期待したお話

当記事には根拠に欠ける邪推や妄想が混入しています。
事実の確認は各自の自己責任においてお願いします。

Zen2APU(Renoir)のリテールを待っている間にZen3の発表がありまして、とりあえず発表されたSKUと価格には賛否両論あるみたいですが、もうほぼほぼ飽和状態で改良が難しいのではないかという雰囲気も感じさせていたシングル性能でとてつもない進化を遂げていたため、あっという間に筆者の中でZen2の存在が霞んでしまいました。
もちろん、価格との兼ね合いでマルチ性能を取るならまだZen2という選択もあり、という考えを否定するわけではありませんが、筆者はそもそも現在のRyzen 7 1700を購入する際に価格との兼ね合いでシングル性能を捨ててマルチ性能を取った選択をしている身です。
筆者的に今一番欲しいのはシングル性能。
なので、この進化はもう、ズガーンと来ました。ええ、そりゃあもう。

で、やはり気になったのが初期のラインナップ。
まあ、筆者の用途からしてR5-5600X一択なんだろうなあ、とは思うのですが、いろいろ考えを巡らせているうちに、もしかしたらZen3APUのCezanneが意外と早くに来てくれるんじゃないか、って気がしてきました。
全くの筆者の妄想なんですが。
そんな妄想を掻き立てたのが今回のZen3の初期ラインナップだったのです。

Zen3は確かに性能向上がきちんとしていて、シングル性能をきっちり伸ばして、それをほぼそのまま素直にマルチ性能の上乗せにも出来ている。そんな印象でした。
一方で、ワットパフォーマンスの向上はアピールしつつも、アイドル消費電力や絶対的消費電力量については言及がありませんでした。
Zen2のときにIO周りの消費電力が高止まりしていてアイドル消費電力を抑えられない弱点があったのですが、今回のZen3もIODはZen2の全く同じ12nm品だそうで、アイドル消費電力の低減は期待出来ません。

このチップレット構造。EPYCやらThreadRipperやらとCCDを共有でき、しかも1CCDのサイズが小さく、製造難易度の高い7nmプロセスでは歩留まり向上に寄与する効率的なコストダウン手段だったのですが、当然ネガもあります。
IODとMCMになることによる使用電力量とレイテンシの増大とMCMパッケージに掛かるコストです。
これはCCDを多く搭載する製品ほどそのネガ要素は消えていき、相対的にメリットが増大します。
CCDを多く搭載する製品を一所懸命1ダイで作ろうとしてもダイそのものが巨大になり、結局配線が遠くなったりするので、変なところで性能劣化が出てきてしまうようになるからです。これは、チップレット構造になる前の超多コア製品で実際に起こっていたことです。
一つのIODに対して放射状にCCDを複数配置した製品は上手いことそうしたアンバランスになってしまうところを平均的にならして、超多コアならではの性能劣化問題が起きにくくなるように出来ています。

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しかし、逆に言うと、1CCDしか搭載しない8コア以下の製品でチップレット構成を取り続けることはそれほどメリットがあるとは言えなくなってきています。
そもそも、1CCDしか搭載しない製品では、7nmでの製造コストがある程度下がってきたところでメリットが皆無になってしまいます。
MCMパッケージで掛かる費用と、ダイを大きくして1ダイで全て作り切ることに掛かる費用の天秤は、時間が進むにつれて1ダイで作りきってしまう方が有利に傾いてきます。
1ダイで作りきれてしまえば、アイドル消費電力も劇的に下げることができます。これはZen2APU(Renoir)が既に実製品として証明できていることです。
そして、Zen+までのAPUは最大で4コアでしたが、Zen2APUは最大8コアです。

1ダイで作りきってしまった方が良い、と考えられる分岐点が4コアから8コアへと移ってきているのではないかと思われます。
これは1CCXが4コアというまとまりだったものからZen3で1CCX8コアとされたことからも伺えることです。
今でも1IODに2CCDを接続するZen3のRyzen 9シリーズはチップレット構造が最適解かとは思いますが、1CCDになる7シリーズ以下を従来どおりチップレット構造でラインナップを揃えることが果たして効率的なのか?
消費電力問題も含めて、普及クラス以下では既にチップレット構造は少しリッチに過ぎるものとなってしまっているのではないかと、筆者は想像するわけです。

それがZen3の初期ラインナップにも如実に現れているんじゃないかなあ、と思います。
チップレット構造が活きるのは基本的に2CCDのTDP105W品なんだろうなあ。R7-5800X, R5-5600Xは8コア6コアでもリッチな足回り(膨大な32MBLLCとPCIE4.0)が欲しい人向け。
総じて、これより下のラインナップは以前よりも作りにくい状況になっているのではないでしょうか?
1CCXが8コアになって、歩留まりの都合上潰すコアが発生したとしても、4コアまで落とすことは考えにくいと思いますし、そこまで落とす製品を無理に出すくらいならIntel対抗だけを目的とした5+5の10コア品をラインナップに加えるという手もあるわけですしね。

つまり、何が言いたいのかと言うと、Zen3ではCPUはよりハイエンド寄りの製品になって、メインストリームはAPU(Cezanne)が中心になってくるのではないかという、完全に筆者の妄想です!
2020年8月の終わり頃か9月の頭に、既にデスクトップ向けZen3APUのES品の存在がリークされています。
X470,B450チップセットのZen3対応が2021年とされているのも、そこでZen3APUが合わせてドーン!と出てくるような、気がしませんか?
あくまで筆者1人が思っている希望であり妄想ですけど。

Zen2APU(Renoir)のデスクトップ版がバルクとはいえ出て間もないのにそんなことあるか!って思われる方がほとんどかと思いますが、ES品のリークにしてもZen2APU(Renoir)では常にMobile先行だったのに、Zen3APU(Cezanne)ではDesktop向けのES品が早々に出ています。
そして、Zen3CPUはN7改良版プロセスと噂されていますが、Zen2CPUのXTシリーズもそれっぽいみたいな話をどこかで目にしたことがあります。
XTシリーズで当たりを付けて、N7改良版プロセスにZen3CPUとZen3APUを集中してきたと考えれば、Zen3デスクトップのラインナップをCPU,APU混合で構成していくというやり方もあながち無いとも言い切れないのではないか?
Zen2APU(Renoir)のDesktop版を少なくともリテール品はスキップすることで、こういう流れになったとしてもなんら不思議はありません。
そもそもメインストリーム以下ではiGPUが付いていない高価なZen3CPUは価格競争力で不利なため、APUが安価に潤沢に作れる道筋が出来るのであればそれを主力にするのが妥当でしょう。

Mobileでは現状のZen2APU(Renoir)でも引っ張りだこなので当面はこのままでも良いと判断できます。
ただ、MobileでもAMDが弱い領域、TDP15W以下の領域ではテコ入れが必要です。
そこで開発されているのがZen2+RDNA2のAPU(Van Gogh)というわけです。
CPUが一世代古いというのが気になるかもしれませんが、Zen2は1CCXが4コアなため、4コア以下の製品展開では最適なCPUになるわけです。
1CCXのみのZen2APUはいままで存在していなく、その領域は12nmや14nmという安いけど省電力性能で不利な製品でお茶を濁すしかなかったのですが、15W以下のレンジでこれが出て来るとなると、やはりこれもIntelにはかなり怖い製品になりそうです。
そして、同時に1CCXのみという製品は4コア以下のデスクトップ向けにも適しています。もしかしたらZen2+RDNA2のAPU(Van Gogh)にもDesktop版とか、あるかもしれないですよね。Core i3対抗で。

総じて妄想するに、2020年ではCPUとAPUの2つで大筋をカバーして、残りは12nmや14nmのZen+,Zenの少コア版で凌ぐという形でしたが、2021年ではリッチ8ro16コアCPU、メイン8コアAPU、4コアAPUの3パターンを持てるようになるわけです。
コスト重視で4コアを選択したい層に対して2020年のZen2では8コアの部分コア無効化品しか提供出来なかったのに対して、2021年ではZen2APU4コア品が出てくるので、4コア以下のAPUでは価格が下がる期待も多少持てます。
すると、ラインナップ上の使用コアの境目は今までとは少しずれてきます。
チップレット構成のCPUはよりリッチで性能重視なX付きSKUが主体。Intelで言うところのXやKF。
メインストリームはZen3APU(Cezanne)が主体。6,8コア。
バリュー帯はZen2APU(Van Gogh)が主体。4,2コア。
みたいな感じになってくるのではないかと予想しています。


というわけで、2021年のデスクトップはZen3CPUの下位SKUが拡充されるとしてもほどほどで、Zen3APU(Cezanne)が代わりに広く適用されるのではないかと、筆者は予想します。
AMDのAPUといえばLLCがCPUに比べて激減するという弱点があるにはあるのですが、それもZen3で1CCXが8コア化したことにより、例えAPUでZen2と同じLLC8MBだとしても、1CCX内で共有できるCacheが4MB→8MBに倍増することになるので弱点が減ります。
同じようにしてCPUの方でも1CCX内で共有できるLLCは16MB→32MBに倍増しているんだから差が埋まらないじゃないか、と思われるかも知れませんが、LLCは増やせば増やすほどその効果が活きる場面が広がりにくくなります。
例えば、CineBenchでZen2CPUよりもZen2APUの方が高い成績を残せるケースがありますが、LLCが少なくてもそれに収まるような処理であれば差は出ない。むしろ、LLC容量を増やすとその分回路規模が大きくなってレイテンシ等を増やさざるを得なくなるためLLCの大きい方が不利にもなり得ます。
つまり、LLC8MBでは収まりきらないけれどもLLC32MBならばキャッシュに収まりきる、というような処理の場合はCPUが大差で速くなります。
もちろん、LLC32MBでも収まりきらないという場合でもキャッシュヒット率が上がってCPUの方が有利になる傾向にありますが、メモリ律速とかストレージ律速とかいうような処理にまでなってしまうとまた差は無くなってしまいます。
ですので、LLCは確かに多いと魅力的ですが、冷静に考えれば、適量ならば良し、と考えた方が良いでしょう。

ただ、もしかしたら、Zen3APU(Cezanne)でLLCを増やしてくる可能性もあるかもしれません。
その下にZen2APU(Van Gogh)が来てくれることでZen3APU(Cezanne)のターゲットを少し上げることが出来ることと、N7改良版への進化でZen2APU(Renoir)からZen3APU(Cezanne)のCPUコア部分はほぼ同じ面積を使うでしょうが、GPU部分はVega8をそのままシュリンクとなると多少ダイサイズに余裕が出来ます。
もちろん、それをコストのためにダイ縮小の方向で動くことも考えられますが、ダイサイズをZen2APU(Renoir)同等にするのであればLLC増量の余地も少しはあるかもしれません。
倍増できれば16MBとなって、とりあえずCore i7にも全く見劣りしないスペックになりますし、Zen3のシングル性能の素晴らしさからいって本当にメインストリームはこれに収斂しそうです。
まあ、できたところで1.5倍の12MB辺りのような気がしなくもないですが、それでも十分魅力的です。(なんたってあのシングル性能ですからね♥)

いずれにせよ、筆者はZen3のシングル性能は喉から手が出るほど欲しいですが、決してリッチなハイエンドを欲しているわけではないので、Zen3APU(Cezanne)の早期登場に果てしない期待を抱いているわけです。
なお、業界と全く関係の無い一個人がこんな妄想をくどくどと無駄な時間を掛けて書いているのは、とりあえず書ききって脳から一旦追い出さないと、他の作業が手に付かないからです。
心の整理ってやつですね。
最後に、予想が当たってくれることを祈って、この記事を終わります。

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2020-10-19追記

Note向けCezanneのリーク情報ですが、LLC倍増の16MB!来てますねえ!
これはDesktop向けCezanneにますます期待です。
何とかNote向けと同時発売とか、やってのけてくれたりしないだろうか?
それとも、Note向けにCezanneを流通させて余るRenoirのDesktop向けリテール版の発売を開始するとか、そういうナメプは止めてくれよ〜?
Intelがこの体たらくでもすっかりDesktop向けへのナメプを止めない(Desktop向けiGPUはNote向けの1/3しかGPUコアを搭載しない)から、何かとIntelの動向に追随しがちなAMDもちょいと不安なんだよなあ。

当記事には根拠に欠ける邪推や妄想が混入しています。
事実の確認は各自の自己責任においてお願いします。

2020-10-19 2020-10-12

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