Ryzen5 5600G vs Ryzen7 1700 + RX550 比較

最初に感想からズバーンと言っちゃいますか。
消費電力は概ね-20W強くらいで推移。残念ながら-25Wまではいかなかった。が、この点は後ほど追記します。
期待していたInkscapeのパフォーマンスは「まあ、こんなもんか」、でも確かにそれなりに速くはなっています。
ドラゴンクエストビルダーズ2は残念ながらちょっとFPSが低下。うーん、これはやっぱりDDR4の限界、ってことで。
全然気にしてなかった普段使いがめっちゃ速くなってびっくり。Zen3APU凄いな。


まず、真夏であることもあって筆者のRyzen7 1700はCPBを切って運用していました。LinuxではCPU GovernorもConservativeに。
その理由は、CPBオンでSchedutilだと筆者の足元・膝先にあるPCからの熱が熱くて堪らないからでした。
騒音もそれなりにするPCだったので、机下に押し込める形は譲れず、夏場はこのような運用をしていました。
そんな省エネ運用のRyzen7 1700に対してでも、起動からアイドル・高負荷に掛けて概ねどの領域でも-20W強の消費電力で推移するRyzen5 5600Gは流石APUです。IO周りの余計な電力がごっそり削減できているのでしょう。

Ryzen7 1700(CPBオフ)ではXubuntu起動時に最大90W、アイドルで39W、ちょっと操作とかしてると幅はありますが60W前後、Inkscapeで400%拡大したときに最大58W、GeekBench5では最大95WでSingle=823, Multi=6628のスコアでした。
Ubuntuは起動時に様々なタスクがフルで実行されます。さらに筆者は常用するアプリ7つを自動起動させているので結構な消費電力になります。
Ryzen5 5600G(PBOオフ)にすると、Xubuntu起動時に最大93W、アイドルで18W、ちょっと操作時に40W前後、Inkscapeで400%拡大したときに最大40W、GeekBench5では最大72WでSingle=1290, Multi=7894となりました。
起動時だけは同じ位の消費電力になっていますが、だいたい何やっても-20Wなイメージです。
ただし、これはポンと付け替えただけの結果。Ryzen5 5600Gに相応しいセッティングが出来ていません。
なお、PBOオンにしてCPU GovernorもSchedutilにするとGeekBench5で最大96WとRyzen7のCPBオフ時と同等になり、Single=1521, Multi=8377と特にSingleでぶっちぎるスコアになりました。
ちなみにRyzen7 1700のCPBオンでは消費電力のデータはありませんがSingle=1012, Multi=6954という記録が残っています。

Windows10はバックグラウンドタスクが延々と裏で動いています。起動時のタスク集中がそれほどでもない代わりに、いつまで経ってもアイドルが落ち着きません。
Ryzen7 1700(CPBオフ)ではWindows起動時に最大75W台、アイドルで39W、CineBenchR20で最大97Wで2962ptでした。
Ryzen5 5600Gにすると、Windowsでは(PBOオン)起動時に最大69W、アイドルで19W、CineBenchR20で最大101Wで4111ptでした。なお、CineBench実行中に97Wまで落ちてきました。そのときのクロックは4.17GHzでした。

ドラゴンクエストビルダーズ2では筆者のセッティングでRyzen7 1700 + RX550改で92W前後・55FPS前後のところ、Ryzen5 5600Gにすると65W前後・44FPS前後になりました。
ちょっと手痛いFPS低下でしたが、影品質を妥協すると60FPSになるのでFPS優先にしたいときは設定で誤魔化そうかな、と。

で、だいたい20W強の省電力化と言いましたが、動画視聴とかゲームとか負荷が連続する場合はそれだけなのですが、なんか操作してちょろっと動いて……みたいなときにRyzen5 5600Gは非常にレスポンスが良く、スッと終わってすぐに消費電力がゴンと下がってくれるので、作業時の消費電力低減効果はもっとあると思います。Ryzen7 1700のときは結構消費電力が高止まりしてたので。
そういう遷移も含めた消費電力は積算計とか持ってないので正確には出来ないのですが、それでも大体総合的に-25Wっていう目標は概ね達成出来ているんじゃないかなあ、という気がしています。

あ、ちょっと気が早かったわ。
まだ、Ryzen5 5600Gをポン付けしただけで、チューニングしてないっすよお。
と言っても、BIOS画面を延々眺めた挙句、やったことは不要なデバイスのOFFとメモリを1TにしてPPT制限を45Wにしたことくらい。
RAMについては、このマザーボードにはMemory Try it! とかいう面白い機能が備わっていて、メモリOCが簡単に試せる状態だったので幾つか設定を見てみたのですが、電圧喝入れ仕様しかなかったので試すのを止めました。
APUの性能を活かすならメモリOC! ってのは十分に承知しているし、興味はあるのですが、喝入れしてまではしたくありません。
下手にOCすると、APU側のIOの消費電力が爆上がりしてCPUやGPUの性能を食ってしまいかねないので、特に筆者みたいにPPTを低く制限してやろうなんて思っている身には逆効果になる危険性があります。
それなら、クロックには手を出せないけれどもタイミングを詰めるくらい……とも思ったのですが、下手に詰めて知らないところでこっそりデータ化け起こしててゆっくりグズグズとデータが壊れていく、なんてことになったら目も当てられないので止めました。
筆者は個人的に結構大切なデータを創作しているので、それが地味に壊れるのは大変怖いです。ゲームするだけだったら気軽にOCするんですけどね。

というわけで、ここからはPPT45WにしてXubuntuでもPBOオンにしてCPU Governorも反応の良いSchedutilでの計測になります。
Xubuntu起動時に最大70W、アイドルで最低18W、Inkscape400%拡大表示時に最大50W、GeekBench5では最大68WでSingle=1516, Multi=7976のスコアになりました。
18W〜70Wという低消費電力帯に収めつつ、GeekBench5で-28WになりつつMultiのスコアを95.2%維持しているというとっても良いバランスになったかと思います。
ファンも圧倒的に静かになって、Core i5-4570Sの頃を取り戻しました。いや、4570Sのときはアイドル最低24Wだったから、最低は更新したぞ!

Windows起動時は最大67W、アイドルはなかなか収まらなくて19Wまでしか見てないわ。CineBenchR20では3.78GHz-3.75GHzを維持して最大67W、3694ptでした。
Ryzen7 1700がCPBオンでも3178ptでしたから、この辺のワッパは比較にならんレベルですね。
ドラゴンクエストビルダーズ2も少し消費電力が下がって61W程度。元々CPU負荷は低いゲームですので影響は軽微、むしろ下手にCPUに電力割り振らない分良好になったかもしれません。FPS低下ももちろん無し。
なお、負荷が軽いときは電力食わずにクロックを上げられるので4.3GHzとか出てたりします。(もっと上も出てるかもしれないけど凝視してなかったので)
なお、GeekBench5の値を信用すると最大クロックは4463MHzだそうです。

あ、システム構成を全然言っていませんでしたね。
ApacerのAP960GAS340G-1という960GB SATA SSDがXubuntuのシステムドライブ。CrucialのMX500 500GB SATA SSDがWindowsのシステムドライブ。データディスクとして3.5インチHDDであるWesternDigitalのWD40EZRZ-RT2 4TBを常時接続しています。
キーボードは上海問屋のDN-915869でLEDバックライトを最弱で点灯。トラックボールにELECOMのM-HT1URXBK。関係あるか分かりませんが、古い5インチベイ用のマルチメディアインタフェース(各種メモリカードリーダーとかIEEE1394端子とかファンコントローラーとかAV端子とかオーディオ端子とか一式付いているやつ)のUSB端子だけマザーボードのヘッダピンに接続しています。あとP150ケースのUSB端子とAudio端子もマザーボードのヘッダピンに接続しています。
そんなもんかな。計測時点では。
実用に入ったら、ペンタブレット繋いだりUSBAudio使ったりもするからね。もうちょっと消費電力増えますね。

あ、で、そうだ、普段使いが速いって冒頭で言いましたけど、筆者は一応光回線を契約しつつも古い貸出ルーターの消費電力を抑えたくてLANを100Baseで動かしているので、ネット回線は一応100M上限ということになっています。
にも関わらず、ブラウザの表示がエラい速くなってびっくりなんですわ。
もちろん、特にブラウザ側でJavaScriptとかがガンガン動いているようなサイトだとその差が凄くて。CPU交換だけでこんな速くなるとか思ってなかったんでまあ、びっくりですわ。
それ以外の操作もいちいち速いです。Single性能の高いCPUってやっぱ良いなあ。2コア減ってるのにこれだもんなあ。
マルチコアが活きる処理としてエンコードが代表的かと思いますが、筆者はそれ以外にも、100枚を超える画像を一括で最適化処理とかしたりするんですね。具体的に言うとPNGGauntlet。
これ、1つの画像の最適化には1コアしか使ってくれないのですが、8コアあれば8枚同時に処理が走ってくれるんです。でも、それなりに時間が掛かる処理。
こういう処理でも6コアに減ってても明らか速いんでもうぐうの音も出ませんよ、筆者は。
Core i5-4570SからRyzen7 1700に移行したときだってそれなりに速くなったことは実感してたんだけどなあ。主にマルチ性能で。でもシングルも微増だったのよ、体感でも。
素晴らしいわ、Ryzen5 5600G。でも、早速その速さに慣れつつあるのは内緒。

あ、で、追記ばっかで済みませんが、XubuntuはシステムドライブそのままでOK。Windows10はなんかのドライバが更新掛かってたのと認証し直しになりました。


忘れてたぜベイベー! 追記!
このマザーボード、SpecではGPUへのRAMの割当てはMAXで2GBとなっておりますが、Radeon Softwareだったっけ? あの、GPUの状況が見れるやつ。それで見たところ4GB割当てられてました。
24GB以上のメモリ容量があると4GB割り当ててくれるらしい。また、詳しく見ておりませんが、ひょっとしたらマニュアル指定でもっと多く割り当てることも可能かもしれません。試してないので間違ってたらゴメン。
筆者の環境ではドラゴンクエストビルダーズ2をプレイしているときにちょうど2GBではほんの少しだけ不足、っていう状況だったので(確か2.1GBとかそんな感じだったような気がするGPUのメモリ使用量)4GBで十分なのであーこのままで良いや、ってなりました。
ちなみに、Xubuntuでメモリ状況見ると合計27.4GBって明らかにRX550挿してた頃より減ってるんですが、要するにこっちでも恐らくGPU用に4GB取られているものと思われます。

あと、なんか夜になって静かになったらファンの音が小さいながらも耳障りな音を出していることが気になり始めました。5枚羽のファンに戻した方が良いのかもしれん。あっちの方が上物の可能性もありんこ。


せっかくなので、ちゃんとスクリーンショット撮りました。
BIOSのSnapshot撮りました。USBメモリ挿してF12キーを押すとBIOSのSSが撮れます。便利!

と、こんな感じで、DefaultではGame Modeになっていて、24GB以上のRAMだと4GB割り当てるよーと説明があります。んで、これをForceにすることができて、Forceのときの選択肢がお次。

はい。16Gまで設定がありました。どこかのBIOSバージョン更新で追加されたのでしょうが、Specにはわざわざ追記してない、って感じですかね。


2021-10-13追記:
Intel core i5-12400のベンチリーク情報を見まして、そういえばCPU-Zベンチってしたことなかったなと思ってやってみました。
筆者のRyzen5 5600GはPPT45Wに制限しています。

というわけで、Single=608.3, Multi=4327.5, CPU PackagePowerのPeak値は34.55Wでした。
core i5-12400のリークではSingle=681.7, Multi=4983.8と確かに素晴らしく羨ましいのですが、これシステム良く分からんけどDDR5なんでしょ?ごめんなさい詳しいことは分からないですがDDR4って話もあるみたい。チップセットZ690以外はDDR4って話もあるしK付きとのSingleの差があまりにも大きいのでDDR4のせいって言われるとなんか説得力あるような気がしなくもない。いずれにしろ筆者は一次情報まで遡ってはいませんし一次情報までいってもリークですので御了承ください。
そして、iGPUが32EUなので筆者の好きなドラゴンクエストビルダーズ2をやるためにはdGPUの追加が必要。
さらに、CPU-Z実行時の値ではなさそうなので単純に比較はできませんが、CPU PackagePowerが78.51W……。
やっぱ、微妙に競合にならんのよね。
やはり、モバイル向けの6+8+96とか4+8+96とかがデスクトップ向けにも出てきてくれないと、ね。

2021-10-13 2021-08-31

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