標準ピッチ未満のキーボード - ノートPC編

安価なキーボードを中心についつい無駄買いをしてしまう筆者ですが、日本人としてもやや手が小さい部類かもしれない筆者にとって世界標準となっている3/4インチ=19.05mmというキーピッチは若干大き過ぎると感じるピッチでして、逆に言うとそれよりも小さなピッチを持つキーボードに対して結構なコダワリを持っている人かもしれません。
ちなみに筆者のおてては目一杯広げても1オクターブと1音がギリギリ手が届くけど奥まで押し込めない(というか1オクターブ1音のスパンを奥まで鍵盤叩こうとすると間の鍵盤も押し込んでしまう)といった程度です。ホンマ、ピアノの楽譜で平気で1オクターブ超えてる楽譜とかあるじゃないですか。弾けへんのや!!

なお、使用環境によって手に馴染みやすいキーピッチは若干変わってきます。
かつて筆者はデスクトップPCでも標準ピッチより小さいキーボードを使っていた時期もありました。
が、デスクトップPCを机で操作している環境においては標準ピッチの方がやや手を派手に大きく動かさなければならないものの、その方が結果的に長時間の使用に耐えると判断しています。
小さいキーボードをずっと使っていると手がほとんど動かなくて良い反面、なんかエコノミークラス症候群みたいな感じにね、若干なるんです。

ところがベッド物書き(ベッドに寝そべって物書き)となると、大きく手を動かすには上体を浮かせなければならなくなるため都度都度肘を付いて身体を持ち上げることになり負荷が大きいです。
そうなると一転、手を大きく動かさずにすむ狭小ピッチのキーボードが非常にありがたくなってくるわけです。

狭小ピッチのキーボードに対して筆者が拒絶反応を起こさないのには優秀な狭小ピッチキーボードとの出会いも大きかったように思います。
筆者が購入してきたノートPCのうちでも、もういい加減使うの諦めたら? というような古いPCにいつまでも固執してパーツをグレードアップさせたりOSや設定弄って最適化を推し進めてなんとか使おうと藻掻いたりするケースがあります。
対して、性能は悪くないのにあまり気を留めずに放置してしまうノートPCというのもあります。
その差がなんなのか。
筆者にとってはそれが『キーボードの出来』に大きく左右されていることに気が付きました。
キーボードが優秀な製品はいつまでも固執しようとします。筆者所持のノートPCで言うとSony VaioZ (PCG-Z1V/P)Dell LatitudeX1Sony VaioP (VPCP11AKJ)あたりですかね。
気に入らないとほざきながらも結局なんだかんだ手を加えて使おうとチャレンジするMouse WN892もキーボードの出来は全然良くないのに拘ってしまうのはそのサイズ感が絶妙だからに他なりません。

というわけで、今回は標準ピッチ未満の小型キーボードを搭載するノートPCをキーボードにフォーカスして辿ってみます。
あ、当然のことながら筆者が所持してるものだけです。
大きい順で並べていきます。

富士通

■SONY VaioZ (PCG-Z1V/P)

流石にもう使ってはいないのです。液晶のバックライトがかなりヤレて真っ黄色、動作もなんか不安定で分解すると基板上に熱伝導シートのオイルブリードが滲んでしまっています。
ただ、このキーボードは非常に優秀でした。
キーピッチは標準よりもほんの少し小さいだけの18.5mm。
しかし、この差が筆者にはとても打ち易かったですね。
ホームポジションのテカりとタッチパッドのクリックボタンのメッキ剥げが如何にこのPCを使い込んだを物語っています。(しかも、一時期自宅Webサーバーにもしてました。)

当時はまだキーストロークの大きなキーボードが主流で、VaioZはノートPCの中でもキーストロークが少なく賛否両論あったわけですが、高価なPCだったこともありかなり丁寧に作り込まれたであろう結果、感動に値するキーボードになったと筆者は思います。
このキーボードとの出会いがきっかけで、筆者はデスクトップPCのキーボードもノートPCと同じタイプに切り替えるようになったのですから影響は非常に大きかった。(その辺りは入力機器再検討なんかでも触れています。)
出来が良いキーボードはキーストロークが浅くても全然良いんです。むしろその方が良いんです。
無駄にキーストロークの深さをアピールしようとするばかりのアイソレーションキーボードは大いに反省するように。
キーストロークの深いパンタグラフなんて利点を殺した愚策じゃん。

■DELL LatitudeX1

VaioZよりも少し小さくて少し硬いキーボードです。キーピッチは18mm。
ストロークの浅いキーボードはクリック感を欲しがって硬くしがちですが、タッチ感が損なわれるのでほどほどにして欲しいところです。そういった意味ではVaioZに劣ります。
しかし、キーピッチ18mmはもしかしたら18.5mmよりも筆者の手には合っているかもしれない。
このPCはファンレスという武器もあるので、キーボードと合わせてそれはもうどうにかして使い続けられないかと散々手を加えたものです。

Dell LatitudeX1
0スピンドルへの道 ~LatitudeX1の修理
0スピンドルへの道 ~LatitudeX1のセッティング
0スピンドルへの道 ~LatitudeX1の消費電力
故障多きLatitudeX1
勢い余ってLatitudeX1にWindows10を入れてみた、が
毒を食らわばLatitudeX1にWindows7を入れてみた
結局XPに戻ってくるLatitudeX1
ノートPCをサーバーにする
LatitudeX1のストレージ問題にまだハマる
軽く過去記事をさらってみただけでもこんなよ。
どんだけ手を掛けたんだホントに。故障も多かったから早々に見捨ててもおかしくないのに。
全てはキーボードのせいとは言いませんが、このPC今でもサイズ感がとても良いのよ。

デル株式会社

■Fujitsu Q584/H

厳密にはタブレットPCですがキーボード付属ですので。
ここまで小さくなってくるとキーピッチも縦と横で違う長方形になることがあります。

横方向には約17.5mm。

縦方向には約16mmといったところでしょうか。
キータッチはあんまり良いとは思えないです。なんでだろね。配列とか見た目的には結構期待しちゃうんですけど、期待値が高い分がっかりしているだけなのだろうか?

余談ですが、キーピッチの測定は本来各キーの中心線の間隔を測るべきかと思いますが、出来上がった製品を測るのに中心線を割り出すのは困難なのでキー端のラインとか枠のラインとかで代用してます。
また測定誤差を小さくするには同じキーピッチを持つキーを複数まとめて測るとより誤差が減らせるかと思います。
この画像で置いてる金尺だと15cm目盛りまでしかないので無理でしたが、[1]キー〜[0]キーまで10キーまとめて測ると計算が楽ではあります。

余談ついでに。
このキーボードはまだ一応許容範囲ではあるのですが、筆者は縦を短くしたキーボードが基本的に嫌いです。
筆者だけかもしれませんが、相似形で小さくなる分には難なく対応できますが、縦だけ短いとか凄く気持ち悪いです。
キーボードであれこれブツクサ言っている筆者が、今の今まで某PanasonicさんのLet'sNoteに全く手を出していないことには訳があります。
あの縦にやたらと短いリーフ型のキーボード。あれは完全に筆者の許容範囲外です。勘弁してくれ。
特にリーフ型キーボードが初めて出てきたときは円形のタッチパッドを維持するためという妥協がアリアリと見えていたため、変なコダワリのためにキーボードの使い勝手をあっさり捨てたとしか筆者には思えませんでした。
あれにうん十万なんて絶対に出せないわ。そこが20万出しても買ったVaioZとの違い。

余談ついでにもう一個愚痴って良い?(ダメと言われてもするけど)
声を大きく出せるレビュアーさんが英語キーボードまんせー、大きいスペースキーまんせーをしたせいで、世のキーボードの大半がスペースキーを大きく取るようになってしまって筆者は憤慨しています。
貴重な両手親指をスペースキーにしか使えないようにするキーボードは愚策。何考えてるんだ。スペースキーなんてホームポジションに手を置いたときに親指が自然と来る範囲さえカバーしとけばそれで十分じゃん。
そこからは少し親指をずらしたら違うキーが押せるようになっている方が絶対に便利だって。
ただでさえ、キーボードはキー数が多くて大変なのに10本指を8本しか使えないように強制するのって本当に理解できないわ。
もう一度言わせてくれ! デカいスペースキー嫌〜い!!

■Mouse WN892

これもタブレットPCですがUSB接続の付属キーボードですので、アリもののBluetoothキーボードを同梱したというのとはレベルが違います。
とはいえ、若干のキー割当は異なるかもしれませんが、キー配列としては全く同じであろうと思われる単品のキーボードがまだ若干流通しています。無線になりますが。

横方向のキーピッチは約16.4mm。もしかしたら16.5mmかもしれません。

でですねえ、一見正方形キーボードに見えるんですけど、どう測っても微妙に縦方向の方が長いみたいなんですよねえ。筆者計測では縦方向のキーピッチは約16.7mmとなります。

キー数が減って、特に総合の横幅が狭いために変則配置キーボードとなっています。
幅広い作業をするのには向きませんが、日本語の文章を書いている程度の使いみちだとそれほど不満にはなりません。使える範囲です。
両手をバンとホームポジションに置いただけでキーボード面をほぼ網羅できるのこキーボード、ベッド物書きでは割と重宝します。
ただ、USB接続なのにチャタリング起こすのでモノ自体があまりよろしくないのが残念な点。

■SONY VaioP (VPCP11AKJ)

真打ち登場!
机で作業するには小さいキーボードですが、ベッド物書きでは至高の逸品!
なんだこいつSONY信者か? と思われてしまうかもしれませんが、VaioE(VPCEB4AFJ)のキーボードはクソだったのでそんなことはありません。
配列も素直で、本当にこのキーボードだけ単品化してくれませんかねえ? 本当に。

横方向のキーピッチは16.5mm。上のWN892とほぼ同じです。

縦方向のキーピッチは約15.6mmといった感じでしょうか。
若干縦が狭いですが、それほど扁平にはなっていないため使っていて気になりません。

至って標準に近い配列をしてくれているので、キーボード単体でも十分に使い倒せる出来。ベッド物書きにおいては[Enter]キーへの指の届きやすさという点でこそWN892に一歩譲るものの、あちらは変態配置キーボードですからね。
マジで小型キーボードの最高峰。
クラムシェルの剛性に支えられているお陰もあってキータッチも悪くありません。
11年経過してなおまだこの製品に拘っている人が少なからず居るのはキーボードの出来の良さも寄与しているはず。
[Space]キーの幅だって、これで全然良い! いや、これが良いんだよ!!!

Toshiba LibrettoM3

最初は除外するつもりでしたが、一応載せておくでえ。埃はご勘弁くだせえ。(既にVaioPでクライマックスは迎えたので賢者モード)
流石にここまで来ると小さ過ぎて、筆者の小さめの手でも打ちにくいことこの上ないです。

横方向のキーピッチは約14.5mm。
実はつい最近これに近いキーピッチのキーボードを購入しまして、ある程度使ったらレビュー記事を書こうと思っているのですが、こと横方向に限っていえばこれでも……いや流石に最小限度を下回っているか。

縦方向のキーピッチは約12mm。
はい、ここで筆者はノックアウトです。
このキーボードは無理。
ちなみにこれいつのだ?少なくとも20年は経過しているはず。

小さい本体に何とかして収めるということだけが使命のキーボードでキータッチもへったくれもありません。
それでも何とか配列は維持しようとしているところが当時の優先度というものを物語ってますよね。
今だったら絶対にキー数減らして変則配置にしてキーピッチ大きく取ろうとするもんね。

2021-12-03

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