DELL Venue10Pro 5056(到着前)
はい、完全に病気です。2022年1月購入。お値段5,650円。
実はこの数日前にこれよりもう少し性能の高いNECのタブレットが3,980円+送料で出ていたのですが致命的な欠点が無いかどうか調べている間にさくっと売り切れてしまいました。
なのにですね、今回の製品、最初から「※未チェック品・保証なし・初期化確認のみ・タッチパネル利きません※」という曰く付き。それゆえにすぐには売れ切れません。
実は1台だけ「タッチパネル利きません」という文言が無いブツが紛れておりまして、これだけは早々に売れるだろうなあと思って見ていたら案の定割とすぐに消えてしまいました。
だというのにこの製品に手を出してしまった病気の原因をこれから言い訳していきましょう。
まず筆者はこの製品特有の癖というか傾向としてタッチパネルに問題を抱えている製品なのかというところを調べました。
Venue8の方では確実に問題があったようで後にファームウェア更新がされていました。
同時期に同じような設計で作られたであろうと想像できるVenue10にも同様の問題が発生していてもおかしくはなさそうなのですがファームウェアの更新というのはどうも無い様子。
もしかしたらVenue8ほど酷くはないのかも? いやいや放置された可能性も否定はできませんが。
ただ、問題があっても、アースがあればタッチが機能するという話ではあるんですね。手に持って操作するときは反応する、みたいな状況らしいんです。
それと、調べている中で別の問題を発見することができました。
Windows10の特定のバージョンというか時点というか、で、タッチパネルのデバイスがHIDのグループとして認識されずに別のところに紐付いてしまうため結果的にタッチパネルが機能しない問題が発生しています。
ちょっとこれ怪しいと思いませんか?
出品されている同型製品はいっぺんに7,8台同じ店から登録されたので、恐らく出所は同じで割と画一的な使われ方をしていたであろうことが想像できます。
そして、そのうちの1台だけは「タッチパネル利きません」という文言が無かったものの、その1台を除く全部が揃いも揃って「タッチパネル利きません」。こんなことかあるのか?
これはハード的不具合という可能性は極めて低いのではないか、と筆者は予想したわけです。
前所有者が使用しているうちにWindows10のアップデートにより突然タッチパネルが機能しなくなって、そこで使用を諦めて死蔵したか、もしくはだましだまし使って来たか。
そんな気がしたわけです。
というのも、ショップの方での確認でも「初期化確認のみ」しかしていないわけです。
タッチパネルのデバイスが正しくHIDのグループにぶら下がっていない、なんていう不具合があったとしてもそんなところまで確認できるわけがないです。
というわけで曰く付きなせいで価格が恐らく相場よりも少し下げられているのに「タッチパネル利きません」という正直な文言のせいですぐには売れないこの製品。
実はちゃんと対処すれば完動するのではないか、との思いに至り思わずポチッとしてしまったわけです。
これ完全に破滅するギャンブラーの発想だよね。筆者はダメ人間。
さ、続いて、筆者は既にFUJITSU ARROWS Tab Q584/H、Mouse WN892というBayTrail Atom Z3770とCherryTrail Atom x5-Z8300を搭載したタブレットPCを持っているわけです。
そこにCherryTrail Atom x5-Z8500という似たような製品を買い足すという完全に狂った行動を起こした原因を言い訳していきます。
非常に言い訳がましく、詭弁も多分に含まれると思うので眉をしかめてご覧ください。
実は安価の中古タブレットPCというのはある一点において非常に優秀な性能を持っています。
それはPCとして絶対的な低消費電力性能を持っているということです。
まずPCとして使用できる最低限の機能が一式揃っているうえでの消費電力はもう、特にこの時期のAtom搭載の製品は極上で、この点においては今現在でも超一級です。
ただし、これには「この性能でガマンできるのなら」という但し書きが付きます。
筆者は既にZ3770 4GB 32bitとx5-Z8300 2GB 32bitとを持っているのでx5-Z8500 4GB 64bitの性能はかなり的確に想像できます。
一般的には既におすすめできるものではありません。一般的には最新の方が性能が良いのは確かですから古い物を積極的に選択する理由なんて「価格で妥協」以外にありません。
Windows11に対応するのはAtom系列ではCeleron N4000の世代以降ですし、N4500の世代で10nm(Intel 7)のプロセスに進化してますので出来るならJasperlake世代にするのが一般的なおすすめです。
Windows10のサポートは2025年までなので今更のCherryTrailはあと3年の命です。普通に考えれば。
こっから普通じゃない場合。
まず、CherryTrailは14nmプロセスでIntelの中ではつい最近まで最先端だったプロセスです。
14nmって数字だけを見るともう古く感じるかもしれませんが、実はGF(AMDがRyzen等で使用していた)の12nmよりも僅かではありますが性能が良いとされています。
しかしながら、同じ14nmプロセスの中でも、同じAtom系列でもApolloLake、GeminiLakeと世代が進むごとに性能は飛躍的(Atom系列の中での話に限定すると飛躍的)に伸びています。
そうなると、いくら同じ14nmプロセスだからといってCherryTrailはもう今更選択すべきものではない、となるのが普通です。
そこにはカラクリがあります。
CPUの世界に魔法は存在しません。
営業や広報の華麗な美辞麗句に踊らされてしまうことはママありますが、現実は実に泥臭い仕事の積み重ねであって、よっぽどのことが無い限りプロセスの壁をぶち破るなんてことは不可能です。
ではどうして同じAtom系列の14nmプロセスでも飛躍的に性能が伸びたのか。
それだけ電力をぶっ込むようにしたからなのです。
もちろん、工夫だの最適化だのいろいろとそれっぽいことを言うことも可能ですが、演算にはどうしても一定の電力が必要であり、それを根本から下げる手段はプロセス微細化しかありません。
今までキャッシュに収められなかった処理がキャッシュに収まるようになったりすることでトータルの電力が減るなどというケースはもちろんあるでしょう。
回路を増やしてSoC内で完結できる範囲を広げることができればそこの部分は省電力化できるかもしれませんが、そういった工夫だけでは性能はなかなか飛躍的には伸びません。
CherryTrailからApolloLakeになるときにSDPが2Wから4Wに倍増しています。
また、ちゃんと調べられているわけではありませんが、今Intelのデスクトップ向けCPUで特に騒がれているPL1とかPL2、いわゆる一時的にぶっ込む電力。これがAtom系列でも世代が進むごとに増やされて20Wとか25Wとか食うケースがあるようです。
詳しく調べられる方はFUJITSUとかNECとかずっと同じAtom系列を採用しているタブレットPCの各世代の消費電力を調べてみると良いと思います。
標準の消費電力はほとんど変わっていないかもしれませんが、最大値が増えていることに気付けると思います。
つまり、回路設計が進化している部分はもちろんあるけれども、電力をぶっ込んでどうにかしてきた部分も多分にある、というのがAtom系列のタブレットPCの経緯です。
電力が増えると電源を強化しなくてはならない。発熱に対処しなくてはならない。
真面目に設計するメーカーはどんどん苦しくなります。あまり気にしないメーカーは筐体アッチッチになってバッテリーが早々に傷んでしまっても気にせずにハイスペックなSoCを載せてきます。
が、それでもダメでついに4コア搭載を諦めて1年近く2コア搭載で誤魔化したメーカーもありましたねえ。
つまり、今のAtom系列ってファンレスタブレットPCを簡単に作れるようなSoCではないんですよ、もはや。
CherryTrailは性能が低い分、消費電力のMAXが低いんです。
その分、電源や発熱、バッテリーに無理が生じにくい。あくまでも比較論でしかありませんが。
その前のBayTrailは22nmなのでアイドルはともかく処理中はやや消費電力が高くなりぎみ。特に昨今の重いOSやアプリでは消費電力が高めに推移しがちです。
BayTrailからCherryTrailではCPU性能の部分ではほとんど進化が無いのですが14nmになって消費電力は抑えられます。
つまり、性能は低いけど一番MAXを抑えられる、現時点でそこそこ使える妥協点にあるベストバランスはこのCherryTrail世代にある、と筆者は考えているのです。
もちろん、もうCPUとして古いこともあって最新の重い処理には全く向かないですが、それを分かって用途を限定するとCherryTrailが光る局面があります。
例えば筆者のユースケースではベッド上での物書き。初代AtomのVaioPとかでもやっていたことですので物書き用途には十分。特にちょっとした調べものなんかではVaioPよりも格段に早いのでむしろ嬉しいポイント。
当然、もっと性能を欲張ればもっとサクサクにはなるのでしょうが、幾ら欲張ってもデスクトップPCに届くことは無いんだし、どこかで諦めなきゃならないのなら無理にGeminiだJasperだって欲張らなくても良いし欲張るとバーターでネガも発生することは上記のとおりですので。
あと、動画再生垂れ流しみたいな用途でもCherryTrailはGPUがある程度強化されているので向いていると思います。
それと自宅サーバー的な用途。もちろん、タブレットPCは連続稼動向きではないので通常ではあれば絶対に勧められるものではないのですが、発熱問題が無ければ十分イケるはずです。
具体的には画面を消してTurboBoostを切ることができれば(ベースクロックに限定することができれば)恐らく高負荷が掛かっても3〜4W程度しか食わないだろうし、アイドルは1W切れるかもしれない。これはPCの世界ではCherryTrail世代以外ではちょっと難しいのではないかと思います。
前の世代も後の世代も電力上がってるんですよ。CherryTrailが谷底。
なので、筆者はもう一台確保しておきたい、と思ってしまったのでした。
なお、筆者のこれまでの2台のタブレットPCはいずれもちょっと残念な点が残っていまして、FUJITSU ARROWS Tab Q584/HはHDMI出力ができない(特殊なケーブルが必要で入手困難)のと32bitOS限定、Mouse WN892も32bitOS限定でRAM 2GBは余裕無さ過ぎ、という残念ポイントがあります。
32bitってWindows10が最後ですからね。
かつては古いPCにはLinuxなんて言われていた時代もありましたが、今はLinuxの方がむしろ率先して32bitを切りに行っているので32bitOSしか起動できないPCはそれこそ未来が無いんです。
その点、今回のDELL Venue10Pro 5056は64bitだし、RAM 4GB積んでるし、HDMI出力もできる。
タッチパネル云々という問題がクリアできれば、一番融通の効くタブレットPCになります。
64bitならそのうちWindowsからLinuxへという展開だってあり得るかもしれないし。潰しは効くよね。
本当はRAM 8GBとか欲しいけどそういうこと言い始めるとどんどん高価になるし、一方でどこまで頑張ってもデスクトップPCには敵わないんだからどのみち性能妥協は必要って上記でも散々言った論に回帰してしまうからどのみち割り切りが必要なのだ。
というわけで、我は到着を待つ。
そして、筆者の目論見どおりタッチパネルが操作可能にできることを切に願う。
使い勝手が良ければFUJITSU ARROWS Tab Q584/Hと入れ替えるかんな!