FUJITSU ARROWS Tab Q507/PE

また魔が差しました。2023年2月購入お値段4,980円。
一般的にはもう勧められない低性能なWindowsタブレットになるため安価に購入できましたが、筆者的にはかなり魅力的なPCです。

筆者はかなり前からファンレスのPCを重宝してきました。
主な理由は2つ。

1つは自宅Webサーバーに使用するのに低消費電力であるPCが便利であること。
こちらは『ノートPCをサーバーにする』の記事でも触れているかと思います。
PVが少なく、しかも殆どがスクレイピングやスキャン、不正アクセスという悲しい事態なので処理性能はむしろあまり高くない方が好ましく、アイドル消費電力の低さだけでなく高負荷時の消費電力の低さも重要になってきます。
なんで続けているんだ? とか言わないように。ネット世界の個人のページなんて絶滅危惧種なので正論叩くと簡単に消滅します。(した結果が現在よん)

もう1つはベッドで寝そべった状態で物書きとかするから、です。
埃が立ちやすいのでファンがあるとすぐ詰まる、特に底面はシーツになるので底面ファンは論外。
というわけです。

また、以前の筆者は仕事の都合でもモバイルPCとして軽量小型なPCをよく物色していました。
その結果、現在筆者の手元には似通った低性能のPCが溢れています。

それは初代Intel Atom級でRAMが2GBという、現在では少々扱いに困るPC群です。

Dell Inspiron6000Dell LatitudeX1Lenovo IdeapadS12Sony VaioP (VPCP11AKJ)Mouse WN892辺りです。
厳密にはDell Inspiron6000は冷却ファン付きで15.4インチの大型ノートPCですし、CPU性能も初代Atomよりは抜け出ますが、現在ではもう五十歩百歩です。

Dell LatitudeX1もPentiumM733なのですが性能的には全く初代AtomのN270辺りとどっこいな感じ。

Lenovo IdeapadS12は冷却ファン付きですが思いっきり初代Atomの2GB。

Sony VaioP (VPCP11AKJ)が典型的な初代Atomの2GB。ただし、初代Atomとしてはほぼ最高峰のZ560で2.13GHzなので若干速い。けど以下略。

Mouse WN892はCherry Trailの4C4TAtomですのでCPU性能的には抜きん出るのですが、いかんせんRAM2GBなのでWindows10での運用はキツいものがあり、またUEFIが32bitなので少なくともWindows系列は32Bit版しか入れられません。

これらが皆、使用するときになかなかな待ち時間を要求してくるので、老い先短い筆者には少々苦痛だったりします。まだ動くのに勿体無いという思いも多々あるのですが。
それらが、Cherry TrailでDualChannel4GBRAM搭載のAtomタブレットになると随分と印象が変わってきます。

DELL Venue10Pro 5056の中古を購入して丸1年が経過したところですが、上記の初代Atom2GB級PCとは一線を画す使い勝手を持っています。
もちろん、一般的にはこれも「所詮Atom」と言われる性能ではあるのですが、実際に使用していてのストレスはかなり低減されていて、といいますか、いろんなバランスを考慮するとやっぱりCherry TrailでDualChannel4GBRAMのAtomタブレットってのは一つの至高と言いますか、局所最適解だと思うんです。今現在でも。

それを力説しようと思っていろいろと思考整理していたら、『DELL Venue10Pro 5056(到着前)』の記事に全部書いてあった。1年前から筆者の頭が停滞しております。
しかし、確かに絶対的な性能はもう不足気味。でも、ベッド物書き用途程度あるいは自宅Webサーバー程度の用途においてはまあまあな性能を持ちつつ、CPU使用率100%が続いても然程熱も持たず平然と動いてくれるCherry Trailは優秀だと思わざるを得ない。
これが、次の世代、Apollo Lake、Jemini Lakeと進むごとに確かに性能はアップしていきますが、同時にアッチッチに。基本同じプロセスルールでの製造になるので性能向上分はほぼ電力消費分になります。
特にタブレットPCに限っていうとApollo Lake以降は2C2Tにコア数を落としてしまっている製品の割合が増えているため、全てのラインアップが4C4TとなっているCherry Trailと大して差が無かったり、状況によっては逆転することもあります。
もちろん、シングル性能は爆上がりしていくので、その点だけは羨ましい、とは思いますけどね。

そして、一応最新プロセスでの製造になるJasper Lakeですが、ぶっちゃけお値段がお高い。(あとCHUWIはどうもバッテリーに不安があるので筆者は敬遠してます。一時期は唯一候補とか言ってたけど。(^^ゞ)
だし、GracemontのIntel Nシリーズが出てきた今、中途半端な性能なのに高価という印象が拭えません。
そして、相変わらず一時的とはいえ20Wとか25Wとか突っ込んでくるのでファンレスタブレットPCにはちょっと荷が重い気がします。
というようなことをつらつらと考えていると、やっぱりもう1台Cherry TrailファンレスタブレットPCを確保しておきたい、ってついつい思ってしまうんです。
もっと安く買えた時期もあったのかもしれませんが、キーボードもペンも付いて4,980円なら、1年前のDELL Venue10Pro 5056より安くて付属品も多い。しかも、微小ですがx5-Z8500からx5-Z8550になってBurst CPU Clockが0.16GHzアップ。
筆者の持つファンレスPCの中で最高性能のマシンになることでしょう。

ここで肝心なのが、Cherry Trailを選ぶならRAM4GB以上、x5-Z8500以上を選択する、ということです。
上記で初代Intel Atom級でRAMが2GBというグループの中にこっそりCherry TrailであるMouse WN892を織り交ぜています。
こいつのダメな点は同じCherry Trailでもいろいろと妙に遅いのです。
もちろん、それは単にCPU性能や2GBというRAM容量の少なさだけでなく、x5-Z8500未満のいわゆるx5-Z83○○はRAMがSingleChannelに固定されてしまう点が多いに痛手です。
さらに言うとMouse WN892は恐らくeMMCも安物で遅く、SDカードスロットの読み書きも遅く、USBに至っては2.0が1ポートしかなく遅い(しかも充電時にそのポートを使うので充電時はUSBを一切使えなくなる(特殊なケーブルをいくつかつないでどうにか充電とUSBポートを使用できるようになる))という多重苦なのです。
もしかしたらx5-Z83○○でもそんなに遅くないPCもあるのかもしれませんが、筆者の中では別物です。
安物ゆえに冷却機構も貧相なせいか、高負荷が掛かるとDELL Venue10Pro 5056以上に筐体がアッチッチになる不思議ちゃんでもあります。
ただそれでも1つ擁護してあげるとアイドル時消費電力の低さは流石Cherry Trailですので、この1点だけでも自宅サーバー用途にするには相応しいような気がする。有線LAN無いけど。

あとCherry Trailの1こ前でありBay TrailのFUJITSU ARROWS Tab Q584/Hなんですが、性能的には結構Cherry Trailに逼迫するのですが、やっぱり1つ前のプロセスなので高負荷になると明らかにアッチッチなんですよね。
あとヤれた中古なので文句言えないのですが、バッテリーが若干不安なのと、いまいちシステムの安定性が良くなくて、音がでなくなったりWindowsUpdateでハングアップ起こしたりBTキーボード使用時に連打暴走したりするので、ちょっとあんまり深く使う気になれなかったりします。

デル株式会社

ちなみにWindows11を苦労せずに導入できるのは少なくともJemini Lake以降である必要があるので、そういった意味でもCherry Trailはもう一般的にはお役御免なのですが、筆者はなるべくWindows系とは距離を置きたいと思っている変人さんなのでこの辺の問題は気にならないんですねぇ。
実際のところ、ベッド物書き用途においてはまだSakura EditorとGoogle日本語入力の組み合わせ以外はストレスフルなのでそういった意味ではまだまだ脱Windowsは完全にはできないのですが、ゆくゆくはなんとか環境どうにかしてLinux移行するか、もしくはAndroidならファンレスタブレットが山程あるので、そういった方向を目指しています。
Linuxの日本語入力は貧弱なので結構困ります。mozcがあるじゃんとか言われますが、Linuxのmozcってかなりバカなので、「なんでこんな一般的な語句が全く変換候補にも出てこないんだ?」みたいな現象にぶち当たるし、なぜか絶対に学習しない語句とかも多数あるので本当に謎な馬鹿さ加減なんですよ。
といっても、今はまだ自分この辺どうにかするほどの力が無いので放置してますが。(あ、ちなみに辞書強化程度じゃ足りません)

Q507/PEはDELL Venue10Pro 5056と同様にUSB3.0ポートもありますしMicroHDMIもあるので、ベッド物書き、自宅Webサーバー以外にもHMDプレイヤーとしても使い道も筆者の場合はあります。そこも1台追加して置きたかった理由の1つだったりします。潰しが効くんですね。
またDELL Venue10Pro 5056ほど細かい制御はできませんが、Q507/PEもBIOSの設定変更によりバッテリー充電を低電圧に抑えることができます。表示上は100%まで充電するようですが満充電電圧を落としているらしいので実質80%とか50%とかのどっかのレベルで保持されるようになるものと思われます。
基本ACアダプタつないでバッテリーを使わずに運用したいので、こういうバッテリーが劣化しにくいレベルで保持できる機構を持っているタブレットPCが有り難いです。

FUJITSU ARROWS Tab Q584/Hはそういったバッテリーをいたわる機能が無いし、クレードル買わないとHDMI出力できないからなあ。しかもクレードルを接続するとキーボードが接続できなくなるという、なんかあっちこっち両立できないところがある。


思ったよりも随分と到着が遅れましたが、無事届きました。

かなりの長旅だったせいか、キーボードと液晶面の衝突を緩和するゴム足の1つが盛大にズレていたので位置を直しました。ハードな旅でしたのね。あ、あとバッテリーはすっからかんでした。この辺り中古だと結構すっからかんで届くことが多い気がするのですがカラクリが良う分からん。だって売る前のクリーンインストール作業時にはバッテリーそれなりにあったはずだよね? 長い期間売れ残りで枯渇した?

にしても、見た目はかなり高印象です。
例えていうなら軽トラ?
とっても質実剛健な感じ。

実際のところ、処理性能の非力なPCで画面も10.1インチと小さいのに、こういうタブレット+キーボードのスタイルは結構重いのでモバイルには不向きだったりします。
が、筆者はお家使用前提なのでNo Problem。
クラムシェル型ノートPCみたいに熱源が底面に無いので、ベッド物書きには最適です。
欲を言えば、前面にあるデカい「Fujitsu」のロゴが無ければもっと良かった。この辺はDELL Venue10Pro 5056の方がよりスッキリしていて好み。(個人的にFujitsuにはあまり…ゲフンゲフン)

速攻でBIOSに入り、「バッテリの充電電圧」を「低電圧モード」に変更。これは後で効果を確認してみます。
Windows10のバージョンが1607だったので、プロダクトキーをバックアップしユーザーを自分の使うモノにしてからアップデートを開始。
一旦20H2を経由して22H2になりました。
まだ全ての機能を確認できたわけではないですが、今のところ不具合は無し。

DELL Venue10Pro 5056は液晶画面下部が変色してきているヤレがありましたが、こちらはそれも無い様子。今のところは一番程度の良い中古です。

さて、筆者は基本ACアダプタ接続運用でバッテリー中心の使い方をしたくないため、バッテリー容量を中間程度で保持してくれる機能があるPCが欲しくて、このQ507/PEにはBIOS設定で「低電圧モード」というものがあるため、それに期待して購入したというのもあります。

このBIOSの写真Sony Xperia XZ2 SO-03Kで撮ったんだけどエラい画面が歪んでるよね。なんじゃこら?
あ、で、これはFujitsuの説明によると……

ということで、OS上では100%まで充電されるけど、実際には満充電しないよ、とのことなのでどれくらいまで充電されるのか確認してみました。
「低電圧モード」で100%になっている状態でBIOSに入って「通常電圧モード」に戻して何%になるのか確認して……って、100%のままやないかい!。
Battery Reportも取ってみました。

これが「低電圧モード」時の100%。Full Charge Capacityは29,115mWhとなっています。

こちら、「通常電圧モード」時の100%。Full Charge Capacityは30,641mWh。あーん? 随分と僅差だけど一応差は付いてはいるんだなぁ。
と、よくよくFujitsuサイトの説明を見返してみると……

あー95%想定っぽいですね、この「低電圧モード」ってやつは。
それでも、ここのサイトの説明では結構な効果がありそうではあるので、これでも良しとするかぁ。
10.1インチ系列のタブはこの「低電圧モード」が装備されていて、もうちょっと大きいARROWSタブレットだとバッテリーユーティリティーで80%充電モードにできるらしいんですね。
これってあれかなあ。やっぱり文教向け主体のシリーズだから「いたわり充電」といえどもバッテリー駆動時間は極力確保したい。っていうせめぎ合いの妥協点が95%なのかもしれないなぁ。
筆者個人的には50%が良かったけど、これはまぁ、仕方無いか。


ところで一応さらっとベンチマークを取ってみまして。例のWinSAT。

機種Q507/PEVenue10Q584/HWN892
SoCAtom x5-Z8550 4C4T 14nm CherryTrailAtom x5-Z8500 4C4T 14nm CherryTrailAtom Z3770 4C4T 22nm BayTrailAtom x5-Z8300 4C4T 14nm CherryTrail
Clock / TB1.44GHz / 2.40GHz1.44GHz / 2.24GHz1.46GHz / 2.39GHz1.44GHz / 1.84GHz
RAM2GB x 2(DualChannel)2GB x 2(DualChannel)2GB x 2(DualChannel)2GB (SingleChannel)
StrageeMMC 64GBeMMC 64GBSSD? 64GBeMMC 32GB
WiFia/b/g/n/ac>a/b/g/n/aca/b/g/nb/g/n
機種Q507/PEVenue10Q584/HWN892
System5.35.24.74.3
Memory5.95.95.55.5
CPU8.48.17.97.5
Graphics5.35.24.74.3
Disk6.556.657.056.75

DELL Venue10Pro 5056とほぼほぼ似たようなSpecでBoostクロックが0.16GHz伸びているだけなのですが、CPUの結果が随分と向上しているように見えます。
なので、GeekBench5で追試してみました。
GeekBench Browserで予習していた感じではAtom x5-Z8550でWindowsの場合、シングル220、マルチ750くらい出れば良い感じかな、と思っていたのですが……。
結果、シングル230、マルチ831。上出来では? Atom x7-Z8750だったとしてもそこそこ優秀と言える位の値が出てるんですけど。
もしかして、他の人はあんまり良い状況でベンチ出来てないんかな?
筆者は一応、余計なタスクとかサービスとか、そんなにストイックには追求してないけどオフにしているので。

なんか急に気になったのでDELL Venue10Pro 5056でも走らせてみました。
結果、シングル220、マルチ813。あれ、こっちもx5-Z8500としてはかなり上出来の部類。特にマルチは1,2位を争う結果になりました。
なんか、筆者のチューニングの成果なんですかね? なんですかね? 思ったよりも速いという印象を裏付ける結果が出たので、ああまあ、筆者にとってはCherry Trailって案外使えるヤツなのよっていう主張が補強できたので良き良き。
それでも、今の季節なんかだと「ぬるい」というところまでも行かないくらい冷え冷えなのでCherry TrailタブレットPCは好きさ。ただしDualChannel限定でね。

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2023-02-10:追記

ACアダプタがFUJITSU ARROWS Tab Q584/Hに付属の物と同型だったのでスペア&使い回しが出来て良き良き。
細いプラグではあるけれど、特殊形状とかはやってないのでプラグ形状と極性さえあれば他の12V3A以上のアダプタでもなんとかなりそうなのがまた良いですね。
下手な独自仕様で囲い込みとかそれただの地雷なので極力回避したい。

ちなみに、GeekBench5の指標ですが、『Ryzen5 5600G vs Ryzen7 1700 + RX550 比較』でシングル/マルチ=1516/7976としていたうちのRyzen 5 5600G(PPT45W制限)ですが、その後こっそり電圧をそのままにメモリを3466MHzまで上げたり、CPUコア電圧とSoC電圧を-0.025Vにオフセットしたり、あとこれが最大の要因ですがLinuxのCezanne最適化対応が進んだために1593/8059という値に進化しております。
5600Gでシングル1600弱というのも結構頑張ってますし、PPT45W制限でマルチ8000超えというのもなかなかなのではないかと。
それと比べると230/831のQ507/PEは貧相の一言なのかもしれませんが、Atom N2800を搭載したDN2800MT(記事はこちら『今更DN2800MTで開発環境を構築してみる』)のしかも数値上有利になるXubuntuで計測した結果が109/299ですので、そこからしたら飛躍的性能向上なのです。
Atom N2800は初代Atomを2コア積んで少し強化したレベルですので、当然初代Atomはこれ未満。GeekBench5は64bitOSでないと計測できないのでうちのデータではありませんが、例えばAtom N270辺りですと70/110とかそんなレベルになります。
だから初代Atomを今でも使っている身からすると全然、楽園なんですよ。

2023-02-10 2023-02-09

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