EWIN EW-B008

2024年1月購入、お値段2,535円。
いつもの病気でまたキーボードを新規購入してしまいました。の第2弾です。

このキーボードも過去何度か検討しては「やっぱダメだな」とその都度思ってここまで購入しないで来ていたのですが、今回、ちょっと気になることが増えまして、「ひょっとしたらワンチャンあるかも」と思って購入に至りました。

このキーボードは76キーとかなりキー数が少ないのに日本語配列を実現させているため、かなり無理を生じさせている部分があります。
その無理加減は製品画像を見れば一発で分かります。

その一方で、気になりますよね、この小さなタッチパッド。

今まででしたら「流石に小さ過ぎだろ」でスルーだったのですが、タッチパッドってあんまり大き過ぎても指だけでなく腕まで大きく動かす必要が出てきてしまうため一概に大きい方が良いとは言い切れないデバイスなんです。
今回、PERIPAD-501 Ⅱというタッチパッドを購入して、改めてそのサイズと使用感について考察していく中で、この製品についても「確かにちょっとタッチパッドが小さ過ぎる気はするが、もしかしたら、それよりもキーボードとタッチパッドが非常に近いところに存在するというメリットの方が遥かに大きい可能性があるかもしれない」という認識に変化しました。
それが今回購入に至った大きな理由です。

PCの入力環境はバランス取りが難しいです。
沢山キーがある方が一発で入力できるケースが増える一方、手の内に収まらなくて大きく手を動かさなければならない場面が増えます。
キーボードだけでもそんな有様なのに、ポインティングデバイスがそこに絡みますので、あちらを立てればこちらが立たずという状況に陥りがちです。

今回のこの製品。作っている側はコンパクトなタブレット用のキーボード程度にしか思っていないかもしれませんが、キーボードとポインティングデバイスをコンパクトなサイズの中に両方閉じ込めているという点からすると、これでキーボードの使い勝手もタッチパッドの使い勝手も悪くなければ『最強!』な入力環境になり得るわけです。
つまり、出来次第ではメインキーボードにもなれる可能性があります。

ちなみに筆者の手元には、記事にしていないものの、同じEWINのテンキーの下部分にタッチパッドを内蔵させているタイプのキーボードも所持していたりします。
あまりにもタッチパッド一体型キーボードのバリエーションが少な過ぎて、[Space]キー下じゃなくて右サイドにタッチパッドがある製品ででも妥協できるか、とお試しのつもりで購入したものでした。あと、BLE接続のキーボードを試してみたかった、というのもあったのですが、商品名や説明にはBT5.1とか書かれていたものの、実際に接続しているログとかを見るとどうもBT3.0接続なようで詐欺に合った気分になったりもしていました。(そんな心象の悪い会社の製品をまた買うとか、筆者もタイガイやな)

あ、で、タッチパッドが右サイドにある製品はクリック操作を左手に分担させることが出来ないので好きではないのですが、それ以前に、テンキーの下部分にしかタッチパッドが無いということで手を引っ込めるようにしなければならず、操作が窮屈でした。

話が脱線しますが、タッチパッドが右サイドにあってもクリックボタンを左サイドにも用意してくれているキーボードならOKだと筆者は思っています。
代表的だったのがMicrosoftの無線USB接続のキーボードでして、これはテンキーレスで右サイドにタッチパッドとクリックボタンがあって、左サイドにもクリックボタンを設けてくれていました。
これがまだ1,000円台と安価に替えていた頃は、筆者はそもそも右サイドにタッチパッドがあるのは論外としていましたし、有線キーボードに拘ってもいたので購入対象になり得ませんでした。
しかし、タッチパッド一体型キーボードそのものが絶滅危惧種である期間が長く続き、特にタッチパッド一体型といえばモバイル用途ということで無線ばっかりという状況の中で、無線であることも右サイドであることも妥協して購入してみようかなと思い始めた頃には既に4,000円を超えており、セールを待っていたら品切れ起こして7,000円超えて今はもう在庫温存していた得体のしれないShopからしか買えない幻の製品になってしまいました。

んでですねえ、なんでこんな話をしたのかというと、この製品、クリックボタンは無いのですが、その代替をキーボードで行えるようにしていて[Fn]+[Z]で左クリック、[Fn]+[X]で右クリックになります。
つまり、右手でポインタ移動をし、左手でクリック操作をするという分担がこの製品は出来るのです!

これは割と貴重でして、こういう工夫をしてくれている製品にはあまりお目に掛れません。
それも、この製品を購入するに至った理由の一つでした。

それと、[無変換][変換][カタカナひらがな]キーを[Fn]+[田]、[Alt]、[Space]キーで押せるようにしているところも高評価でした。
クリックボタン相当のキーにしても、これらの日本語関連キーにしても2キー押さなければいけないという煩わしさこそあるものの、その配置はかなり良くてそれほどデメリットを感じずに済む良い処置だと思います。

開封の儀

届きましたので、早速中身を見てみましょう。
まずは外箱から。

会社のカラーの違いがよく出てますよね。良い印象を意識した感じのパッケージ。Perixxのギークな感じと対照的です。

裏面には簡単な操作説明。シールが貼ってあってそこでの商品型番は「XXS-002」となっていて、購入した某Amaさんでもこちらの型番になっているのですが、EWINの製品型番としては「EW-B008」になるのかなと思ってここでは「EW-B008」で続けていきますね。

上下側面には同じ印字。左右側面は無地です。この辺りPerixxも同じノリだったんですが、そういうのが一般的なんですかね?

中身を取り出してみますと、取扱説明書と注意事項の紙、それと充電用のケーブルが付属しておりました。

まあ、配列については販売ページの方が綺麗です。

裏面。左上に謎の枠が3つほどあります。この裏面のシールに「型番:EW-B008」とあったのでこちらを信用しています。
消費電力が5V3mAということで15mW。ううむ、Bluetoothは低消費電力ですなあ。遅延が気にならずに安定して使えれば無線でも良いんだけどなぁ。どうだろうなぁ?

同時購入のPERIBOARD-326JP バックライト付きと並べてみました。
キー数が少なく、横に並んでいるキーの数も少ないのに、キーピッチは標準の3/4インチ=19.05mmと思われる(実測してない)ので全体の幅はこちらのEW-B008の方が大きくなっています。
正直、窮屈に小さくしているキーがある反面、[Space]キーとかそんなに馬鹿デカくなくても良いのに……とは思うのですが、これは恐らくそもそも英語配列のキーボードに無理やり日本語配列を適用したものだと思われますので仕方無いか。
でも、[無変換][変換][カタカナひらがな]キーの独自設定とかそういう細かい心配りをしてくれる位なのだから、なんか[Space]キー小さくしてキー数増やした方が全体的にさらに良くなる気がするんだけどなぁ。
なんか、ちぐはぐな印象がありますよね。

IBM USB Travel Keyboard UltraNav付きSK-8845のタッチパッドの上にこのキーボードを乗せて、タッチパッド面の大きさを比較してみます。
確かに高さは狭いのですが、横幅はあんまり変わらないくらいあるんですよね。
思ったよりはちゃんとサイズがあるタッチパッドです。

素敵な配慮が光る、クリックボタンと日本語関連キーの設定。

筆者のメインPCはXubuntuなのですが、そこで出せる設定項目がたったこれだけ。
タップ無効とかスクロールの設定とか全然出てこないのね。(この辺りは製品によりマチマチです)
まあ、先に言ってしまうと、この製品のタッチパッドの精度はそこそこ良いので、タップも2本指スクロールも至ってスムーズにできます。

インプレッション

さて、いろいろと尖っている製品ではあるので、慣れを要する部分も多いのですが、意外なことに素性は悪くなく、概ね好印象です。

多分、多くの方が一番気になるであろうタッチパッドに場所を取られて極端に小さくなってしまった[,][.][/]キーですが、確かに小さい分押しづらいところはありますが、タッチタイピングをする人であれば指の動きがホームポジションから下に動いていってキーに辿り着いたところで押下すれば良いだけなので思ったほど違和感無く押せます。
タッチパッドにうっかり触れてしまう誤爆も、これらのキーの押下そのものでは発生し難いです。

それよりタッチパッド誤爆が起きやすいのは手を滑らせるように動かしながらカーソルキーを目指すケース。
カーソルキーに至る途中でタッチパッドを掠ってしまいがちなだけでなく、カーソルキーを押す指が小指だったりする場合に左側に余る薬指や中指などがうっかりタッチパッドに触れてしまうという誤爆が起こりやすいかと思います。

極端に小さいカーソルキーは実際には左右キーはそんなに押しづらいとは感じませんでした。
慣れの問題かもしれませんが、結構困るのが上下キー。[↑]キーを押すつもりで[\]キーを押してしまう誤爆が物凄く多発しています。
筆者は日本語配列の[Enter]に慣れてしまっているので、縦に短い[Enter]キーはちょっと押し難く、こちらも[\]キーを誤爆してしまうことが多々あります。

ベッド物書きのときに使用している「Bluetooth3.0 7-8インチタブレット向け超小型タッチパッド付きキーボード」WS0255A-Bも[Enter]キーがちっこいのですが、こちらは誤爆しても[Shift]キーなので損害は少ないのですが、EW-B008ではここが[Shift]キーではなく[\]キーになっているので「¥」とかいっぱい画面上に出てきます。
また、ここら辺を打つときについ親指がタッチパッド面に触れてしまってポインタがすっ飛ぶなんてことが偶に起きてしまいます。これも慣れでしょうか?

あ、ここでそのミニキーボードWS0255A-Bの画像を再掲しておきましょうか。過去記事はこちら『標準ピッチ未満のキーボード - 単体製品編』の途中から山程書いています。

WS0255A-Bが小さい[Enter]キーのすぐ上に[BackSpace]キーがあるということもあって、ついこの縦に短い[Enter]キーのすぐ上を[BackSpace]キーのつもりで打ってしまって"]"を入力してしまうことも結構やってしまいました。

キーが少ないことで困ることもありまして、割と頻繁に使うのに[PrintScreen]キーと[目]メニューキーが無いので、これは別のショートカットを用意しないと不便ですね。こういう不便なケースはそのうち他のキーでも発生する可能性があります。

[無変換][変換]は使い易いです。
クリックボタンはちょっと押し難い感じもしますが、あるだけマシですし、PERIPAD-501 Ⅱみたいな変な癖がなくドラッグ操作とかも普通に出来るのでそこそこ便利です。
と言いますか、例えば画像編集の作業とかしているとキーボードとタッチパッドを頻繁に行き来することになるのですが、やはりそういった場面ではこのキーボードとタッチパッドが同居しているキーボードは超便利でして、タッチパッドの精度も悪くないので、割と気分良く作業ば出来ます。

が、これも慣れの問題かとは思いますが、気を抜いているとタッチパッドを触るつもりで[Space]キーを撫ででいることが何回も起きたりしてたりして、タッチパッドの大きさはこのままで良いからやっぱり[Space]キーの下にタッチパッドを配置して欲しいなあ、なんて思ったりもします。

となると、上に画像を再掲したWS0255A-Bミニキーボードでもイケるんちゃうか?って、思いますよね。
実際、いろいろと検討している中で、もうメインPCのキーボードもWS0255A-Bにしちゃっても良いんじゃないか、って。
WS0255A-Bそのものはタッチパッドの精度がクソなので、結局、採用は見送ったんですが、タッチパッドの精度が良ければマジでWS0255A-Bに統一しても良かったかもしれない。あ、まだ問題はあるけど。

無線でどうなのよ?って話ですが、BTドングルとの相性なんですかね?
一応、いい加減BT5.1ってしつこく書いているし、筆者が以前に購入した似非BT5.1と思われるキーボードのときは筆者が購入した後BT5.1の表記が削除されてたりしていたのですが、この製品は未だに表記の削除とかされていないのでそれを信用して、Linuxでも動作するというコメントのあったBT5.0ドングルを同時購入してみたのですが、なんかですね、偶に遅延が発生します。
さらに、起動時に接続してくれなくて、Bluetooth周りの設定画面をいちいち開いてちょっと弄らないと使えなかったりしたので、なんだかなあとか思っていたのですが、BT-Micro4というBT4.0ドングルと言っておきながら実はHoGPプロトコルには対応していないので、キーボード等の接続はBT3.0になるという古いドングルで接続した方が圧倒的に安定しているみたいです、
こちらのドングルでは今のところ気になる遅延は発生していませんし、しばらく放置してからの復帰もスムーズな気がします。

筆者の見立てが今のところ的中していて、このコンパクトな領域の中でキー操作とポインタ操作が完結できるという利便性も結構大きいんじゃないか、って、今このキーボードでこの記事を書きながらそんな風に思っていたりします。

さて、困った。どれをメインに使用していこうかな。完全性を求めるなら壊れるまでSK-8845を使い続けるのが勿論正解なのだろうけれども、手の内に全て収まる感じのこのEW-B008も悪くないぞ?
タッチパッドの精度が悪くないから2本指スクロールなんかもスムーズだし、ポインタ操作で余り困ることも無いので、意外に悪くない選択肢だコレ!

2024-01-11

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