XKBを勉強してリベンジを試みる

なんか色々と試していたら入力周りがぶっ壊れた。
多分、知らない設定を知らぬ間に弄って元に戻せなくなったのだろうと思うが、日本語入力ではなくて直接入力にしても変換中みたいな下線が出てカーソルが動かずアルファベット以外のキーを打つまで未確定みたいな動きになってしまいました。
fcitxとfcitx-mozcを再インストールしたら一応その点については直ったので記事作成を再開します。

前回記事『カーソル＆ポインタ操作を効率化する』で結局xmodmapじゃダメでした。という、やっぱり方方で書かれていた『今はxkbでやるべき』みたいな話は本当だったのか……と、いうところで終わってしまったのですが、ようやく見つけたこちらのドキュメント『Custom keyboard layout definitions - Community Help Wiki』。
まあ別にここでもxmodmapはダメと書かれているわけではなくて、載っている情報がひたすらxkbのことばかりでしたので、あぁやっぱりもうxmodmapは手が入っていないというか過去の遺産というか、放置みたいな感じなのだろうか？　と勝手に筆者は解釈致しました。

実は筆者はxmodmapによるキーコンフィグを実施する以前にxkbでキーコンフィグをしていた時期もありまして、時代に逆行しとるやんけ、ってな感じなのですが、xkbってなんかムズいじゃないですか。
ただ、今回ちょっとキーコンフィグ周りで色々と調べて来て、まだ全然抜けだらけではあるものの、どれもこれもさっぱり分からんという感じだった以前よりかは幾分かマシな理解が出来るかもしれない、と思ってこの際xkbに再チャレンジしてみます。

まぁ、ふわふわとした筆者の現在の感想からすると、確かにいくつかのディレクトリに分かれて、各ディレクトリに設定ファイルが山ほどあるxkbは設定同士の組み合わせとかincludeのネストで追って行くが非常に大変ではあるのですが、ノリとしては世界各個の地域差を小ブロックにまとめて、必要な設定を組み合わせて各自の環境に合わせていく、という割ときっちり理屈で分割された設定群なのであるのだろうなぁ、というくらいの認識にはなりましたので、良く分からないBlackBoxだった以前よりかは怖いものではなくなった気がします。

そういう目で改めて色々なドキュメントを眺めていると、今まで使用されている定義の意味がさっぱり分からなくてちっとも理解できなかったものが、ある程度「こういうことかな？」と予想が付けられる部分も出てきたりしまして、一応「こうやったら出来そうだけど」というところまでは来ることが出来たので、今こうして忘れないうちにと記事化しています。

さて、キーボード等からの入力で発生するEventcodeと処理されるxmodmapのKeycodeにはいくつか謎に噛み合わない部分があったのですが、今回はそれのxkb版と言いますか、よりEventcodeとマッチしていて如何にも「今はxmodmapじゃなくてxkbなんです」という感じを裏付ける資料が見つかったので、まずはそれを貼り付けたいと思います。

この手の調べ物をしているとArchLinuxのドキュメントにお世話になることが多いのですが、しかし筆者のメインPCはXubuntuですので、Archとは違うところも多々あるわけです。
例えばxkbの設定を書く時に使っている『<XXXX>』という4桁の文字。これの定義がどこにあるのかさっぱり分かりません。Arch以外の情報も含めて、筆者の環境で実際にコレと思われる定義ファイルを指し示してくれている情報は皆無で、結局筆者は自力で見当を付けて探し出しました。

xkbの設定を書く時に使う4桁の文字をKeycodeにマッピングしている定義ファイルだと思われるものが、筆者の環境では「/usr/share/X11/xkb/keycodes/evdev」にありました。
ここにある定義はやはりxmodmapと同じようにEventcodeに対して+8オフセットされているものの、xmodmapよりもきっちりと定義が目一杯されており、xmodmapでは尻切れトンボだったEventcode248もKeycode256としてしっかり存在しています。
また、Eventcodeの方はその先もまだ続いてキーボードのEventcodeとしては0x2bcつまり700まで定義があったのですが、こちらのevdevファイルでもちゃんと708（+8オフセットされるので）まで定義があり、程よくマッチングしていました。

Keycode256の手前に「// Key codes below cannot be used in X」（ここから下はXでは使えないよ）と書かれていたのと、evdevの定義が<Innn>(nnnはKeycode10進数表現)という単純な形でコメントで対応するEventcodeが記載されているだけというシンプルな形になっていますので、ここではEventcode1〜248、Keycode9〜256の部分だけをコード順に並べて整理したものを貼り付けておきます。
なお、これは筆者の現時点の環境ではこうなっていた、というだけでも他でも同じ保証はありませんのでご了承ください。
あと、オマケでxmodmapの状態も対応させて貼り付けておきます。

あー作業大変だった。

xkbで使う謎の4文字(以下のものアリ)がどのキーのことを指しているのかこの表でだいたい分かるんじゃないでしょうか。
また、全てが載っているわけではありませんが、xkbに書くkeysymは軽く調べたところ、「/usr/include/X11/keysymdef.h」に定義されている文言から先頭の「XK_」を省いたものが使える模様です。

一方で筆者のやりたいこと、すなわち、一つのキーをレイアウト変更キーにして、レイアウト変更キーを押下したときのカーソル移動関連キーを登録する、というところはナント！
ArchLinuxのドキュメント『X keyboard extension - Level3』のところにほぼそっくりそのまま記載されていました。

ただですねぇ、この「ほぼそっくり」って言うと99%みたいな印象を受けてしまいますが、技術関係の99%って＝そのままじゃダメ⇒ダメなところを探して対処しないと結局ダメ、なので99%なんてとんでもなくて実質せいぜい25%とかそんなもんです。

似て非なる文言の紛らわしさ、書いている人が「こんなん当たり前だろう」or「これはこのドキュメントの範囲を逸脱してるし」で除外される情報に大きな意味が隠されていたりして、結局はその周辺を全部洗って精査しないと使えるものにならない。（いつもそう）

このドキュメントで紛らわしいのやはり「Mod5」と「LevelThree」ですよね。
それに、仮にこの辺をきっちりしたとしても既存の設定とも噛み合いで上手く動かなかったりして、また原因追求の繰り返しです。
確かにほぼそのままなのに、1点繋がらないところがあるだけで全く動かないですからね。
本当に疲れた。

最初はxmodmapのときと同じノリで[F24]キーをレイアウト変更キーにしようかと思っていたのですが、どうにも思ったように動いてくれなくて、xevとかで確認してもKeySymが0x00 NoSymbolになってしまって全く効いていません。
ちょっと色々と調べて頭こんがらがって、もう当初の理由を忘れてしまいましたが、結果的に[F24]キーは使わないことにして[LVL3]キーという「// Fake keycodes for virtual keys」とコメントされている本来存在しない架空のキーを割り当てることにしました。
架空のキーなのでEventcodeの方に定義が無かったのですが、コード値をダイレクトに記述したらそれでもOKだったようなので、これを採用しました。
[LVL3]キーは架空キーなので既存の設定が存在しておらず、そのため既存の設定に邪魔されることが無かったので思いの動きがそのまま実現出来たのだと思います。

しかし、問題はそれだけに留まりません。
カーソルキーは範囲選択や単語送り等で[Ctrl][Shift][Alt]と同時に使用することが多々あるのですが、どうも[Alt][Shift]を絡めると筆者が設定していない全く別のキーが入力されてしまいます。
既存の設定が邪魔しているようなので、それも潰すように変更を加えます。

そうして、ようやくそれなりにまともに動いた設定がこちら。

partial modifier_keys
xkb_symbols "gihi" {
	key <LALT> { [ Alt_L, Alt_L ] };
	key <LVL3> { [ISO_Level3_Shift ] };
	modifier_map Mod5 { ISO_Level3_Shift };
	key.type = "THREE_LEVEL";
	key <AD07> { [ u, U, Left ] };
	key <AD08> { [ i, I, Right ] };
	key <AD09> { [ o, O, Up ] };
	key <AD10> { [ p, P, Down ] };
	key <AC07> { [ j, J, Left ] };
	key <AC08> { [ k, K, End ] };
	key <AC09> { [ l, L, Prior ] };
	key <AC10> { [ semicolon, plus, Down ] };
	key <AB07> { [ m, M, Home ] };
	key <AB08> { [ comma, less, End ] };
	key <AB09> { [ period, greater, Prior ] };
	key <AB10> { [ slash, question, Next ] };
	key <HOME> { [ Home, Home, Right ] };
	key   <UP> { [ Up, Up, Prior ] };
	key <PGUP> { [ Prior, Prior, Up ] };
	key <LEFT> { [ Left, Left, Home ] };
	key <RGHT> { [ Right, Right, End ] };
	key  <END> { [ End, End, Right ] };
	key <DOWN> { [ Down, Down, Next ] };
};

"gihi"というのは筆者が勝手に付けた名前ですので気にしないでください。
この設定を既存にプラスして読み込ませることでまあ、当初やりたかったことは実現はできました。
なお今回、[U,.P]にもカーソル関連キーを追加定義しており、またカーソルキーを[Home][End][PgUp][PgDn]に、[Home][End][PgUp][PgDn]をカーソル移動キーに切り替えられるように定義しています。
これらはどこを使っても良いという利便性向上のための重複定義です。

<LALT>キーを再定義しているのが既存設定の邪魔が原因でして、これをしないと[Alt][Shift]押下時に[Meta]キーが発動してしまって[O][L]がカーソルキーではなく[Alt_L]入力になってしまったり、[;]もなんかのボタン押下か分からん変なイベントが発生するようになってしまっていました。
なので、[Shift]押しても変わらず[Alt_L]として働け、と念押ししています。

んでudevのhwdbの方に、

KEYBOARD_KEY_7008a=84	#変換

84ってのが架空のキー[LVL3]のEventcodeです。xmodmapやxkbでは+8されて92ね。

インプレッション

これだけやってもダメなもんはダメでして、xmodmapのときよりかは若干マシな挙動をしていますが、相変わらずWine上のアプリにもVirtualBOXでも全く効かず、Kateでは単独カーソル操作こそ出来るようになったものの[Ctrl][Shift][Alt]を絡めるとKateのショートカットの方が発動してしまって「キーシーケンス Ctrl+J はあいまいです。「設定」から「キーボードショートカットの設定」メニューを選び、解決してください。アクションは設定されません。」などと怒られてしまいます。
xevで見ている限りは完全にコンフィグ出来ていそうなんですけどね。

とにかくちゃんと動いてくれるアプリが少な過ぎてとてもじゃないがこれをメインで使って行こうとはとても思えませんね。
誰だ、過去記事『Xubuntuのキーボード設定をお勉強』で『最近は高級キーボードなんかでキーコンフィグを自在に設定出来て、[Fn]キーを押したときに全く異なるレイアウト定義も出来るなんていう製品が増えて来ましたが、Linux上の設定で似たようなことが実現できるわけです。』とかのたもうてたやつは！
実用に足らんぞぃ！

残念ながらxmodmapもxkbも限定的なキーコンフィグしか出来なくて（筆者のスキル不足の可能性もまだ残ってはいます）使い物になりませんでしたが、udevのhwdbコンフィグだけがガチで使えますので、こちらでどうにかできるところだけをコンフィグする方向に軌道修正しようかと思います。

骨折り損のくたびれ儲け。
それでも、Windowsに戻りたいとは1mmも思いませんが。